中野裕弓さんの本を読みました。
この前読んだ「幸せになるために捨てるもの」では、中野さんがどういう方かよくわからなかったのですが、この本では、どういう経緯で悟りのようなものを得たのかも、詳しく書かれていました。
どん底まで行って、開き直った時に瞑想と出合い、そこで魂の存在に気づかれたようです。
そして、スピリチュアルな世界を知ることで、誰もが幸せでその人らしく生きられると言います。
「人生を大きく変える釣り竿とは何か?
実は拍子抜けするほど簡単なことです。それは、自分の素晴らしさに気づくこと。ただそれだけなのです。」(p.28)
「ですから、私たちは誰もがみな、神のように完璧で無限大の可能性を秘めた素晴らしい存在です。」(p.29)
こう中野さんは言って、神と私たちとの関係を、大海とコップ一杯の水に例えます。
つまり大海からコップですくった水が、今の私たちという存在で、死んでコップから水を戻せば、また大海に戻るだけなのです。
この例えは、「あの世に聞いた、この世の仕組み」にある雲黒斎さんの、風船に入った空気の例えと似ていますね。
前の本にもありましたが、中野さんは「宇宙の法則」は単純な3つのことだと言います。
◆世の中に偶然はない
◆すべては絶妙のタイミングでやってくる
◆宇宙はあなたをつぶさない
(p.45)
このことから、安心していていいんだよというメッセージが伝わってきます。
「宇宙の法則に納得すると、アンハッピーはハッピーの土台に過ぎず、ピンチはチャンスのタネということが実感できるようになります。」(p.51)
だから「悪い」と思える出来事があっても、それを吉兆だと感じていればいいのです。
そして、頭で考えて右往左往するのではなく、直感にしたがうようにと言います。
「感じたこと、思ったこと、ひらめいたことを、ただ無邪気に受け取ってください。」(p.57)
この「無邪気さ」こそが、神通力を発動するきっかけになるのです。
中野さんは、自分の魂のことを「ウメちゃん」と呼びます。
「私は、何年も前から、”もう一人の私”のことを親しみを込めてウメちゃんと呼んでいます。外から見えないけれど必ずある、果肉に覆われた梅干しの種のようだと思ったからです。」(p.34)
ユニークですが、こんなふうに名付けると、なんだか楽しそうですね。
「”ウメちゃんルート”に乗れたかどうかを手っ取り早く知るには、自分の周りにシンクロニシティと呼ばれる現象が起こるかどうかを検証してみることです。」(p.62)
ここでも、シンクロニシティが出てきました。直感にしたがって動くようになると、シンクロニシティ(意味のある偶然の一致)が頻発するということも、多くの人が言っていますね。
「自分の本質は神の一部であり、答えはすべて自分の内側にある。
そう無邪気に信じると、今の自分を一センチも変えることなく、そのままの自分を愛することができるようになります。私たちはみな、「ただいま楽しく発展途上中」です。」(p.62)
これは、面白い表現だと思いました。不完全に見える私たちが、実はそれで完璧なのです。
不完全には不完全の意味があるのですから、それを楽しめば良いのです。
「それでは、絶対的な”幸福”を手に入れるためにはどうしたらいいでしょう。
その方法はたった一つ。今のままの何も足さない何も引かない、等身大の自分を愛することです。誰にはばかることなく、たっぷり愛を注ぐのです。」(p.74)
欠点だらけに思える自分を、それでいいのだと受け入れることですね。
「愛するとは、自分という存在を客観視して今の自分を楽しむということなのです。悩んでいる自分、悲しんでいる自分、愚かな自分……、そんな自分も面白がって認めてあげること。また、どんなささいなことでもいいから「今日は庭に水まきをして楽しかった」「おいしい料理が作れて嬉しかった」など、自分にとっての小さな感動体験を作ってあげることです。
私はこういう生き方のことを”点で生きる”と表現しています。」(p.75)
「点で生きる」というのも、面白い表現ですね。これも「いま、ここ」に生きるとよく言われるのと、同じことを表現しています。
「あなたはただ「ウメちゃんを味方にする」と無邪気に決めてしまえばいいだけ。その瞬間がスピリチュアルな生活のはじまり。今まで「何をしても変わらない」と思っていたあなたの人生は、必ずドラマチックな展開を繰り広げてくれるはずです。」(p.142)
このように言って、ともかく安心して、魂と共に楽しく生きることを選択するように勧めます。
本の後半はQ&Aになっていて、カウンセラーとしての悩み相談のようになっています。
ただこの部分は、短い文章で回答していることもあって、ちょっとイマイチな感じがします。
前半の「ウメちゃんを味方にする」ということが方法だということがわかった上で読まないと、「それができないから相談しているんでしょ」と言いたくなるような回答になっていますから。
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