NHKの「あさイチ」などでも紹介された「メッツ健康法」を紹介する青柳幸利(あおやぎ・ゆきとし)氏の本を読みました。
私は新聞広告を見て、このタイトルに興味を持って買ってみたのです。
なるほどと思う反面、このタイトルにみごとに釣られたなという気もします。
要は、運動のし過ぎもしなさ過ぎも、どちらも健康には役立たないということになります。
したがって、健康な人が運動をしないというのは、完全に嘘ですね。強いて言うなら、ハードな運動をしないというのが正解です。
ですから、この本のタイトルは、ちょっと詐欺っぽい気がします。まあ、出版社としては売れてなんぼですからね。
そういうタイトルに対する不満はあるものの、本の内容は目からウロコの情報がありました。
「つまり、健康という視点に立てば、運動の強さは、弱くても、強すぎてもダメということ。
中強度の運動こそが、健康の維持・増強、病氣の予防に最も効果的であり、健康で長生きするために必要なものなのです。」(p.28)
「中強度の運動として代表的なのは「速歩き」です。」(p.28)
まあ、これがこの本の結論になります。この結論を補強する情報や、運動の強度とはどういうことかが、本全体で書かれています。
「しかし、高強度のハードな運動やスポーツは、さまざまな病気を引き起こす原因となります。
というのも、高強度の運動をすると、体内に細胞を攻撃する活性酸素が出すぎてしまうためです。」(p.39)
アスリートが意外と短命だったりするのは、この活性酸素と関係がありそうですね。
そういう意味では一般人でも、活性酸素が多く発生するようなハードな運動は、身体の健康という意味では避けるべきなのでしょう。
「必ずしも「高強度の運動=悪」ではありません。生活の中で急いでいてかけ足になったりスポーツをやる日があったりして、高強度の運動をしてしまうことはあります。ただそれをやりすぎず、「バランス」を守ることが重要なのです。」(p.45)
何かに挑戦するという精神的な楽しさもありますからね。それに、身体には修復能力もあります。活性酸素に脅えて運動をしないとしたら、それこそ不健康だと思います。
本では、長寿遺伝子について触れています。食事制限した方が長生きしたという動物実験から、「サーチュイン遺伝子」という長寿遺伝子が活性化することで、長生きすることが知られています。
「この長寿遺伝子は、私たち人間の誰もがもっていることもわかっています。
したがって、長寿遺伝子を「オン」の状態にすれば、人間は誰でも長生きすることが可能なのです。」(p.86)
「最近、スウェーデンのカロリンスカ研究所で、「適度な身体運動」でも長寿遺伝子にスイッチが入ることが証明されました。
その適度な身体運動こそが、本書で紹介している「メッツ健康法」だといえます。そしてこの方法では「病氣にならない」こともわかっています。」(p.86 - 87)
「もっというと、「1日8000歩、20分の中強度の身体活動を2ヶ月間続ける」ことによって、さまざまな病気にかかりにくくなります。」(p.87)
引用していませんが、食事制限では病気にならないことが証明されてないとして、メッツ健康法のメリットを訴えています。
まあそうかもしれませんが、どの程度の証明かは、なんとも言えません。少食をけなすことで自分の手法の価値を高めるという書き方は、ちょっと好感が持てませんけどね。
また免疫力アップの点でも、「メッツ健康法」が効果的だと言います。
「このように頼れるNK細胞ですが、最大限活躍するためには「1日8000歩/中強度の活動20分」の身体活動が欠かせません。
というのも、NK細胞は、適度に体を動かすことによって活性化することが知られているからです。」(p.99)
科学的な根拠は示されていませんから、これが本当かどうかはわかりません。しかし、そういうことはあるだろうなという気はします。
では、中強度の運動としての速歩きは、どんな感じですれば良いのでしょうか?
「「メッツウォーキング」を実践するときのポイントはとても簡単で、次のたった2つのことを意識するだけでOKです。
ポイント1 いつもより少し速度を上げて歩く
ポイント2 いつもより歩幅を10センチプラスして歩く」(p.136)
非常に感覚的なポイントですが、要は大股でさっさと歩くということですね。
他にもいろいろ注意することや、病気別の運動目標なども書かれています。
なかなか運動ができない人の例で、どうやって中強度の運動を取り入れるかというアイデアも披露されています。
無理をせず、心配をせず、楽しみながら運動を続けること。それが健康につながるということのようです。
このように、やはり運動を勧めているのです。それが適度な運動であるとしても。
運動しなくて健康になるというのは嘘です。タイトルに騙されないようにしましょうね。
それ以外では、役立つことが書かれていると思います。私も、通勤で歩くときは、なるべく速歩きしようと思いました。

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