世界No.1カリスマコーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズ氏の本を読みました。翻訳は本田健さんです。
ロビンズ氏の本は、これまでに「一瞬で自分を変える法」や「人生を変えた贈り物」を紹介しています。
今回紹介する本は、「AWAKEN THE GIANT WITHIN」という原書のパート1部分を中心に、翻訳し直したものになるのだそうです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「本書の原題には、「誰もが”開発されていない才能=眠れる巨人”を内に秘めており、その力を解き放つことで無限の可能性が広がる」という意味が込められています。
では、「どういう時に、その人の才能が目覚めるのか」といえば、一流の人や一流の芸術作品、そして「運命的な本」に出会った時などが挙げられます。」(p.2)
これは巻頭に書かれた健さんの言葉です。健さんは、ロビンズ氏からも影響を受けていますが、他にも多くの人々から影響を受け、自分らしく自由に生きることを伝えておられます。
その健さんは、この本もまた自分が大きく変わるきっかけの1つになり得ると言っているのです。
「重要なのは、信じるだけでなく、実際に行動を起こすことだ。
本書を購入し読み進むだけでも、大きな差がつてくる。」(p.27)
ロビンズ氏は常に、行動することの重要性を訴えています。
ここでもその重要性を言っていますが、本を読むこともまた、行動の一環なのです。最後まで読むこと。それでさえ、実行する人が少ないと、ロビンズ氏は嘆いています。
「「信念」は問答無用の絶対命令のようなものだ。信念があってこそ、すべての行動、思考、感情が形成される。だからこそ、意味のある永続的な変化を人生にもたらすには、自分の信念を変えなければならない。」(p.29 - 30)
まるで「神との対話」やバシャールのような、スピリチュアル系の話かと思うほどです。
けれども、自分の人生を変える上で信念が重要であることは、心理学上からも言えることです。
自分が自分のことをどう考えているか、どういう人間だと信じているか、それが大切なのですね。
「今決断しないとすれば、それはそれで一つの決断を下したことになる。つまり、「自らの手で運命を切り拓く」のではなく、「周囲の環境に自分の運命を託す」という決断をしたことになるのだ。」(p.42)
これも「神との対話」で同様のことが言われています。
決めないということは、決めないということを決めたことになるのです。その思考が現実を創ります。
「ここで強調しておきたいのは、初めのうちは、夢を実現する具体的な方法など、それほど重要ではないということだ。大切なのは、「石にかじりついてでも必ず方法を見つけてやる」と決断することなのだ。」(p.47)
これもまた「神との対話」でも言っています。方法は与えられます。重要なのは意思です。決めることです。
私も含め、多くの人はできることをやろうとしてきました。つまり、方法がわかってから「やる」と決めたのです。
それが悪いということではありません。ただこのやり方だと、今の自分から飛躍することが難しいでしょう。相変わらず現状維持になってしまうのです。
「だから「決断する」とは、「目標を達成することに全力を注ぎ、それ以外の可能性はすべて切り捨てること」を意味する。」(p.49)
最初に「やる」と決める。決めるかどうか、つまり意思の問題です。それから、その決めたことを絶対に成し遂げるという思いで、行動し続けることなのです。
「よりよい決断をするには、決断することにどんどんトライすることだ。」(p.50)
決断することもまた、慣れが必要なのですね。何度も決断をすることで慣れ、決断に習熟して行くのです。
「つまり、あなたの運命を決定づけているのは、過去の出来事でもなく、何に注目し、どんな意味づけをし、どんな行動をとるかという「決断」なのだ。」(p.51)
自分がどんな人になり、どんな人生を送るのかは、「何に注目するか」「それにどんな意味づけをするか」「そのためにどんな行動をろるか」という3つの決断で決まるということです。
これを意識的にやらないと、これまでのように無意識に惰性で無駄な決断を繰り返すことになってしまいます。
「神との対話」でも、意識的に生きることを勧めています。それは、意識的に自分の思考をコントロールする、ということです。
「「人間の脳がどう働くかを本当に理解すれば、自分の人生が冴えない理由を長々と分析する必要などなくなる。苦痛と快感から何を連想するかを変えるだけで、一瞬にして人生を自分の力で変えることができる」というのが私の主張だった。」(p.80)
ロビンズ氏は、「変化は一瞬にして起こる」と強調します。これはNLP(神経言語プログラム)を利用したやり方で可能だそうです。
ただし、そのためには「自分で変わる」という意志が必要だそうです。誰かに変えてもらおうという考えでは、なかなか変わらないし、たとえ変化が起こっても継続しないと言います。
では、自分をその気にさせるには、どうすれば良いでしょうか?それには、次の3つの信念を身につけることだと言います。
@「絶対に変わらなければならない」
A「自分の力で変えなければならない」
B「自分は変わることができる」
「ただ、減量であれ、禁煙であれ、恐怖症の克服であれ、自分の人生に変化を起こせるのは、ほかでもない「自分」だけなのだ。」(p.88 - 89)
このようにロビンズ氏は、自分から積極的に変わろうとすること、そして変われると信じることの重要性を強調します。
「「自分の行動を変えたい」と思ったら、効果的な方法は一つしかない。
「手を切りたい行動」には耐えがたいほどの苦痛を結びつけ、新たに習慣にしたい行動にはダイレクトで、想像を絶する快感を結びつけるのだ。」(p.92)
いわゆる「アメとムチ」になります。やめたい習慣にはムチを、取り入れたい習慣にはアメを、それぞれ結びつけるのです。
そして次のように、自分の行動パターン(習慣)変えるための方法を、段階的に説明しています。
@「心からほしいもの」に意識を集中する
A「今すぐ」変化を起こすための”理由”を見つける
B「これまでの習慣」と「苦痛」を結びつける
C「新しい習慣」と「快感」を結びつける
D「条件づけ」で新しい習慣を定着させる
Eこの”テスト”に合格すれば、もう大丈夫
Aでは、変化が起こるのは、痛みが限界に達した時だとして、次のように言います。
「いまのパートナーと一緒にいても全然楽しくない。だったら別れればいいのに、なぜそうしなかったのか。たぶんあなたは、「そりゃあ、今は不幸せだが、この人と別れても、もっといい人が見つかるとは限らない。今はつらいけど、なんとかやっていける」と考えたに違いない。
こうした考え方が、変化を起こそうという決意の邪魔をするのだ。しかし、ついに、「腐れ縁を断ち切って、一人になるほうがましだ」と思う日がやって来る。そして”痛みの限界”に達したあなたは変化を起こすのだ。」
これを効果的に利用するには、テコ(レバレッジ)を効かせることだとして、自分に効果的なレバレッジ・ポイントを見つけることの重要性を指摘します。
またCでは、新しい習慣を定着させることの重要性を、次のように説明します。
「古い習慣のパターンを崩すだけで終わってしまうと、それに取って代わるあまり感心できないパターンを脳が勝手に見つけてきてしまう。禁煙して太る人が多いのは、そのためだ。脳が喫煙と同じ快感を得ようとして、食べすぎてしまうわけだ。だから、新しい行動と感情のパターンを意識的に選択することが、非常に重要になるのである。」(p.100)
Dでは、ちょっとしたことで自分に褒美を与えることが重要だと言います。
「たとえささやかなことでも、すでに永続的な変化を起こすための一歩を踏み出しているのだから、誉められて当然なのだ。どんちゃん騒ぎをしてもかまわない。
自分に肯定的なフィードバックを与え続けることで、新しい感情や行動のパターンは強化され、やがては条件反射に近い無意識の反応になるのである。」(p.101)
自分を誉めることは、重要なことなのですね。
最後のEは、手を切りたい行動を引き起こす状況を思い出し、それでも大丈夫かを自己チェックするということになります。
これがNAC(神経連想コンディショニング)の6つのステップだそうです。
「現状を打破するためには、「幸せで、人から好かれる人になるためには、どこを変えればいいのか」と考えなければいけない。最初は、あなたの脳も「どうしようもないですよ」と答えるかもしれないが、信念と期待を持って問い続ければ、やがてはあなたにふさわしい答えを返してくるだろう。」(p.114)
これはとても重要な部分だと思います。つまりコーチングなどで質問が重要だと言われますが、答えが出せないこともあるのです。
そのとき、「やっぱり無理だよ」という結論を出してはダメなのです。辛抱強く、必ず答えはあると信じて、問い続けることが重要なのですね。
心の状態を瞬時に切り替えるためには、次の5つの質問が有効だと言います。
「@この問題の「いいところ」は何か
Aまだ改善の余地はあるか
B思った通りの結果を得るために、やろうと思うことはどんなことか
C思った通りの結果を得るために、このまま続けていてはいけないことは何か
D思った通りの結果を得るために「必ずやらなければならないこと」を楽しくやるにはどうすればいいか」(p.121 - 122)
ここでもやはり、最初は脳が抵抗し、「答えはない」と答えてくるかもしれません。それでも、何度も繰り返し、問い続けることが重要だと言います。
そのとき、見方を変えてみる、ということがポイントになります。これまでと同じ見方をしていたら、同じ答えしか出てこないからです。
別の角度、別の視点から見てみる。距離を置く。未来から見てみる。そういった手法も重要ですね。
人生で「絶えず自分に問いかけるべき質問」が2つあると言います。これが苦境に立たされた時、自分を助けてくれるのだと。
「それは、「何かいいところはないか」と、「これをどう利用できるか」という質問だ。
どんな状況であれ、「何かいいところはないか」と考えるだけで、プラスの意味を見出せる。また、「どう利用しようか」と考えることで、どんな困難も有益なものに変えられる。」(p.130)
これが、見方を変えるときのポイントだと言えます。この2つの質問で、ピンチがチャンスに変わるのです。
「にわかには信じがたいかもしれないが、普段使っている言葉(自分の気持を表現するために使っている言葉)を変えるだけで、たちどころに考え方、感じ方、生き方を変えることができるということだ。」(p.138)
普段使う言葉の重要性は、小林正観さんや斎藤一人さんなども指摘しています。また福島正伸さんも、問題が起こったら「チャーンス!」と言うことを勧めていますね。
ロビンズ氏も、「頭に来る」を「ちょっと癪に障る」に変えるだけ、大きな変化があると言います。
自分が言った言葉によって、自分の感情が喚起されるからです。
「要するに、経験と結びついた言葉が、そのまま経験になるのだ。
だからこそ、感情の状態を表現する言葉は慎重に選ぶ必要がある。」(p.143)
言葉が感情を呼び、感情が経験を決める。だから、言葉が重要なのです。
「感情とは「目的達成のためにとるべき行動とは何か」を示す”心の羅針盤”なのだ。この羅針盤の使い方を知らないと、いつまでたっても感情の嵐に翻弄されるばかりだ。」(p.182)
「もし感情を排除したり押し殺したり、逆に実際以上に感情を肥大化させ、絶えず感情に振り回されていれば、あなたは貴重な能力の一つを無駄遣いしていることになる。」(p.183)
つまり、感情はしっかりと感じることが重要なのです。そしてその感情を「行動を促すきっかけ」として捉えることですね。
感情を感じることの重要性は、「神との対話」や「「ザ・マネーゲーム」から脱出する法」などでも指摘しています。
押し殺したり、無視したりしてはダメなのです。
「楽しい気分になるために、特別な理由など必要ない。
ただあなたが、その瞬間に楽しい気分になればいいだけのことである。
感情の源があなた自身であるなら、いつでも楽しくしていればいいではないか。」(p.184)
まずこのように、感情は自分が生み出しているものであり、自由に選択できるものだと指摘します。
だからどんな感情が起ころうとも怖れることなく、感じれば良いのです。そして感じた感情から、次の行動を導くのです。
そうすれば、それまで感じた感情とは違う、より好ましい感情に変えられます。
「もし一番初めに「怒っている」と思ったら、
「自分は本当に怒っているのだろうか。それとも何か別のことを感じているのではないだろうか。本当は傷ついたり、何かをしくじったと感じていたりするのではないだろうか」
と自問し、「本当の感情」を探っていくこと。」(p.185 - 186)
野口嘉則さんも、怒りの感情は二次的な感情だと言っています。一時的な感情とは、恥ずかしさだったり、寂しさだったりするのだと。
そういう一時的な感情を感じたくなくて、代わりに怒りの感情を起こしているのですね。
ロビンズ氏も、怒りの感情を感じた時は、隠された本当の感情を調べてみるようにと言っています。
「感情は「悪」だとする姿勢では、激情の波を鎮めることはできない。抵抗すれば、感情はますます勢いを増してくる。
すべての感情をわけへだてなく受け入れること。そうすれば、親の愛情を欲しがる子どもと同じで、感情もすぐにおとなしくなるだろう。」(p.187)
感情は抵抗せずに、しっかりと感じ切ることが重要なのですね。それが自分の感情を上手にコントロールする方法なのです。
「勝ち組になるには、一貫性が欠かせない。そして一貫性は習慣によって身に付けられる。」(p.250)
「神との対話」でも、私たちの思考は一貫性がないと指摘しています。出来事や環境に翻弄されているからです。
ロビンズ氏も一貫性が重要だと指摘し、それを得るには習慣、つまり何度も繰り返すことが重要だと言います。
「しかし実際には、心配や不安は、極めて非生産的な感情である。
「行動を起こす力」になるよりも、挫折や恐怖心で身動きがとれなくなることのほうが多いからである。」(p.256)
ロビンズ氏もまた、不安や心配が、非常に良くない感情であると言います。こういう点も、「神との対話」と共通していますね。
ロビンズ氏は、NLPやコーチングの手法によって、人生を変えられることを主張しています。
しかしこの考え方、理論の根本は、実にスピリチュアルな分野と一致しています。
こういうところが、とても面白いと思っています。
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