西田文郎(にしだふみお)さんの本を読みました。「ツバメの法則」に続いて、西田さんの本は2冊目になります。
西田さんの本を読もうと思って2冊買ったのですが、そのうちの1冊です。
どうしてこの本を選んだかというと、「赤ちゃん脳」というタイトルに惹かれたからです。
赤ちゃんの例えは、私もよく使っています。それで、ひょっとしたらそういうことが書かれているのかと思って、この本を選んだのです。
結果、図星でしたね。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
誰もがポジティブでありたいと願いながら、なかなかそうなれない現実があると西田さんは言います。しかし、それがどんな状況であっても、誰もが簡単に抜け出せる方法があると期待を持たせます。
「その方法が”赤ちゃん脳”になることです。
赤ちゃんの脳はとてもシンプルです。
あらゆることに興味を持つ、興味を持ったら挑戦し、何回失敗してもできるまでやる。途中で痛い目にあっても、泣きはしますがやめません。」(p.5)
「はじめに」に書かれたこの文を読んで、私は図星だったと思いました。もう少し、「赤ちゃん脳」の説明を見てみましょう。
「世の中には赤ちゃん脳のまま成長した人もいます。そういった人は、誰もが不可能だと思うことを「できる」と思い込み、何回失敗しても、人に中傷されようとも、絶対に成し遂げてしまいます。
苦しいことも楽しみとして受け止める、苦楽力を持っているので、落ち込んだりしないのです。
世の中で成功している人、偉業を成し遂げた人のほとんどは赤ちゃん脳です。」(p.6)
「赤ちゃん脳になるのは簡単です。しかし「そう簡単にはうまくいかない」と思っている人には、簡単にはうまくいかないかもしれません。ですから、ぜひ、「チョロい」と思ってとり組んでください。そして楽しみながら続けてください。それが赤ちゃん脳への一番の近道です。」(p.7)
この「はじめに」に書かれた要点だけで、この本の内容はすべて書き尽くされています。とは言え、それでわからないから悩むのでしょう。では、もう少し引用を続けましょうか。
「あなたもかつては100%プラス思考だったはずです。そう、赤ちゃんの時には。
赤ちゃんはみな絶対的なプラス思考で、積極的で、自分は何でもできると信じています。」(p.16)
「赤ちゃんは他人の目など気にしませんし、反省や落ち込みとも無縁だからです。」(p.17)
ここでのポイントは2つです。1つは、赤ちゃんは自己卑下したり、罪悪感を抱いたりせず、完全にポジティブだということです。もう1つは、誰もがそうだった、ということですね。
では私たちは、どうしてそんな「赤ちゃん脳」を失ったのでしょう?それを西田さんは、教育によるものだと言います。
「転んでケガをするからやめなさいというような、あれもダメ、これもダメというようなダメ教育は、子供からチャレンジ精神を奪います。人は何度も失敗を重ねることで経験値を高め、いずれ失敗しなくなるものですが、親が先回りして失敗をさせないことで失敗自体が悪いことだと脳に刷り込まれていくのです。」(p.20)
こうして後天的に、「赤ちゃん脳」ではなくなっていったのです。
ですから、「赤ちゃん脳」に戻すには、マイナスの刷り込みをプラスの刷り込みに変えれば良い、ということなのです。
「とにかく素直に受け入れ、続けてみること。
それこそが、赤ちゃん脳になるための条件です。」(p.28)
できるかどうかなど考えない。むしろ、根拠がなくても「できる」と思い込んで、プラスの刷り込みを続けること。これだけだと西田さんは言います。
ここからは、テクニックになります。いろいろな方法が示されていますが、必ずしもすべてをやる必要はないでしょう。1つでも2つでも、自分に合った方法を取り入れ、実践していくことですね。
ここでそのテクニックのすべてを紹介することはしません。気になった文章だけ、いくつか紹介しましょう。
「人は自分のためにはなかなか頑張れず、困難に直面すると諦めてしまいがちですが、他人のため、特に大切な人のためには驚くほど力が発揮できます。」(p.34)
他の誰かを喜ばせている自分をイメージすること。それが重要だと言います。
「あなたもメンタルタフネスになりたい、レベルアップしたい、成功したいと考えるなら、100回失敗してください。100回失敗したら目標が達成できるという意識に変われば、できるだけ早くしてしまうのが得策だと思えるでしょう。」(p.66)
「失敗ポイントカード」を作って、失敗するごとに丸でマスを埋めていくのだそうです。そのとき、「下手な反省など絶対にしてはいけません」と西田さんは言います。
「本当にしなければいけない反省は「どうやったら解決できるだろう」「次はどういう戦略でいけばうまくいくだろう」といった次につなげるための発展思考です。」(p.67)
要は、罪悪感を抱くような、自己卑下するような反省はするな、ということですね。
「反省するなといっても、上司やお客を怒らせたりした時には、謝らなければいけないこともあります。しかし、そんな時でも心からの謝罪などしてはいけません。脳が不快になるだけです。挨拶代わりの謝罪は、”心を込めずに元気よく”をモットーにしましょう。」(p.71)
これは傑作です。ここまではっきり言い切られると、かえって痛快です。これ、ぜひ実践したいと思いました。
「ネガティブ脳のくせで「本当にできるだろうか」と否定的なことを考えた時でも「いや、自分なら絶対できる」と最終的にポジティブに切り換えればいいのです。
100回ネガティブになろうとも、101回目でポジティブになればいいだけのこと。ポジティブになれないことで落ち込むのはやめましょう。」(p.86)
ネガティブになってしまったときも、ポジティブに乗り切ることが重要なのですね。
「人を喜ばせると、あなたに対して相手の脳が快になるため、応援者が増えていきます。また、人にいいことをすると、あなたの脳も快になり、やることなすことがうまくいくようにもなるのです。
自分のことを好きになれない人は多いものですが、他喜力を使っていくと、自分のことも好きになれます。」(p.87)
「他喜力」というのは西田さんの造語ですが、ただ存在するだけで周りを幸せにする赤ちゃんのように、人を幸せにする力を持つことも重要ですね。
「「うまくいくかも」
「今日はツイてるかも」
それならばすんなり受け入れられるのではないでしょうか。
人は行動によって条件づけられた記憶のほかに、実は想像による条件づけ記憶も行っています。ですから「〜かも」という想像の表現でも、体験したことと同じように脳のネットワークにインプットされていくのです。」(p.106 - 107)
これを「かもめの法則」と呼ぶそうです。なかなか命名も面白いですね。
西田さんは、叱ってくれる人にも感謝するように、と言います。自分のことを思ってくれるからこそ、口うるさく叱ってくれるのですから。
叱られたときは落ち込むのではなく、こんなにも自分のことを思ってくれるのだと思って、感謝すればよいのですね。
「実際はわかりません。ストレス解消のために怒っているだけかもしれませんし、あなたが失敗したことで自分が面倒なことになって単純に腹を立てているだけかもしれません。
しかし、結局、それは本人にしかわからない、もしかしたら本人ですらわかっていないのですから、都合よくとらえていたほうがお得なのです。」(p.129)
「神との対話」でも、自分に都合の良い理由をでっちあげろと言っていますが、まさにそういうことなのです。
西田さんは、子どもの教育についても、「赤ちゃん脳」を失わせないようにすることを訴えます。
「また、子供を赤ちゃん脳のまま育てるために、ダメ教育はやめましょう。命に関わるようなことでなければたいしたことではありませんから、やりたいようにチャレンジさせて自分で失敗から学ばせるのです。」(p.175)
子どもの可能性の芽を摘まないことは、自分を励ますことにもなると思います。仮に叱らなければならないことがあっても、次のことを注意するよう言います。
「ですからまず叱ってから、褒めるというのが正解です。そうすると振り子の法則で、叱られて脳が不快になった分、褒められることで大きく快に振れるのであなたに対する感情も悪くなりません。」(p.183)
最後は褒める。そうすれば、褒められた印象が脳に残るのです。このテクニックは、自分自身にも使えます。仮に自分にダメ出ししたとしても、最後は褒めてやればいいのです。
脳の働きを研究し尽くした西田さんだけに、脳を快にすることの重要性と、そのためのテクニックが網羅された一冊になっています。
ぜひこの本を読んで、人生に役立ててほしいなと思いました。

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