日本発祥のレイキを忠実に伝えてきていると言われる、直傳靈氣研究会代表の山口忠夫さんの本を読みました。
レイキを始めたのは臼井甕男さんですが、そのときに作られた臼井霊気療法学会は門戸を閉ざしたため、現在、一般の人が伝統的なレイキを知る方法は、この直傳靈氣のみとなっているようです。
臼井甕男さんの直弟子の林忠次郎さんから靈授を受けた菅野和三郎さんが、山口千代子さんの伯父にあたる方です。
菅野さんに導かれた千代子さんは、林さんから直接、レイキを習ったのだそうです。その千代子さんの息子さんが、山口忠夫さんということなのです。
千代子さんはすでに他界されましたが、65年間レイキを守り続け、忠夫さんを育てる時も薬を使わずにレイキで育ててこられたとか。
このように、林さんから学んだレイキを千代子さんがしっかりと守ってこられたことで、伝統的な日本のレイキが一般に知られるようになったというわけです。
ちなみに西洋レイキは、林さんからハワイの日系二世の高田はわよさんに伝わったものが、そのお弟子さんたちを通じて世界に広まったものです。
ただこのとき、高田さんは伝統的なレイキを、かなりアレンジして伝えたようです。
それは法律的に、代替医療として認められなかったという理由があったのではないかと推測されています。
そのため西洋レイキでは、ヒーリング(癒し)手法として伝わっています。また途中でスピリチュアル的なものと結びついて、チャクラやオーラといったものと関連付けたものもあるようです。
伝統的なレイキは、臼井さんが悟りを得ようとして鞍馬山にこもって断食を始めたことがきっかけです。
「断食に入り20数日目の真夜中頃、臼井先生は脳の中心部に落雷を受けたような激烈な衝撃を感じ、そのまま意識不明の状態に陥りました。
数時間後、ふと気がつくと夜が明け始めた頃で、心身爽快な気分に満ちて目覚めた臼井先生は、あの衝撃を受けた時に強烈な靈氣が心身を貫き、体内の靈(たましい)と共鳴し、「神即我」「我即神」という神(天の太陽)との一体感を達成し、求めていた悟りの境地を完成したことを知ったのです。」(p.28)
このように、臼井さんが悟られたのは、存在するすべては「ひとつのもの」という、「神との対話」で語られている真理だったのです。
伝統的なレイキは、もともと代替医療として行われていたものです。したがって直傳靈氣も、病気や怪我を治すということに重きを置いています。
「しかし、靈氣療法の草創期において、靈氣はあくまでも治療を主眼にしたものでありました。現在の日本の法律上、医師や鍼灸師などの国家資格を持たない者が「治療」を標榜することはできませんが、それはそれとして、靈氣に治療効果があることに関しては、65年以上靈氣を実践してきた母・千代子がその生き証人だったといえます。」(p.54 - 55)
したがって直傳靈氣では、病腺(びょうせん)という「病気の原因となる筋肉のシコリやコリ」を探るということが行われます。
病腺は「血液やリンパ液が滞ることで起こ」るそうで、それが悪化すると病気になると考えられています。
「一番多いのは、まず腎臓のあるあたりに病腺が発生し、それが肩胛骨(けんこうこつ)の内側→肩→ワキの下→首→全身の関節へと広がっていくパターンです。」(p.88)
病腺の種類は「温感」「熱い温感」「ピリピリ感」「響き」「痛み」という5つの段階として感知されると言います。
またレイキの特徴として、臼井さんが提唱した五戒というものがあります。
「今日丈(だけ)は 怒るな 心配すな 感謝して 業をはけめ 人に親切に」
この五戒を「朝夕合掌して心に念じ 口に唱へよ」としています。
これによってレイキは、「招福の秘法 萬病の靈薬」となるのです。
「臼井先生が、一度きちんと治療したはずの人が、しばらくするとまたやってくるのを見て、「人間は心を変えないと本当に元気にはならない」ということに気付き、この五戒を導入したといわれています。」(p.92)
今、この直傳靈氣が、日本発祥の伝統的なレイキとして、世界に広まっています。
西洋レイキを習った方が、さらに奥を極めたいと思った時、この直傳靈氣がその受け皿となったようです。
「「一緒に習った友達も私のようにいつも使っていないと、イザという時に使えなくなってしまうようです。靈授で身につけたものを毎日どれくらい使っているかで変わってくるのです。
私の祖母は『人に喜ばれることをしなさい』と口癖のように言っており、少しでも調子の悪そうな人がいると、私に『靈氣をかけてあげなさい』と促し、私もすぐに手を置いていました。だから、靈氣の驚くような効果をたくさん経験しています」(千代子談)」(p.51)
山口千代子さんは、このようにして靈氣を守ってこられたのですね。その直傳靈氣は今、息子の山口忠夫さんによって世界に広められています。
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