フランク・アジャバ・ペッター氏による靈氣(レイキ)の本を読みました。
フランク氏は、日本に西洋レイキを広めた第一人者です。奥様が日本人だったということもあって、日本語には精通しておられます。
そのフランク氏が、レイキをもっと深く知りたいと、日本でレイキの歴史を訪ね歩き、直傳靈氣の山口千代子氏やご子息の忠夫氏、門戸を閉ざしている臼井靈氣療法学会の小川二三男氏、小山君子氏などに会ってインタビューした集大成が、この本なのです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「学会の会員について小山先生はこう語った「会員ひとりひとりが人格を形成し心を浄化すべく努力しています。健康を保つためによく養生をし、正しく食べ、よく眠ることを心がけているのです。日々自己靈氣をかけます。靈氣は体中どこにでも効き、免疫力を高めます。内臓の働きを活発化し、新しい細胞の生成を促進するので、医療や手術に頼る必要がなくなります」」(p.56 - 57)
これが、創始者の臼井甕男氏が設立した臼井靈氣療法学会の会長を務めた小山氏の言葉です。
身体は神が宿るところだから、よく養うことが大切だと伝えられてきたのでしょう。
レイキをすることはもちん重要なのですが、それ以前に、心身を健康に保つという考え方が重要なのだと思います。
「臼井靈氣療法必携」という冊子は、臼井氏が生徒たちのために残した指導マニュアルです。ここには、インタビュアーと臼井氏の会話形式で、靈氣についての重要な考え方が掲載されています。
「(靈氣を)私物化するようなことを、私はけして誰にも許すつもりはありません。
(中略)
だからこそ、私は人間の公益のためにこれ(靈氣)を広く伝えることで、誰もが天からの恵みに浴し、それによって靈と肉体が一体となり、ひいては社会全体が天の与える福祉を実現することを目指しているのです。そもそも私たちの靈氣療法は、宇宙のエネルギーに基づく靈氣の独創的な療法ですから、そのパワーを得ることで、まず身体が壮健になり、穏健な考え方が得られ、生きることの愉悦感が増すのです。」(p.76 - 77)
まず臼井氏は、レイキを私物化しないと明言されています。これはつまり、レイキは臼井靈氣療法学会だけのものではない、ということも表していると思います。
また、レイキによって、まずは魂と肉体が一体化すること、そしてそれが社会全体に広がることを示しています。
そしてレイキのことを、「宇宙のエネルギーに基づく靈氣の独創的な療法」と説明し、宇宙のエネルギーに関係しているものであると言っています。
したがってそのエネルギーを得ることで、まず身体が癒やされ、続いて精神が癒やされ、生きることに積極的になれるのです。
続いて臼井氏は、臼井霊気療法がどういうものかを説明します。
「私の教義を成就し、心身を練磨向上させ、人として正道を歩むためには、第一に心を癒し、第二には肉体を健全にしなければなりません。心が誠の道に適い健全であれば、肉体は自ずから壮健になります。
そうして靈と肉体がひとつとなって平和と享楽の生涯を全うしながら、他の病者を癒し、自他ともに幸福を増進することが、臼井霊気療法の使命なのです。」(p.77)
先ほどと同じようなことですが、まずは心を癒やすことが重要だと言っています。心が健全になれば、肉体も壮健になるのだと。
そして、まず自身の心と体を癒し、魂と肉体を一体化させた上で、他者の病気を治すこと。それによって、自他ともに幸福を増進することがレイキの使命なのだと言います。
それから、レイキがどのような療法かを次のように説明します。
「心霊的な療法と言うこともできますが、物質的療法(身体による癒し)と言ってもかまわないでしょう。なぜなら、施術者の身体中から氣と光が放射するからです。特に眼、口、手から多く発します。ですから、患部を二、三分の間凝視するか、呼気を吹きかけるか、手で撫でたりしていますと、歯痛、頭痛、胃腸病、神経痛、乳腺症、打ち身、切り傷、火傷、その他の腫れや痛みなどはたちどころに痛みが去り、腫れがひきます。ただし、慢性疾患についてはそうもいきません。何回かの治療を要しますが、それでも一回の治療で効果が現れます。」(p.78)
このようにレイキ療法について説明し、百聞は一見にしかずだから、その効果を自分の目で確かめるようにと言います。
実際私も、レイキで痛みが消えることはたびたび経験しています。そういう経験を重ねる度に、「レイキってすごーい!」と思ってしまうのです。
またレイキは、身体の病気以外にも効果があると言います。
「心の患い、つまり憂鬱、虚弱、臆病、優柔不断、神経質その他の悪癖を矯正することができます。そして(靈氣を得ることで)神や仏のような心になり(施術者は)人々を治療するのを使命と感じるようになり、自他共に幸福に充ちることができます。」(p.79)
性癖治療と呼ばれますが、レイキには精神疾患や性格、悪癖を治す効果もあると言います。それとともに、施術者にも良い影響を与えるのだと。
私もレイキを始めたことで、人々に貢献することが使命だと感じるようになりました。
修得したレイキで病気や怪我で苦しむ人を助けてあげたい。そういう気持ちが強くなったのです。
また、レイキが誰にでもできるものかという質問には、このように答えています。
「生を受けた万物の者は、何であっても天恵として治療の靈能を備えているものです。
(中略)
老若男女は問わず、学者でも無学者でも、常識を備えている人ならばわずかの時間の間に立派に自分の病気を治し、他人の病気を癒す靈能を確実に得ることができます。」(p.82)
つまり植物や動物も、もともと治療の能力があるのです。ましてや万物の霊長である人間に、その能力がないはずがないと。これは自然治癒力と言われるものです。それを具体化したものがレイキだと説明するのです。
そしてそのレイキは、およそ常識的な考えができる人であれば、誰でも修得できると言います。これまで1人も、修得できなかった人はいないと説明しています。
第三代会長の武富咸一氏の治療法について、次のように書いています。
「血液感染とみられる子どもの治療中のこと、原因が過労にあると判断した先生は、子どもの背骨に施術することで癒したという。正確な診断があってこそ治療効果が上がることを、そうして弟子たちに伝えた。」(p.90 - 91)
やみくもに手を当てているだけでは、あまり効果が望めないということなのでしょう。
実際、臼井靈氣療法や直傳靈氣では、病腺(びょうせん)と呼んで、身体の悪い部分が手に感知され、場合によっては手が勝手に病腺に移動するとさえ言います。
どこに手を当てるかも、レイキが導いてくれるというわけです。
フランク氏は、山口千代子氏から霊授(アチューンメント)を受けており、直傳靈氣を修得されています。今は大師範として、代表代行として、直傳靈氣の重鎮となっておられます。
そのフランク氏が千代子氏から習った時の様子が、以下のように書かれています。
「病腺は千代子先生が最も訴えたい靈氣の秘術だった。
「手を置いてください、何か感じますか?」
脈拍と強いピリピリ感を覚えた。急にこんなことを聞いてみたくなった。
「先生は靈氣をかけている間、何を感じていますか?」
「愛ですね」
(中略)
「私は施術に出かけてバスに乗ることがあります。バス停で辛そうにしている人に出会うと、靈氣で癒してあげたくなります」
それが答えだった。
「患者さんとあなたにとって一番心地よいやり方を探してください。ご自分の腎臓にかけるなら、手のひらを背中に当てるのは都合が悪いですね。そういう時は手の甲でもいいんですよ」
それから千代子先生はおもむろに、ひとりの生徒の両足を軽打し、さすり始めた。
「うっ血していると感じたら、マッサージするとか軽く叩いてあげるとか指圧を加えるといいですよ。そうすれば、靈氣が深く入ります」」(p.126 - 127)
レイキを愛だと感じるのは、どうやら私だけではなさそうです。レイキをするとみんな、優しい気持ちになれるのでしょう。
あとの部分は、レイキの技術に関する内容です。場合によっては手の甲でもよい。これは、レイキが体中から出ることを証明しています。特に手のひら、眼(視線)、口(呼気)から多く出るのですが、それ以外からも出るようです。
また、レイキは他の療法との相性が良いとも言われます。マッサージや指圧、エステなどにも使えるのですね。
この本では、西洋レイキにない病腺について多く語っています。その中から、薬との関係を以下のように説明しています。
「抗癌剤のような強い薬を常用している、またはしていたなら、靈氣に反応すべき免疫力が押さえ込まれているので、病腺は深く潜行して表に出られないでいる。それが、エネルギーを受けて体が目覚めると、免疫力が働き始めるのだ。
同じように、疲労困憊している人からも、病腺は感じにくい。こんな人には、まず頭を最低三十分施術するといいと林先生は教えていた。そうすると、病腺のエンジンが全開になるそうだ!」(p.202)
また山口千代子氏へのインタビューでは、自己ヒーリングに関して興味深いことが語られていました。
「年とともに、もっと自分にかけるようになりました。ですが、人にかけてもらう方がよく効きます。」(p.270)
これは私自身も感じていました。自分でレイキをするより他の人からやってもらう方が、はるかに気持ちいいのです。
自分が感じたのと同じことを、直傳靈氣の創始者も感じていたことが、何だか嬉しくなりました。
この本は、レイキを愛するフランク氏が、後世に残すためにレイキをすべてを解き明かそうとしたものになっています。
タイトルにもあるように、まさに「これが靈氣(れいき)だ!」なのです。
レイキを学ぶ人には、ぜひ読んでいただきたい本だと思います。
【本の紹介の最新記事】