大平信孝さんの2冊目の本を読みました。
1冊目のタイトルが「本気で変わりたい人の行動イノベーション」でしたから、ほとんどそっくりなタイトルです。
内容も、基本的には前作と同様なのですが、前作で示された「1分間行動イノベーション」の中で最初に行う「10秒アクション」に特化したのが、本書になっています。
また、マンガを導入して主人公が成長する様を示すことで、イメージしやすい作りになっています。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
本書で紹介している「10秒アクション」ですが、「たった10秒で何ができるの?」という疑問もあるでしょう。
それに対して大平さんはテレビCMの例をあげて、このように言っています。
「と、たった15秒の中で、起承転結がしっかり描かれているため、私たちはその「物語」の中に思わず引き込まれていきます。
つまり、私たちは、15秒あれば、たくさんの人を感動させるストーリーを伝えることができるのです。」(p.29 - 30)
物語の重要性は、神田昌典さんも「マンガでわかる非常識な成功法則」の中で言っていました。
「10秒アクション」の本質は、この物語としてのメッセージを伝えることにあるのですね。
それを何度も繰り返すことで、知らず知らずに脳に定着して行き、いつしか自分が変わっていくのです。
では、その「10秒アクション」とはいったい何でしょうか?
「私がこれから提案する「10秒アクション」の定義、それは
「1日のどこかで10秒間を使って、何か1つだけ
自分の気分を上げる『行動』をしてみよう」
というものです。」(p.36)
このように、実にシンプルです。シンプルだから誰でもできるし、簡単に継続できるのだと思います。
そして本書では、「10秒アクション」の他に、もう1つの重要なポイントがあると言っています。
「ここで1つだけ覚えておいてほしいことがあります。「方向」を見つけるための、とても重要な問いかけがあるということです。それは
「自分は本当はどうしたい?」という質問です。」(p.45)
私たちは、常に様々な言い訳を考えだして、自分が本当にやりたいことをやらないでおこうとします。そのために、自分らしく生きられないイライラを感じているのですね。
「「本当はどうしたい?」+「10秒アクション」。
この2つさえあれば、人は必ず変わることができます。」(p.45)
このように力強く、私たちの背中を押してくれます。
「忙しい日常生活の中で、「自分は本当はどうしたい?」ということを考えることは、意外に少ないと思います。今から、その問いをし続けることをぜひ習慣化してもらいたいのです。」(p.64)
しかし、そうは言っても、そういう質問の答えなんてなかなか出せない・・・と考えていませんか?
大平さんは、「今よりほんの少しでも良い気分になりたい=欲望」と捉えて、気軽に考えることを勧めています。
ここで、その「欲望」を叶えたいと思っても、「やらなければならないこと」があるという矛盾に直面するかもしれません。
「休みたい」という欲望があっても、「仕事をしなければならない」という現実があるからです。
それについて大平さんは、次のように言います。
「「やらなきゃいけにこと」なんて、この世に1つもないのです。
この「10秒アクション」を行う大きな目的の1つ−−それは「自分」で仮決めして「自分」で動ける人生を手に入れることです。あなたの人生のハンドルを握っているのはあなたなのですから、物事に対し、あなたが「やる」か「やらない」のかを決定する権利は、あなたにしかないのです。そして、その結果何が起ころうと、すべての責任は当事者であるあなたにあります。その当たり前の事実を、まずは自覚してください。」(p.71 - 72)
つまり、すべての結果を引き受ける覚悟をすることですね。結果にとらわれているから、自分で決められないなどと考えてしまい、犠牲者になってしまうのです。
「「欲望」は果てしなく大きな夢でも、全然構いません。そのうえで、「そうなれたら何をしたい?」を自分に問い続けてみてください。
(中略)
一見、無謀に思える「欲望」も「そうなれたら何をしたい?」というセルフコーチングで突き詰めることで、自分で気づいていない「本当の欲望」を浮き彫りにすることができるのです。」(p.76)
人生の目的を探すときも、この問は使われますね。
この問いによって、最初は「お金持ちになりたい」というような欲望の本当の目的が、単に「幸せになりたい」だけだったりします。だったら今すぐ幸せになれば、お金持ちを経由しなくてもいいでしょう。
こういう論法は、よく使われます。でも、そうやって突き詰めることで、本当の自分の欲望(目的)が見えてくるんですね。
「10秒アクション」は、恐ろしくシンプルで簡単です。そのため、1日に何回でもやりたくなるかもしれません。
けれども大平さんは、1つ注意点があると言います。
「あなたの「気分」を上げる「10秒アクション」なのに、「やらなきゃ」という義務になってしまっては本末転倒です。
「10秒アクション」を1日1回やっただけで、OKなのです。」(p.125)
数多くやった方が効果があるんじゃないかと思い、効果が出ない焦りから、「10秒アクション」を繰り返すことは、逆効果になりかねないのですね。
「自己受容でとても大切なポイントは、「何も評価を下さない」ということ。
いきなり賛成もしないし、いきなり反対もしない。甘やかすわけでもなく、厳しくするわけでもない。「そうなんだね」のひと言で、素の自分をいったん受け入れれば、気持ちがとても楽になります。」(p.172)
そう感じたという自分を、ありのままに受け入れることですね。評価を下すと、たいていは自分に厳しいものになります。
けれども、そもそも評価というのは、何らかの価値基準に基づくもので、絶対的な価値基準は存在しないのです。
ですからまず、評価せずに自分を受け入れることが重要なのですね。
「だか、あなたがもし今、人生のどん底だったり、思うように行かないことが続いて自暴自棄になっているとしたら、「おまえいい加減にしろ!」と自分で自分を突き放すのではなく、「今、大変なんだね。つらいんだね」と受け入れたうえで「一緒に頑張ろう!」と自分で自分を応援してみてください。たった10秒でいいのですから。」(p.195 - 196)
自分が自分の最大の応援者になる。それが重要なのだと、大平さんは言います。
「こんな自分に何ができるの?」と、自己肯定できない人にとって、「変わる=成長する」ということが夢のように感じられます。
しかしそれは、本当は難しいことじゃないんだということを、大平さんはこの本で示しています。
千里の道も一歩からと言うように、1回の歩みは少しなのです。ただ、それを継続するだけです。
その1歩ずつの習慣を「10秒アクション」というシンプルなもので示したのが、本書の特徴です。
本気で変わりたいと思っているのでしたら、試してみる価値はあると思いますよ。
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