かっこちゃんこと山元加津子さんの本です。
と言うより、山元加津子さんの講演や関係する人たちの文章をまとめたような本ですね。
DVDもついていて、本にも収められているかっこちゃんの講演を観ることができます。
タイトルにある「1/4の奇跡」は、自主上映映画のタイトル「1/4の奇跡〜本当のことだから〜」にもなっています。
これがどういう意味なのか、この本でも明らかにされています。
詳しくは本を読んでいただくとして、簡単に言えば、遺伝の話です。
血液型で説明するとわかりやすいですが、たとえばA型の人は、厳密にはAA型とAO型に分かれます。これは染色体が2本で1対になっていて、両親からそれぞれ1本ずつもらって、子どもの染色体になるからです。
この例では、父親がAO型(A型)で母親がBO型(B型)の場合、子どもはAO型、BO型、AB型、OO型(O型)の4種類が同じ確率で生まれることになります。
つまり、どの型になるかは1/4の確率だということなのです。
血液型では、A型やB型になる遺伝子は優性遺伝で、それらがないO型は劣性遺伝です。
O型は劣性遺伝ですから、OO型となったときだけ表面に現れます。つまりO型として認識されます。
しかし、A型やB型の人の中にもO型遺伝子は入っていて、次の世代に引き継がれます。
これを前提知識として、本の内容を簡単に説明しましょう。
アフリカの黒人には鎌状赤血球症という遺伝病が多いのですが、これは劣性遺伝です。
そして、この鎌状赤血球症の遺伝子を持っていると、マラリアに強い体質になります。
しかし、その遺伝子のある染色体を2本持ってしまうと、障害をともなう鎌状赤血球症を発病しやすく、ひどい苦しみを味わいながら、早く亡くなることになるのです。
このことから、黒人がマラリアで全滅しなかったのは、鎌状赤血球症の遺伝子を伝えてきたからだと言えるわけです。
つまり1/4の確率で大変な障害を負うことがわかっていても、種族としての全滅を避けるためには、それが必要だったのだと。
障害を持って生まれる人は、種族をマラリアから守るためにその1/4を引き受けた人だと言うのです。
だから、みんなで1つの生命を守っているのであって、障害があるから不要な人ではない、ということなのです。
このことが、あらゆることに言えるのではないかと、かっこちゃんは考えているようです。
もしそうでないなら、とっくに障害者は生まれてこなくなったはずだからと。
そして、もっと言うなら、様々な困った人というのも、同じように全体から見れば必要な人だと言うことなのです。
たとえば、遅刻を繰り返す人とか、トラブルメーカー的な人が、どんな組織にもいます。
でも、そういう人を排除すれば良い組織になるかと言うと、必ずしもそうではありません。
残った人の中から、また困った人が出てくるのです。
だから困った人を排除するのではなく、その人も受け入れて、それで全体として存在できているのだと認識を変えることが重要なのです。
この本を読みながら、あるいはDVDを観ながら、何度泣いたことでしょう。
「あなたのことが大好きです。だい、だい、大好きです。」
触れ合うすべての人に、そう言ってあげたい気持ちになりました。
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