友人の紹介で知ったのですが、カウンセラーの心屋仁之助さんという有名な方がおられるのですね。
タイに住んでいると、日本のTVの情報が入ってこないので、まったく知りませんでした。
それで勧められるがままに買ったのがこの本です。
読んでみて、なるほどこれは核心をついてて素晴らしいなあと思いましたよ。
要は、不安をなくすということなのですが、その着眼点が素晴らしいです。
つまり、「良い」と「悪い」は「手の甲」と「手のひら」の関係と同じだと言います。
「手の甲」を「良い」と考えてほしがっても、手が自分に近づいてくると、ほしくない「手のひら」も一緒に近づいてきます。
それで「手のひら」を嫌って遠ざけようとすると、「手の甲」も近づいてきません。
こうして、自分が嫌うものを遠ざけようとするために、望むものが手に入らないのだと言うのです。
「「損したくない」と思えば思うほど、得が手に入りません。逆に、「損してもいい」と思うと、得がやってきます。」(p.35)
この話は、私もよくわかります。私自身がそうやって、損を受け入れるようにしてから、人生が良くなってきたという経験があるからです。
「拒否しないで受けとるということは、それをわざわざ手に入れるということではなく、ただそれを否定しないということです。」(p.49)
「不安でもいい。失敗も当たり前。力不足も当たり前。それを受け入れることが、自信への第一歩なのです。」(p.127)
よく「開き直る」ことを勧める人がいますが、まさにそういうことですね。
「私、ひどい人間ですよ。でも、それがどうしたと言うんです?」
こんな感じでしょうか。「悪い」と感じている面があることをしっかりと受け止めさえすれば、もう怖くはなくなります。
「そのしばりを解くには、怖がっているマイナスの正体をしっかりと見てしまうこと。怖がっているものの正体をちゃんと知ってしまうこと。
そして、そのマイナスは幻想だと気づくことが、いちばんの近道なんです。」(p.150)
不安は幻想なんですね。だからしっかりと見据えれば、その不安は消えるほかありません。
「確かに、怖れは心を不安定にします。
でもその怖れの最大のものは、じつはひとつです。
それは、「愛されない」ことだと僕は思います。」(p.157)
愛が感じられないと不安(怖れ)が顔を出す。
愛と不安の関係が、ここでも語られていてびっくりです。
すべてをニュートラル(中立)だと受け止め、不安を幻想だと見抜き、愛に目覚めること。
やはりこれに尽きますね。

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