また神渡良平さんの本を読みました。
これまでにも「佐藤一斎「言志四録」を読む」、「安岡正篤 人生を変える言葉」、「孤独になる前に読んでおきたい10の物語」、「天翔ける日本武尊」、「人間この輝かしきもの」など、何冊もの本を紹介してきました。
中村天風氏について書かれた本も、以前、「中村天風「幸せを呼び込む」思考」を紹介しています。
これまで紹介してきた本も素晴らしかったのですが、今回もまた素晴らしい本でした。
あまりに素晴らしいので、読んでいる途中でFacebookで紹介したところ、それを読んだ私の友人が2人、すぐさま買ったようです。私の投稿は、以下の様なものです。
「神渡良平さんの新刊、「中村天風 人間学」を読んでいるところです。
前半の、天風氏がカリアッパ師の元で修行して悟りを得る過程を描いた部分では、不覚にも泣いてしまいました。師弟愛の素晴らしさ。こういう話に弱いんですよね。
「お前のいのちを炎と燃やせ。病のことを考えている暇はない。喜んで朗らかに建設的に働いている姿を心に焼きつけて、勇猛邁進するんだ。肺結核はもう治ったと感謝せよ」(p.85)
カリアッパ師の力強い声が、私の耳のそばで聞こえてくる気がしました。
そのあとの、聖光学園野球部の話も面白かったですが、広島海難供養式の話が心に残りました。
「目には目を」は恨みの連鎖を招きます。今ちょうど、イスラム国のことが問題になっていますが、テロもまた恨みが原因です。
「自分を怨念に譲り渡し、憤怒の固まりになることは、むしろやさしい。それよりも、これ以上怨念を増幅させず、自分一代で終わらせると決意し、供養して生きることの方がもっと難しい。人に対して怒るのではなく、間違うことの多いこの汚濁の世界を背負って立ち、ここに浄土世界を実現していくことが、後に残された者たちの使命ではないでしょうか。」(p.186)
1986年の暮に放送された「白虎隊」というドラマの中で、神保修理役の国広富之さんが、家族に「誰も恨むなー!」と絶叫して最後を遂げていました。そのシーンが、今でも心に残っています。
心に敵を作り、批判・非難し、力づくでも相手を変えようとする。その対象が他国なら戦争となりますが、自国の政府であろうと、どこかの企業であろうと、あるいは個人であろうと、同じことです。
中村天風氏が得た悟りの世界を理解すること。それが恨みを乗り越える原動力になると、私は確信しています。
まだ残り3分の1ほどありますが、楽しみながら最後まで読みます。
興味のある方は、ぜひ読んでみてくださいね。(*^_^*)」
そのFacebookの投稿には、神渡さんご自身も以下のようにコメントしてくださいました。
「赤木さん、熟読してくださって、心から感謝します。あの本は私が書いたというよりも、神が私を通して同じ時代に生きている方々に語ってくださったもののように思っています。
瀬戸龍介さんが近々CD『日本の夜明け』をリリースされます。その中に彼が昨年の出雲大社の遷宮祭に参加した際、インスピレーションを得て作曲した「蘇える出雲」という曲があります。私はコンサートでそれを聴いたき、鳥肌が立ち、心を揺さぶられました。あれはまさしく天界からのメッセージでした。
ミュージシャンにしろ、作家にしろ、画家にしろ、どういう仕事に携わっている人にしろ、天と地をつないで形を作ることができた作品は、人々の心霊を揺さぶり、時代の新しい流れを形成するのだと思います。
クリエイティブな仕事に携わる人は、だからこそ精進が必要で、魂を磨かなければいけないのです。そうでなければ、自分が携わっている仕事を冒瀆していることになります。
後半で登場される方々も、みんなきらめいていますよね。人間はみんな「地から湧き出した菩薩」(地湧の菩薩)なのだと確信します。アサガオもスイセンもパンジーも、花や葉っぱの形状はみんなタネや球根の中に秘められています。それがしっかりした土壌に植えられ、水が注がれれば、見事な花が咲きます。
それと同じで、人間はみんな内に秘められた《神性》を持っていて、その人の個性を通してメッセージを届けるようになっているのだと思います。私はいろいろな人々を取材していて、ますますそう確信するようになりました。
どうぞ後半も楽しみに読んでください。」
それに対して私も、以下のようにコメントで返答しました。
「神渡さん、素敵なコメントをありがとうございます。
そうですね。「地湧の菩薩たち」という本も書かれてましたね。
「考えてみれば、人間は誰もが、神の地上での現れなのだ。」(p.193)
この気づきが、誰かが特別なのではなく、自分を含めたすべての人が特別なのだという、真理を示してくれます。
もうあと、残り少ないのがなんだか名残惜しい気もしますが、あと50ページほど、じっくり読まさせていただきます。(*^_^*)」
こうして最後まで読み終えたのですが、ずしーんと中村天風氏の言葉が心に響いています。
私が共鳴した天風氏の言葉をいくつか、以下に引用しておきましょう。
「私は今後かりそめにも、我が舌に悪を語らせまい。
否、いちいち我が言葉に注意しよう。
同時に今後私は、もはや自分の境遇や仕事を、
消極的な言葉や、悲観的な言語で、
批判するような言葉は使うまい。
終始、楽観と歓喜と、輝く希望と溌剌たる勇気と、平和に満ちた言葉でのみ活きよう。
そして、宇宙霊の有する無限の力を我が生命に受け入れて、
その無限の力で自分の人生を建設しよう。」(p.38 - 39)
これは、本の中でも何回か引用されている「言葉の誦句(しょうく)」と呼ばれるものです。
「ああ、そうだ!!我が生命は宇宙霊の生命と通じている。宇宙霊の生命は無限である。そして、不健康なるものや不運命なるものは、宇宙霊の生命の中には絶対にない。そして、その尊い生命の流れを受けている我はまた、完全でそして人生の一切に対して絶対に強くあるべきだ。だから、誠と愛と調和した気持ちと、安心と勇気とで、ますます宇宙霊との結び目を堅固にしよう。(中村天風『大偈(たいげ)の辞』)」(p.46)
これこそ宇宙の本質に対する悟りです。「神との対話」シリーズなどで示されているように、存在のすべては「ひとつのもの」である、と同じことなのです。
「健康や運命が意のままにならないときほど、「心」の態度をよりいっそう積極的にするのが最も大切で忘れてはならないことなので、そうすればいわゆる生命の内在力(潜在勢力)が期せずして湧然(ゆうぜん)として現れて、健康も運命も、自然と好転してくるというのが、尊厳なる宇宙真理である。 (『真理のひびき』中村天風著 講談社)」(p.162)
いわゆる「引き寄せの法則」です。原因は心にあります。この世の現象は、単に結果に過ぎないのです。
神渡さんが、導かれるようにして書いたという本です。ぜひあなたも、手にとってみてください。
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