2014年10月13日
おじさんバンコク大脱走
amazonを見ていて、ふと目についた本を買ってみました。岡崎大五氏のトラベルヒューマンコメディだそうです。
2001年11月30日が第1版ですから、まったく売れてませんね。(笑)
でも、ちょうどその2001年11月が、私がタイに赴任した時期だったのです。これも何かの縁だと思います。
読んでみると、まさに私が来た当時のバンコクの様子が描かれていました。
物語は、主人公の大五が、悪友の和也を誘って、5泊6日のバンコク旅行をするというもの。しかも、1人10万円という予算です。
当時なら、4万円というエアチケットもあったかもしれませんし、アンバサダーホテルで1泊1000バーツ(約3000円)というのも考えられます。
BTS(高架鉄道)がまだ空いていて、移動に使うと楽でした。
文中ではBTSをモノレールのスカイトレインと紹介していますが、モノレールではありません。レールが2本ある電車ですから。
ただ当時は、高架を走っているため、モノレールと呼ぶ日本人が多かったことも事実です。そんなことも含めて、とても懐かしいです。
まだスワンナプーム空港が開港しておらず、空の玄関はドンムアン空港。降り立ったときの、ムアッとする空気を思い出します。
ドンムアン空港からアンバサダーまで、タクシー代が90バーツというのは、ちょっと信じられませんけどね。そんなに安かったでしょうか。
今なら200バーツくらいするでしょうから、当時でも100バーツ以上したと思うのですが・・・。
まあ、そんな細かなツッコミはおいといて、純粋に読み物として楽しめます。
大五と和也の駆け引きは、あまり上等とは言えませんが、それなりに面白いものがあります。
相手を攻撃しながらも、どこかで深い思いやりを持っている。だから悪友もまた友なのでしょう。
和也は、一所懸命に働いていた会社から、リストラされそうになっていました。
その不安に押しつぶされそうになっていたとき、大五にはめられて、バンコク旅行をすることになったのです。
しかし、その旅行の中で、1人で知らない世界に浸る時間を持ちました。
そのことによって、何かしら新たな境地に目覚めたのでしょう。
私も以前、ブログの中で一人旅を勧めたことがあります。
自分の環境を無理やり変えるために引っ越しを勧めたのですが、それが無理ならせめて一人旅をしましょうと。
今までの自分とは違う世界に身を置くことによって、得られるものがあると思うのです。
かく言う私も、かつて「おじさんだって、アジアに行きたい」という本を読んで、アジアへの夢を膨らませたことがありました。
そのこともまた、タイに来ることを引き寄せたのではないかと思うのです。
そして今回読んだ本もまた、束縛された現実から自分を解き放って、自由を取り戻そうとする本心に気づかせてくれるものだと感じました。
「あとがき」の中で著者は次のように言います。
「ときには男は、孤独になるべきなのでは……と。
孤独になって、ひとりで考え、行動し、遊ぶのである。
どのみち人間いつかは死ぬのだ。それくらいの時間があってもいいではないか。
それも、できれば海外で、見たことのない風景にひとりたたずんでみる。
言うなれば、しばしのドロップアウト、日本からの大脱走を果たすのだ。」(p.253)
懐かしい15年近く前のバンコクを思い出しながら、私もまた自由を取り戻すためにタイに来たのだなあと、改めて思いました。
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