2014年11月20日
3日食べなきゃ、7割治る!
少食や断食を勧める船瀬俊介氏の本を読みました。
これまでにも石原結實氏の「100歳まで元気でボケない食べ方・生き方」や「「食べない」健康法」、1日青汁1杯だけで20年間健康に生活しておられる森美智代さんの「食べること、やめました」や、腸内にサナダムシを飼っているという藤田紘一郎氏の「脳はバカ、腸はかしこい」などの健康的な食に関する本を紹介しています。
本書は、少食が健康に良いとする点では同じですが、ジャーナリストが書いただけに、考え方の元となる研究結果がきちんと引用されていました。
「「食べなきゃ、治る!」
じつに簡単な事です。
野生動物は、みなそうして病気を治しています。」(p.1)
まえがきの冒頭からそう言って、ことの本質をズバリと指摘します。
「イスラエルで病院がストをしたら、国民の死亡率が半減した。病院が再開したら元に戻った。現代医療は人類の半分を”殺して”いる!この驚愕エピソードを胸に刻むべきです。
アメリカの死亡原因の1位は病院です。毎年78万人が医者に殺されています。2位の心臓病の70万人を引き離しています。
「現代医学の神は”死神”である」
アメリカの良心の医者R・メンデルソンの告発は正しかったのです。」(p.2)
このように主張して、いきなり医療業界に宣戦布告するかのように、激しく現代医療を批判します。
この冒頭の部分は、「病院で殺される」(三五館)という本も書かれているだけに、船瀬氏の基本的な姿勢なのでしょう。
あまりに批判的な態度は好感が持てませんが、この本に限って言うと、読み終えた時点で「そう批判するのも仕方ないかな」と思えてきました。
病院を敵に回すとすれば、では病気に対してどう対処すれば良いのでしょうか?
「病気を癒す。治す。その方法は5つあります。
@「少食」、A「笑い」、B「感謝」、C「長息」、D「筋トレ」です。」(p.3)
ということで、この本ではこの5つがいかに効果的であるかを、事例を上げて説明しています。
ですから本書の結論は、このまえがきですでに書かれているということです。
では視点を変えて、どうして現代医療は病気を治さないばかりか、病気を増やすことになっているのでしょう?
その原因を、ドイツのフォイト栄養学に求めます。
ミュンヘン大学のV・フォイト博士(生理学)は、成人が1日あたりに必要とされるタンパク質48gをはるかに超える118gを摂取するよう主張しました。
栄養価の高いタンパク質を、もっと言えば動物タンパクを摂るのが良いと言ったのです。つまり肉を食えということです。
さらに、「良い物は、摂り過ぎるということはない」と主張したとか。
その背後に食肉業界や軍の意向があった、と船瀬氏は言います。肉食は人の体躯を強大にすると同時に、精神的にも凶暴性を増加させるので、軍にとっても都合が良かったのだとか。
フォイト栄養学には、カロリー理論があります。つまりその食材が燃えるエネルギー量こそが、動物にとっての生命エネルギーになるという考えです。
そのカロリー理論が誤りであることは、1日青汁1杯で生き続けている森美智代さんが証明しています。彼女の摂取カロリーは1日約50kcalしかなく、成人に必要とされる1200kcalをはるかに下回っているからです。
こうしたカロリー理論や、大量の肉食を勧めるフォイト栄養学を、マスコミや医療業界も支持していると言います。
なぜなら、そうした方が儲かるからです。もし、食べない方が健康的で長生きできると証明されれば、医療業界や食品業界は売上が激減します。そうすればマスコミも広告収入が激減します。
つまり、医療業界、食品業界、マスコミにおいて、少食が健康長寿に貢献することは広めてはならないタブーになっている、と言うのです。
そこまで言い切るのもどうかと思ったのですが、本書に示されている数々の研究結果をマスコミなどが無視しているという事実は、どう考えたら良いのでしょう?
それは国民に正しい情報を伝えることより、スポンサーである食品業界に刃向かわないという損得計算があったからかもしれません。
では、少食がどうして健康や長寿に役立つのでしょうか?
それは、毒素を溜め込んだ脂肪が分解されて毒素を放出するためだと説明します。
「断食中の脳の栄養源50%はケトン体です。これは、脂肪が分解されてできる物質です。つまり、ファスティングをすると体内のブドウ糖が減少します。すると脳は体内に蓄えた脂肪を分解してエネルギー源として使うようになるのです。」(p.37)
ケトン体を栄養にするのは、脳だけではなく全身です。したがって、空腹によって体内の脂肪が分解され、そこに入っていたウイルスや毒素が排出されるのです。
また、老化タンパク質と呼ばれる異常なタンパク質が、身体を老化させて健康を損ねる原因にもなっていると言います。
体内のタンパク質は、摂取して増える量と、肝臓で分解されて減る量が「動的平衡」を保っているそうです。
「少食や断食により、タンパク質のインプットがなくなると、タンパク質のバランスを保つため、その老化タンパク質が分解・除去され、若返り現象が起こる、というわけです。」(p.137)
血管中の老廃物も、同様に分解・除去されますから、血流が良くなるのも健康に役立ちます。
このように少食が健康長寿に貢献することを、明確に示した研究結果があるそうです。
民主党のカーター政権のもとで実施された研究調査があり、その指揮を執ったマクガバン上院議員の名前から、その研究結果を「マクガバン報告」と呼ぶそうです。
そのマクガバン報告では、「アメリカ人に多い心臓病、ガン、糖尿病、高血圧、脳卒中、肥満、さらに精神病も誤った食事が原因である」と結論づけています。
何が間違っているかというと、「@高カロリー、A高タンパク、B高脂肪、C高砂糖、D高精白……の食事」だとか。
ここで明らかに、これまでのフォイト栄養学が間違っていることを指摘したのです。
「世界で、もっとも理想的な食事が存在する。それは日本の伝統食である」(p.123)
それがマクガバン報告の結論なのです。
しかしこの報告を、マスメディアはあまり取り上げませんでした。今ではすっかり、その存在が忘れられるほどです。
それは食品業界にとって、不都合な真実だったからなのでしょう。また同時に、医療業界にとってもそうなのです。
マクガバン報告では、食べる量を半分にすることで、ガンの発生率も死亡率も20%減らせるなど、具体的な効果を数字で示しています。
医療にかからず、購入する食品を減らすことで、健康長寿が得られる。これほど、業界にとって不都合なことはないでしょうね。
また、「チャイナ・スタディ」と呼ばれる栄養調査レポートも、マクガバン報告と同様に驚くべき事実を伝えています。
これは、1983年にスタートしたアメリカ、中国、イギリスの政府が共同で行った国際的な健康調査報告です。
それによれば、アメリカの男性の心臓マヒ死亡率は中国男性の17倍、アメリカ女性の乳ガン死亡率は中国女性の5倍もあったのだそうです。
「さらに研究を指揮したコーネル大の栄養学者コリン・キャンベル教授は「動物タンパク質こそが、史上最悪の発ガン物質だった」という事実に到達します。」(p.126)
研究を重ねた結果、キャンベル教授は次の結論を下しました。
「肉、卵、牛乳などの動物タンパクは、史上最悪の発ガン物質だった……」(p.127)
教授の著書は「チャイナ・スタディ」として発刊され、大反響を起こします。クリントン大統領も絶賛したことで、100万部のミリオンセラーになったとか。
日本語訳は「葬られた「第二のマクガバン報告」(上中下、グスコー出版)として出版されているそうです。
以上のように、少食・断食の健康長寿への効果を伝える多くの研究結果があり、また昔から伝わる格言があります。
しかし、それが業界にとって不都合だからなのか、マスコミをはじめとして医者でさえも、それを伝えようとしていない現実があるのだとか。
この内容を信じるかどうかはそれぞれの判断だと思います。
ただ、船瀬氏自身が1日1食を続けながら、健康で若々しくしておられるという事実があります。
そしてまた私も、朝食抜き、昼の弁当はおかずだけ、夜はビールとつまみ程度という食事で、健康で元気に暮らしています。
空腹を楽しみながら、笑顔で感謝の日々を過ごす。それが当たり前という日が来るのかもしれませんね。
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