久しぶりに犬飼ターボさんの本を読みました。4年ぶりの7作目だそうです。
これまでに読んだことがあるのは、「チャンス」「天使は歩いてやってくる」「オレンジレッスン」などですが、どれも感動的で涙を流しながら読みました。
そして今回もまた、泣けて泣けて仕方ありませんでした。
しかしこの本は、単なる感動小説というわけではありません。物語を読むことで、成功のための方法が理解できるようになっています。つまり成功小説なのです。
そういう意味では、「手紙屋」などで有名な喜多川泰さんと、分野的に同じかもしれません。
この本では、「石切り職人の話」がテーマになっています。有名な話ですから、聞いたことがある人も多いでしょう。
「ある日、旅人が道を歩いていると、ひどく疲れた様子の石切り職人がいた。
「何をしているのですか?」
と旅人は尋ねた。
石切り職人は不機嫌そうに答えた。
「見れば分かるだろう。石を切り出しているんだ。生活のためだから仕方ない」
旅人はまた歩き始めた。」(p.2)
こうして旅人は、三者三様の石切り職人と出会います。その石切り職人が仕事にどういう意味を見出しているかによって、石切り職人の態度が異なっているのです。
この物語では、アルダという名のダメダメ石切り職人が、商人から買った秘宝が書かれた巻物によって成長していく姿が描かれています。
しかし、秘宝を得たから、すべてが順調に行くわけではありません。
「アルダよ。喜びと悩みは表裏一体だぞ。さあ、旅を楽しみなさい。」(p.15)
そう商人はアルダに対して言います。
実際、アルダは浮き沈みのある人生を体験することになるのです。
けれども、沈んだ時がチャンスだったのです。
「それがきっと次の秘宝につながる”謎”なんだ」(p.59)
悩みを解決すると、まるで「それでいいんだよ」とでも言うかのように、巻物に言葉が浮かんでくるのです。
私たちの人生もまた、同じことだと思います。
大変な出来事や、落ち込むような状況は、けして私たちを打ちのめすために起こるわけではありません。
むしろ逆に、私たちのステージを上げるために、レベルアップさせるために起こるのです。
ひどいヤツと思っていた人が、実はそうではなかったというようなことは、現実でも起こります。
自分の見方が変わった時、この世は愛に満ちていたと気づくのです。
そしてこの物語も、そういうことを示してくれます。
内容を詳細に語ると感動が薄れてしまうでしょう。150ページそこそこで1時間もあれば読めてしまう小説ですが、感動して涙を流すこと請け合いです。
ぜひ、手にとって読んでみてくださいね。

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