2015年05月21日
糖質はいらない
またセミナーの参加者から献本していただいた白澤卓二氏の本を読みました。今回は、わざわざご本人のサインまでしてもらった本です。
以前にいただいたのは、「白米中毒」という衝撃的なタイトルでした。
今回のは、そこからさらに一歩踏み込んでいる感じです。
さっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「走ると足が痛くなるのは、高級なランニングシューズを履いていたから。『BORN TO RUN』では、このショッキングな事実が明らかにされました。
(中略)
裸足だとかかとから足をついて走るなんて、痛くてできません。これはかかとにクッションが入った高級なランニングシューズを履いて、はじめてできることです。
でも、ランニングシューズを履いて走っていても、ひざを痛める人が少なからずいます。それは、人間の体が本来そうあるべきでない走り方をしているせいです。
その証拠にタラウマラ族は、毎日200km走っても足を痛めていません。
(中略)
このように、一般的には常識だと思い込まされているミスリードされた情報は、私たちが思うよりもたくさんあります。」(p.63 - 65)
この話は知りませんでしたが、アフリカ勢がマラソンに強い理由を分析する中で、彼らがつま先から着地していることが発見されたと、以前TVでやっていました。
考えてみれば動物は、みなつま先から着地しています。
さらに言えば、江戸時代の日本人は、つま先で着地して走っています。なぜそれがわかるかと言えば、草鞋(わらじ)です。草鞋は、かかとを覆っていないからです。
常識だと思っていたかかとから着地する走り方が、実は非常識な走り方だった。こういうことは、いくらでもありますね。
私は中学の部活で野球をやっていましたが、夏の練習中は水を飲ませてもらえませんでした。バテるからと言われて。
さすがに昨今は、そんなことを言う指導者はいませんよね?ね?
ここでは、糖質こそが私たちのエネルギー源だという常識も、またミスリードされたものだと指摘しています。
「糖質中毒に陥ると、砂糖や白米、小麦などの虜になり、それらを食べずにいられなくなります。糖質を定期的に摂っていないと「食べるのをがまんできない」「食べないと落ち着かない・イライラする」といった禁断症状におそわれるからです。
そうなると、体は十分なエネルギーを摂っているにもかかわらず、脳を満足させるために食べ続け、糖質の過剰摂取を招くことになってしまいます。
糖質を過剰に摂取し続けると、血糖値が上昇して高血糖状態が続き、やがては糖尿病を発症します。それだけではありません。高血糖状態は動脈硬化を促進し、がん細胞を増殖させ、認知症のリスクを高めます。これらはどれも日本人の死因や寝たきりの要因となる深刻な病ばかりです。」(p.76 - 77)
前の本でも指摘されているように、糖質の過剰摂取が、糖尿病や動脈硬化、がんの原因になっていると言います。
過剰摂取せざるを得ないのは、白米、砂糖、小麦などが中毒物質だからというわけですね。
ここでは詳細には引用しませんが、特に精製されたものほど中毒性が高くなると言います。コカの葉を吸ってるだけならそれほど問題がなくても、精製したコカインだと中毒性が高まる。それと同じだそうです。
「私たちの体は、ブドウ糖が枯渇したときには、ケトン体というまったく別の物質をエネルギー源として利用できるようになっています。旧石器時代の人類やタラウマラ族が糖質をほとんど摂っていなくても活動できるのは、ケトン体をエネルギー源としているからです。」(p.90)
糖質が先に使われるけれど、ケトン体という別のエネルギー源があって、私たちは本来、そのケトン体を主にエネルギー源としていると言います。
それは、血糖値を下げるホルモンはインスリンの1つだけですが、血糖値を上げるホルモンはアドレナリンなど3種類あることからも、私たちは血糖値が低い状況には耐性があるけれど、高い状況には耐性がないと言えるのです。
「つまり、インスリンシグナルが伝わらない状態が長生きをもたらす。インスリンシグナルが老化をもたらすことが明らかになったのです。
これは、当時の研究者からすると驚きの事実でした。」(p.138 - 139)
インスリンを多く使えば使うほど、老化が促進されるという実験結果だそうです。
このことからも、インスリンを使わない状態、つまり血糖値が高くない状態を保つことが重要だと指摘します。
ただこの本を読んで感じたのは、ではそのケトン体はどうやって作られるか、ということへの疑問です。
白澤氏は中性脂肪を分解して作ると説明しています。でもそうなると、その中性脂肪はどうやって作られるのでしょう?
少なくともこの本を読む限りでは、中性脂肪は余ったブドウ糖(糖質)から作られることになっています。そうなると、結局は糖質がエネルギー源となってしまうのではないでしょうか?
ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸からも作られるとありますが、それだけでは不十分でしょう。特に日本人は、ココナッツなんて食べませんから。
狩猟によって得られる肉や魚、木の実、果物、わずかな植物。それらからどうやってケトン体を得るのか。そこが解明されないと、やや不十分な感じがします。
ぜひ、この部分を明らかにしていただきたいと思っています。
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