教育コンサルタントの嶋津良智(しまず・よしのり)さんの本を読みました。
この本は、メンターの吉江勝さんと嶋津さんの対談動画を観た後で、すぐに注文したものです。新書版で安かったので、3冊ほど買いましたよ。
そんなとき、嶋津さんの講演会がバンコクで行われると知り、さっそく申し込むと同時に、本を読み始めたのです。
講演会のタイトルは、「グローバルな社会でこれから生き残るリーダーとは?」というもので、タイで働くビジネスマンにはうってつけの内容でした。
大いに感銘を受け、もっと立派なリーダーにならなければいけないと、認識を新たにした次第です。
読んでいた本は子育てに関するものでしたが、これは部下育てにも通じていると思いますね。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「残念ながら、イライラや怒りという感情をなくすことはできません。
しかし、コントロールすることはできます。」(p.4)
ベストセラーの「怒らない技術」などで知られる嶋津さんですから、その技術を子育てにも生かせるということで、「おこらない子育てセミナー」もされているそうです。
その核心である「怒らない」ということは、感情をなくすことではなく、上手にコントロールすることだと言います。
「「この子はどうして私がイライラするようなことばかりするのだろう」
そんなふうに思うかもしれません。つまり、子どもが自分にイライラや怒りを「与える」ような気がします。
でも、本当にそうでしょうか。そうではありません。実は子どもの言葉や行動に反応して、あなたが「イライラする・しない」「怒る・怒らない」を選んでいるのです。」(p.31)
「出来事自体には意味がないのです。出来事に意味付けをしているのは、あなたなのです。」(p.32)
このように言って、「怒る」のは、自分が何らかの出来事に対して、怒るような意味付けをしているからだと言います。したがって、意味付けを変えさえすれば、怒らなくてすむというわけですね。
「イライラするような出来事が起きたら、あえて「これはちょうどいい!」と頭に浮かべたり、つぶやいたりします。
すると人間の脳は不思議なもので「ちょうどいい」理由を探しはじめます。」(p.69)
これは「コーピングマントラ(魔法の呪文)」というスキルだそうですが、福島正伸さんも問題が起こったときは「チャーンス!」と言うことを勧めていますね。
斎藤一人さんなどが「ツイてる」を口癖にするといいと言うのも、同じ様なことだと思います。
「感情には2種類あります。
不安、悲しみ、苦痛、ストレス、寂しさ、絶望などは第1の感情です。
この第1の感情をもとにして感じるのが、「怒り」です。
つまり、「怒り」は第2の感情なのです。」(p.99)
このことは、野口嘉則さんも言われていますね。怒りは第2感情だと。だから第1感情をしっかりと受け止め、それを表現する方が良いのだということです。
「具体的には、まず、コントロールできることと、できないことを区別すること。
そして、コントロールできるイライラや怒りにだけ目を向けて、解決方法を考えます。
「他人と過去は変えられない」と言います。
でも、ちょっとしたことで自分は変えられます。
イライラや怒りを感じないで済むよう、「自分に何ができるか?」を考えるのです。」(p.108)
天気だとか、自分でどうしようもないことに対して、いつまでもグジグジ言っていても意味がない、ということです。
自分ができないことはさっさと手放して、できることをやることですね。
「「子どもは親の言うことを聞くべきだ」と思っていませんか。
そして聞かない子どもに対してイライラしたり、強い言葉や力で伝えようとしていませんか。私は、
「そもそも子どもは親の言うことを聞かないものだ」
「親の言うことはなかなか伝わらないものだ」
と日々感じています。」(p.155 - 156)
講演でも「前提を変える」という話がありました。最初から「伝わらない」ことを前提にしてしまえば、腹を立てる必要もなくなるし、伝えるための工夫もするようになると言うのです。
「私は、子どもが自信をもてるようサポートするのが育児だと考えています。
自信があるということは、「生きることに希望をもっている」ということです。
そのためには約束をきちんと守らせることです。
約束は他人とするものと見られがちですが、本当は自分自身とするものです。
約束を破ると自分を裏切ることになるので、自分に対しての信頼や自信を失うことになります。」(p.185)
これは面白い視点ですね。自信を育てるためにも、約束を守らせることが重要だと。そのために支援することが、子育ての重要なポイントだということですね。
そのためにも、親がまず約束を守ってみせることが重要だと言います。「もう絶対にテレビを見させないから。」などと、守れない約束をすべきではないのです。
「子どもの幸せは、親の幸せからはじまります。
親が自分の幸せの形が何なのかわからないと、子どもに幸せとは何か、伝えることができません。」(p.191)
映画「かみさまとのやくそく」でも、子どもは親を幸せにするために生まれてくると言っています。つまり、子どもは親に幸せになってほしいのです。親が幸せな姿を見て、自分も幸せに感じられる。それが子どもなのですね。
ですから、まず親自身が幸せを感じるように生きる必要があると、嶋津さんは言うのです。自分の好きなことをする時間をとるなど、自分の幸せを諦めないことが重要です。
「私はビジネスのセミナーで、
「部下というのは社会からの預かりものだから、大切に育てて社会にお返しをしなければいけない」
と話しています。
つまり、「社会に貢献できる人を育てる」ということです。
子どもも同じで、自分のDNAを受け継ぎ、家族として育てている存在だけれど、大きな視点で見たら、その子どももいずれ大人になって社会に出たり、家族をもったりするわけですから、社会から預かっている将来のリーダーを育てていると考えて良いと思います。」(p.226)
子は授かりものとはよく言いますが、本当にそう思って子育てをする人は少ないかもしれません。
私も会社で部下を持つ身ですから、この視点は忘れないようにしなければと思います。
私は今は、子育てをする立場ではありませんが、会社で部下を育てる立場として、この本にあることを生かしたいと思います。
これまで読んだ子育て本とも、多くの点で共通しています。自分の考えを押し付けるのではなく、相手を人間として尊重し、信頼することが、重要なことだと思います。
講演会で挨拶をさせていただいたとき、「今、ご著書を読んでいるところなのです。」と言って本を見せると、「いやぁ、嬉しいなぁ。それ、サインしますよ。」と言われて、快くサインしてくださいました。
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