インタビュアー恵子さんこと北岡恵子さんの本を読みました。
お札に描かれた福沢諭吉氏にインタビューして書いたというもの。これは第一巻ですが、続編として樋口一葉氏、野口英世氏、紫式部氏にもインタビューするという全四巻になるのだそうです。
これが実際にインタビューしたものなのかどうか、最後の最後までよくわかりませんでした。
「はじめに」で、この本を書くきっかけとして、手術後の目覚めがあったと書かれているのですが、そこには福沢諭吉氏の話は出てきません。
最後の「あとがき」になって、「家計簿付けながら諭吉さんに話しかけてみた」という話が出てきます。
そこで得られたインスピレーションが、「自分との付き合い方」であり、「システムを変える」ということだったのだと。
それから手術後の目覚めなどがあり、それまでの出会いで気付かされたことなどを含めて、このインタビュー形式の本になったようです。
どおりで読んでる途中から、「何か腑に落ちないな」という気がしたのです。
話が作られすぎている感じがして、途中で飽きてきたのです。
まあそういう面もありますが、なるほどと感じた部分もあります。
ということで、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「だから、今は、不安じゃないんだろ?お金たちが作っているのは、今という瞬間の喜びなんだよ。今今今今の繰り返しが過去であり、未来へと繋がっている。だから、私たちを使って得た今のその喜びを感謝して、私たちをリスペクトしてくれたら、またあなたのところに戻って来ると約束するよ。」(p.23)
まずお金には意思があり、自分たちが行きたいと思う人のところへ流れていくのだと言います。
どういう人のところへ行きたいかと言うと、喜んで感謝してくれる人のところだと。そして、お金を働かせてくれる人、つまりお金を貯めこまずに循環させてくれる人だそうです。
「まずは、今という瞬間を喜んで生きる、と決めることだ。今という現状を逃げることなく向き合って、感謝の気持ちをもって進むこと。過去に後悔をせず、未来に不安を持たずに、今というこの瞬間を、ずっとずっと大切にして、今という、目の前に現れる事柄、人や物をずっとずっと大事にすること。過去のことを持ち出して愚痴愚痴言わないと決めることだ。」(p.27)
お金は、器の大きい人のところに集まると言います。では器を大きくするにはどうすればよいか?それがここに書かれたことで、これを必ず実行するようにと言います。
「本当に、今という瞬間を捉えるというのは、とても難しいことなのかもしれないが、いつでも、いつの瞬間も、喜びで溢れていることが、今という瞬間を生きていると言えるんだ。」(p.34)
何かをしながらも、心ここにあらずで、起こるかどうかもわからない未来のことを心配したり、過去のことを悔やんだりしがちです。
けれども、コンサートなどで楽しさの中に没頭しているときは、心配も後悔もしていません。だから、そういうように常にワクワクし、喜んでいることが大切なのだと言います。
ただし、ワクワクして楽しいことと、楽をすることは違うと言います。たとえば大リーガーのイチロー選手は、けして楽はしていません。でも、楽しい野球に打ち込んでいるから、お金が通って行くのです。
そう諭吉氏が説明すると、恵子さんは「それはイチローだからできる」と言い、自分にはとてもできないと反論します。
「それは違う。「できない」のではなくて、「やらない」だけだ。本当に好きで楽しいことをしたいと思ったら、楽な道ではないとわかっていても、頑張る気力が出てくるはずだ。そうしたら、そのことに集中して、一生懸命やるだろ?それを続けている人というのは、私たちお金チームにも分かるから、その人を応援しようという気になるんだよ。」(p.37)
能力の問題ではなく意思の問題だ。そう諭吉氏は説明します。
しかし、イチロー選手のように、具体的な目標や夢がない人も大勢います。そういう人には、まず「幸せである自分」に目標を設定するようにと言います。
しかしそこで、「幸せになりたい」と思ってはダメだと言います。
「それは、まず前提条件が間違っているからなんだよ。幸せになりたいと願っているということは、今は実は幸せではない、ってことの裏返しなんだよ。今幸せじゃないから幸せになりたい、と願うんだろ?でも、そうではなくて、「今も幸せです。そして、今よりさらに幸せである自分になります!」という設定にするんだよ。」(p.40)
今も幸せというところがスタートで、さらに幸せになるという考え方をすべきだということですね。
この考え方は、先日読んだ「宇宙シナリオからのメッセージ」にも書かれていましたね。「×→○」ではなく、「○→◎」にするのだと。
日本人には、「見えないけれど在るっていうのを感じられる」という民族性があると言います。ですから世界の中で日本は、樹の根っこの役割があるのだと。
「そうだよ。そして、この根っこの部分というのは、実は、役割だから変えようがないんだよ。日本根の国底の国なんだ。その根の国である役割をしっかりとこなすことで、地球全体が、世界がまとまっていくんだよ。日本人というのは、縁の下の力持ちってことなんだよ。」(p.50)
根の国と言われると、島根県出身の私としては、なんだか親しみを覚えます。
根は、縁の下の力持ちとして全体を支える。いわば母のような役割。国連の負担金を多く収めていることも、日本の働きに適っているのかもしれません。
そして次に重要なのが、「自分をリスペクト」することだと言います。リスペクトとは尊敬すること。したがって、「自分自身の存在そのもに敬意を表すること」なのです。
自分を大事にして、自己卑下しないことですね。自己肯定感を高くすることが重要だということは、多くの人が指摘しています。
また、お金は、「困っているからお金様に来てほしい」という人ではなく、こういう人のところへ行きたいと言います。
「「自分にはこんな夢があります。この夢の実現には、これだけは必要です。この夢が叶えられることで、日本という国がさらに良くなり、発展します。そして、私は、私のところを通過してくれるお金様に、喜んでもらえるような働きをします!」って宣言してくれるなら、私たちお金は、喜んで仲間に伝えるよ。「この人、私たちを大切にしてくれるから、大丈夫だから、行こうって」」(p.55 - 56)
お金が働いてくれることに感謝する気持ちを持つことですね。だからまず、謝ることが重要だと言います。
「だから、まずは、私たちお金に対して、今まで側にいてくれたのに、ずっとありがとうって言わずに、ごめんって謝ってほしいなあああ。
(中略)
そう。「謝りを感じる」と書いて「感謝」なんだからね。」(p.57)
そして、「不安だから節約しようと思う」ことはただのケチだから、お金を大事にすることにはならないと言います。
「自分の大切な未来への投資のために、コツコツと溜めて節約することには、私たちは大賛成だ。でも、不安で、この先何があるかわからないから、不安だから節約するというのが、ケチというんだ。」(p.59)
そうやってケチケチしていると、病気や怪我で痛い出費を迫られることになると言います。不安が的中するのです。
「そういうことに使わざるを得ない状況を生み出してしまう、ということだ。もし今不安で、節約や貯金をしていたとしたら、私たちお金に謝ってほしい。そして、不安ではなく、希望でお金を循環させたい!とコミットメント、つまり決意を述べてほしい。」(p.61)
ここでも不安ではなく、安心していることだと書かれていますね。
そして、「まずは自分は絶対愛されているという自信を持つことが何より大切」だと言います。それでも、なかなかそう思えない人に、こうアドバイスします。
「じゃあこう言い換えたらどうだい?だってどうせ神様から愛されているんだから今生かされているんだもんって。今あなたがそこにいるという事実は神様から特別に愛されているという証拠なんだよ。」(p.228)
まるで心屋仁之助さんのようなことを言われますね。(笑)
ずいぶんと途中を飛ばしましたが、そこには食品の問題などが書かれています。
たとえばパンや牛乳は、日本人の力を削ごうとしたアメリカの策略だとか。また料亭の弁当でさえひどいことがあるのだから、ましてコンビニの弁当は人の食べ物ではないなど。
ただしどんなものでも、感謝してよく噛んで食べれば、毒が中和されるということも書かれていました。
そして、本物の味噌を紹介したり、浄水器を紹介したりしています。
これらについては、お金とどう関係があるのかよくわからないし、それが本当に本物かもよくわかりません。
なので、こういうことを福沢諭吉氏に推奨させるというやり方は、何か違和感をおぼえます。
教育勅語の話や、乃木希典氏の話も、そういう見方もあるとは思いますが、それとお金の話とは関係がないようにも感じます。
ということで、前半の部分には共感するところも多かったのですが、後半は「お金」との関係において疑問に感じるところが多かったです。もちろん、個々の話については、共感する部分もありますよ。
ただし、これは私の感想ですからね。この本を読んで、すべてが素晴らしいと感じる人もおられるでしょう。
私の感想は、参考程度にしていただけるとありがたいです。
