セミナーの参加者から献本していただいた白澤卓二氏の本を読みました。
白澤氏は、「「砂糖」をやめれば10歳若返る!」などのベストセラーもあり、この分野では有名な方のようです。
白米や白砂糖は、ともに精製された食品です。この「精製された」という点が、食物に中毒性をもたらすと言います。
麻薬や覚せい剤なども、精製されて純度が高まるほどに中毒性も強くなる。それと同じだと言うわけです。
中毒性が高まるということは、それを摂取する量が増えるということ。何でもそうですが、摂取量が増えすぎれば、身体にとっては毒になるものです。
この本では、特に炭水化物の取り過ぎが身体に良くないと言っています。
では、気になった部分を引用してみましょう。
「そして、日本の歴史上で一番早く見られた、白米中毒の病的な段階の症例が「脚気(かっけ)」です。わが国では、平安時代以降、京都の皇族や貴族など上層階級を中心に脚気の発生が見られましたが、精米された白米を食べる習慣が広まったのは、江戸時代の江戸においてでした。江戸の将軍たちが、ビタミンB1不足からくる心臓脚気によって、何人も命を落としているのは、よく知られた話です。」(p.25)
「大正期以降、ビタミンB1を含まない精米された白米が普及するとともに安価な移入米が増加し、副食を十分に摂らなかったことで患者が大勢出たことから、脚気は結核と並ぶ二大国民病といわれました。」(p.27)
日本人が白米を主食にした歴史は浅く、白米中心の食事によって栄養バランスが崩れるという弊害がありました。
第一次世界大戦のころ、軍人の死亡原因の大半が、脚気によるものだったということは、よく知られた話です。
伝統的なドイツの栄養学を重んじた森鴎外などがいた陸軍では、この脚気に対処することができず、多くの兵士が死んだと言います。
一方海軍では、カレーライスや麦ごはんを導入するなど、栄養のバランスに務めたために、脚気による死者を減らすことに成功したのだとか。
もし、玄米食を続けていたら、脚気の問題は起きなかったかもしれませんね。
「塩や砂糖、油などがたっぷり含まれたジャンクフードや甘い炭酸飲料、そして白米など、食べたときに「心地いい」と感じるものであれば、なんでもマイルドドラッグになってしまいます。」(p.41)
「この報酬系に強いシグナルを送る食品は、特に精製されている食べ物です。」(p.42)
つまり、精製された食品は、脳が「心地いい」と感じるのです。これは、報酬系にシグナルが送られて、ドーパミンやエンドルフィンが大量に分泌されるからだそうです。
この快感のために、同じ食品を大量に食べ続けようとしてしまいます。これが中毒です。
「血糖値の上昇を緩やかに抑えるには、ブドウ糖を血液中にゆっくりと放出する未精製のデンプンが、脳のエネルギー源としては最良です。その逆に精製された白砂糖、また精製されたデンプンの摂取量が増えれば増えるほど、血糖値を安定させるのは難しくなり、血糖値は乱高下をはじめます。」(p.43 - 44)
「白砂糖が脳にダメージを与える大きな理由としては、白砂糖が生体のビタミンとミネラルを使い果たしてしまうことにあります。」(p.44)
「その際、しっかり認識してほしいのは、ブドウ糖が悪者なのではなくて、高度に精製された白砂糖やデンプンを摂取すると、酵素の働きによって血糖値が急激に上昇、不安定な症状を引き起こすという点です。」(p.45)
つまり、精製された純粋な砂糖やデンプンは、急激に吸収されるために、血糖値が一気に上昇することになります。
すると、それを抑えるために大量のインスリンが放出されることになり、その反作用によって、今度は急激に低血糖状態になるというわけです。
こういう無理を重ねることでインスリンの効きが悪くなり、糖尿病になってしまいます。
「後述のケトン体体質にするためには、2週間ほど主食抜きの糖質制限を徹底させますが、その後、主食+副食の食事に戻す場合は、ぜひとも主食は雑穀+玄米にすることをお勧めします。私が考えるところ、雑穀+玄米に勝る主食はありません。」
「白米さえやめているのであれば、何を食べるべきかを考えるときに一番大事なことは、カロリーではなくて「栄養素密度」です。
(中略)
これはアメリカの食事法、栄養学の権威で、『食べて治す』『生きるために食べる』など、栄養に関する本のベストセラーで知られるペンシルベニア大学のファーマン博士の研究による考えかたです。(中楽)もっとも健康的な食事はH=N/C比の高いものだと定義されています。
Hは栄養密度、Nは微量栄養素、Cはカロリーです。Nを大きく、Cを小さくするほど、栄養素密度の高い健康的な食というわけです。摂取カロリーあたりの微量栄養素密度が、将来の健康を大きく左右すると博士は言います。」(p.122 - 123)
つまり、微量な栄養素を豊富に含んだ食事こそが、健康に良いと言うことですね。その対極である白米を主食としておかずが少しという食事は、炭水化物という栄養素に偏りすぎていて、健康上は最悪であることになります。
「このような食事を続けると、糖質ではなく、脂肪を分解してエネルギー産生を行う「ケトン体回路」の活性化がされるのです。これが、難なくダイエットを成功させ、成人病予防、認知症予防となる白澤式アンチエイジング食事法=別名「白澤式ケトン食事法」です。」(p.134)
「しかし従来の糖質制限食は、高タンパク・高脂肪の食事に傾きがちなところが心配される点でした。そこで白澤式では、アトキンス式に、雑穀や塩麹・しょう油麹など、日本の伝統食の要素を加味し、さらには数種類の野菜類と果物をミックスした毎朝の自家製フレッシュジュースを日課とするなどして、たんなる糖質制限食に留まっていないところがミソです。アトキンス式の進化版というべきもだと思います。」(p.145 - 146)
つまり、主食である白米を完全に抜くことで、糖質制限食にすることがポイントです。
そして抜いた主食の代わりに肉などタンパク質や脂肪を増やすのではなく、野菜を増やすということですね。
これによって身体は、摂取した糖質からブドウ糖を作ってエネルギーを生み出す解糖系や、肝臓に蓄えたアミノ酸からブドウ糖を作る糖新生を使うのではなく、身体に蓄えた脂肪からケトン体を作って、そこからエネルギーを生み出すケトン体回路を使うように変わります。
もともと人間は、常に決まって食事ができなかった長い時間を生きてきたため、ケトン体回路によってエネルギーを生み出すのが普通だったのです。
それが最近は、大量な炭水化物を常に摂取できるようになったため、解糖系や糖新生を使うことが普通になり、さらにそれでも処理できないほどの糖質が身体に入ってくることが、問題となっているのです。
「食事から炭水化物を除くと、インスリンの分泌が抑えられ、血中のブドウ糖濃度が低くなります。ここがポイントで、血中ブドウ糖濃度が低下したとき、その代謝物質として脂肪酸を分解したケトン体物質が産生されるというわけです。
わずか2週間、徹底して炭水化物をカットすることができれば、それだけで体質改善がはかれるのですから、試さない手はないでしょう。」(p.185)
「最近の医学のトレンドでは、血糖値の上昇は炭水化物の摂取量とはきれいに比例するが、タンパク質と脂肪は血糖値の上昇には大きく作用するものでなく、血管を害することなくエネルギー源として消費されるという見かたが主流になってきました。つまり、糖尿病の原因は、脂肪ではなく、炭水化物であることが、遅ればせながら明らかになってきたのです。
米国糖尿病学会(ADA)は、自らの教育資料「糖尿病との生活」の中で、食後に血糖値を上げるのは炭水化物のみであるとして、炭水化物の摂取抑制を指導する内容に大きく方向転換しました。現在、米国科学アカデミーが推奨する1日に摂取する炭水化物の量は、わずかに130gとしています。これは日本人の平均摂取量の約半分です。」(p.192)
ただでさえ炭水化物を摂り過ぎている現代の日本人です。さらにその炭水化物を、精製された白米などから摂っている。健康を害しても当たり前というのが、研究の結果として示されているようですね。
私はすでに、主食を抜くなどの炭水化物抜きダイエットを続けていて、朝食抜きの少食(プチ断食)も実行しています。
それで昨年は約10kgほど減量し、体調も悪くありません。これまでの食事法に太鼓判を押されたような気がします。
ただ、これが必ずしも正しいかどうかは何とも言えませんので、それぞれの判断でお願いしますね。
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