「子どもが育つ魔法の言葉」などで有名なドロシー・ロー・ノルト博士の本を読みました。翻訳は、「神との対話」シリーズの翻訳などで知られる吉田利子さんです。
かわいらしい挿絵がふんだんに使われていて、100ページ足らずのボリュームですから、あっという間に読めてしまいます。
しかし、そこに書かれた内容は、奥深いものがありました。
まず最初に、本のタイトルでもある「いちばん大切なこと。」と題された詩が書かれています。
これは子どもに向けたメッセージで、次のようなフレーズが並んでいます。
「それから、とても大切に思っているよって家族に伝えよう
きっとだよ
そして、とびきりすてきな自分になろうね!」(p.12)
こうなってほしいという姿を伝えて、「きっとだよ」と念押しし、最後は「そして、とびきりすてきな自分になろうね!」という言葉で締めくくります。
また詩の最後には、こういう言葉が書かれています。
「この詩が、お母さんやお父さんのために役立ちますように。」(p.16)
単に子どもに読んでもらいたいというだけでなく、親もまた子どもと一緒にこれを読んで、何かを感じてほしいと思われたのでしょう。
この詩に続いて、子どもたちへのメッセージが書かれています。「日本の子どもたちへ」と題されていて、まず詩がどういう経緯で生まれたかが書かれていました。
それによると、2005年に訪日が決まり、小学生を相手に話をすることになったため、何を話せば良いかを考えていたところ、詩を書いたらいいんじゃないかと思いついたのだそうです。
「とてもいい思いつきだわ。
考えれば考えるほど、楽しくなってきました。何かをしたいと思ったとき、楽しくなれるかどうかということはとても大切です。楽しいことならきっとうまくできるし、目的を達成するチャンスも大きくなりますから。」(p.21)
バシャールも「ワクワクすることをやろう」と言っていますが、ドロシー博士もまた、同じように楽しいことをやることの重要性を指摘しています。
「そうそう、それから自分と仲良くする方法も忘れてはいけませんね。自分について知ることは、わたしたち人間にとって、とても大切な仕事なのです。だって、わたしたちは一日二十四時間、一週間に七日、つまり、いつだって自分といっしょに生きているのですから。」(p.21)
「自分と仲良くする」ということは、すなわち「自分を愛する」ことです。前に紹介した「愛の選択」でも書かれていたように、自分を愛することがもっとも重要なのです。
「あなたの身体には健康に良い食べ物、健やかな眠り、運動、さまざまな経験が必要です。テレビばかり見ているのは良くありません。身体と心は新しい経験をしたがっているのです。何か新しい経験をするというのが大切なのです。そうしないと、ぴちぴちした元気な心でいられません。」(p.36)
身体を大切にしてしっかりと養ってあげることと、経験をすることの重要性を説いています。
こういうところも、「愛の選択」や「神との対話」シリーズで書かれていることと一致しています。
「毎日、身体がどれほど役に立ってくれているかを、できるだけたくさん数えあげてみてください。そして身体に「ありがとう」を言いましょう。」(p.37)
これもまた「愛の選択」で勧められている習慣ですね。
後半は、「お母さん、お父さんへ」と題して、親に向けたメッセージとなっています。
子育てとは、子が親に学ぶだけではなく、親もまた子に学ぶことだと言います。
自分の思い通りに育てるのではなく、子どもは子どもとして成長するように育てることが重要だとも。
「大事なのは、子どもの言葉を聞くことです。子どもの心が発しているメッセージを聞き取ることはもっと大切です。ただ聞いているだけで、ほんとうにはわかっていない、ということもあるのですから。それでは子どもとほんとうに話していることにはなりません。」(p.54)
つい聞きもせずにわかったつもりになってしまう。それではダメなのですね。
最後は、短いメッセージが挿絵とともにいくつか書かれていました。
どれもこれも心に響く言葉ですが、1つだけ引用しましょう。
「信頼して黙ってそばで見ている
というのも
子どもを支える方法の一つです」(p.88)
あれこれ口出しするのではなく、不安視するのではなく、信頼して見ている。それで十分なのですね。
訳者のあとがきの後、つまり本の本当の最後には、かわいい子どもの挿絵とともに、こう書かれていました。
「わたしがここにいる、
いつでも助けてあげる」(p.94)
助けを求められたら助けるけれど、そうでなければ信頼してじっと見守っている。これが子どもへの愛なのだと思います。

※「子どもが育つ魔法の言葉」はこちらです。
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