元プロテニスコーチ・スポーツ心理学者の児玉光雄氏の本を読みました。
著者のことはよく知りませんが、タイトルにもある錦織圭(にしごり・けい)選手は有名です。私と同郷の島根県出身ということもあり、とても親近感がありますね。
ちなみに「錦織」という姓は島根県に多いそうで、読み方は「にしきおり」「にしごおり」「にしごり」などがあるそうです。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「本書では、まずPART1で、錦織とチャンの関わりについての両者の発言をピックアップし、錦織がチャンからどのような考え方を学んだかについて紹介したい。PART2では、錦織の印象的な言葉を紹介し、その強さの秘密を探っていく。」(p.5)
このように本書は、錦織選手やチャンコーチを観察し、その発言を分析することで、錦織選手の活躍の秘密を探ろうというものです。
さらには、読者がそこから何かを学ぶことで、読者自身の人生に生かせるように考えられています。
「勝てない相手はもういないと思います。」(p.14)
2014年の流行語大賞にノミネートされた錦織選手の言葉だそうです。
2014年全米オープン4回戦で、宿敵のミロシュ・ラオニッチ選手に、大会歴代タイ記録となる4時間19分の接戦を制した後、この言葉が出てきたのだとか。
「「自己イメージ」が一流と二流の人間を隔てている。同じ才能を持った人間の勝敗を分けるのは、自己イメージの描き方の違いにあると私は考えている。
(中略)
結局錦織のように「もっと凄い自分にめぐり会える」という高いレベルの自己イメージを描ける人間だけが、一流人の仲間入りをすることができるのだ。」(p.15)
自分の可能性を制限しているのは自分自身だと、私もよく言います。人間は本来、完璧な自由なのです。それをあえて制限しています。
ですから、その制限をどれだけ取っ払うことができるか、そこが重要になります。つまり、どこまで自由でなんでもできる自分をイメージできるか、ということですね。
「つまり、私たちの潜在能力を閉じ込めているのは、「自分はできない」という思い込みなのだ。
チャンは錦織の思い込みを覆すために「お前は世界のトップになれる!」と繰り返しメッセージを送り続けた。それが錦織の大躍進につながっている。」(p.39)
心理学で言うピグマリオン効果です。「すごい!」と言い続けていれば、本当にそうなるというものですね。
チャンコーチのそういう励ましを、錦織選手はこう言っています。
「ちょっと言い方悪いかもしれないけど、
軽く洗脳してきますんで。」(p.38)
ですから私たちも、自分のことを自分で洗脳したらいいのです。「私はすごい!天才だ!なんでもできる!」
心屋仁之助さんは、「どうせ愛されてるもん」という言葉を言うようにと、ブログなどで発信しておられますね。
現実がどうかではなく、本当の自分の姿を知って、それを口にすることで、そういう現実が現れるようにするのです。
「スポーツ界のみならず、ビジネス界でもライバルとの接戦は消耗戦に持ち込まれることが多い。
しかしそんな厳しい戦いで必ず勝利するのは最後まで持久力のある人間のほう。結局どんな世界でも、執着心のより強い人間が勝利するのである。」(p.84)
このことは、私もよく言っています。「諦めない」ということが、勝利の秘訣なのです。
旧約聖書にあるヤコブが天使と組み打ち(相撲のようなもの)をして勝ったというエピソードは、まさにこの秘訣を物語っています。
以前の記事「成功するコツはたった2つしかなかった」に詳しく書いたので、こちらもご覧くださいね。
「「自分はもっと凄い人間になれる!」と繰り返し自分に言い聞かせて自己イメージをいますぐ書き換えよう。それがあなたに凄い成果をもたらしてくれる。」(p.109)
女子テニスの李娜(リー・ナ)選手は、アジア人として初めて、4大大会の2011年全仏オープンで優勝しました。
この事実から錦織選手が感じたのは、自分と同じアジア人が優勝したのだから、自分にだって優勝できるということです。
優勝したから優勝できると考える(信じる)のではなく、優勝できると信じたから優勝するのです。
錦織選手にも、ピンチはたくさんありました。壁に直面し、意気消沈しそうなこともありました。
しかし彼は、諦めませんでした。自分を信じたのです。
それを錦織選手の才能と言ってしまうことは簡単ですが、私はそうは思いません。
自分にもできると考え続け、言い続けたのだと思います。たとえそのときの気分がどうであれ。
私たちにも、同じようなことができると思います。
結果が出なくても、いや、結果が出てないからこそ、自分を励まし続けるのです。
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