これはまた衝撃的なタイトルですね。
しかもこの本の著者は、医学博士の橋内章(はしうち・あきら)さん。
医者がこんなことを言うなんて・・・。天邪鬼の私は興味をひかれます。(笑)
はじめの方では、正式な研究結果を引用して、タバコや酒の害について語ります。
たしかに、喫煙者の肺がんなどは非喫煙者より高くなっていますし、死亡率も高まるようです。
でも、それは単に事実であって、原因ではないと言います。
なぜなら、その調査は肺がんになった人を様々な要素で分類したところ、たまたま喫煙者の割合が多かったというだけで、他に隠された因子があったかもしれないと言うのです。
たとえば別のある生活スタイルが本当の原因で、そういう人には喫煙者が多いだけなのかも、というわけです。
また、タバコには多くの発がん物質が含まれるとされていますが、あれも本当に喫煙でガンになることを証明してはいないのだそうです。
発がん物質を調べる研究は、その物質を投与するとき、急性症状を起こすよりギリギリ少ないくらい大量に投与するのだそうです。
1年くらいそれを続け、解剖してガンができていれば発がん物質とするというものだとか。
少量を20年くらいかけて投与するような、まさにタバコを吸うような感じの調査方法ではありません。
この方法の問題点は、少量の投与の影響がわからないことです。
たとえば放射線被曝ですが、大量被曝の害はもうご存知でしょう。
しかしこれも、少量ならむしろ健康に寄与します。つまり、「放射線=健康に悪いもの」とは言えないのです。
さすがに今は、大きな声では言えない雰囲気もありますが、科学的にそれは証明されています。
ですから人はわざわざ、放射線を浴びにラドン温泉などへ行くんじゃありませんか。
その地域は、他の地域より相対的に放射線量が高いのだそうですが、その地域住民はむしろ健康な人が多いそうです。
どんな物質でも、大量に摂取すれば体に悪いのです。どこまでなら害がないか、それを見極めた上でなければ、単に物質名だけで良いとか悪いなどとは言えないのです。
森鴎外の興味深い逸話(p.126)が書かれていました。
軍医総監にまで上り詰めた森鴎外ですが、ドイツで伝染病の第一人者だったこともあり、脚気を伝染病と考えました。
そのため、陸軍の脚気患者に精力をつけようとして、白米を食べさせたのだそうです。
しかし海軍では、まずい麦飯を食べさせていました。麦飯にはビタミンB1が多く含まれており、このために脚気で死ぬ兵士が少なかったそうです。
しかし森鴎外がいた陸軍では、実に2万人の死者を出したそうです。
森鴎外が白米を食べさせたのは、おそらく彼の善意だろうと言います。
体力が落ちているから、美味しい白米のご飯を食べさせてあげたかったのです。
しかしその善意がアダとなりました。
もし鴎外が、「ひょっとしたら自分は間違っているかもしれない」という気持ちを持っていたら、海軍では死者が少ないという情報も入って、他の方法を試すなどの対策が打てたかもしれません。
このエピソードから、何の根拠もないのに「タバコは体に悪い」というイメージだけが一人歩きし、医師もそれを疑うことなく「タバコをやめなさい」というのは危険なことだと言うのです。
たしかに、そうだと思いました。
もちろん、タバコが原因というか、症状を悪化させることがはっきりしている病気もあるそうです。
ただそれは、患者本人もタバコを吸うとつらくなることを自覚しているはずなので、自分で十分に判断できることだと言います。
また、痴呆症とかパーキンソン病の予防に関して、喫煙が効果があることが科学的に証明されているそうです。
それに昔は、タバコや酒は薬として考えられていたこともあったとか。
このように、これまで単にイメージで考えていたタバコや酒の害が、意外にも思い込みに過ぎなかったことが示されています。
ただ最後の部分は、このイメージ作戦は、優秀な喫煙者を妬んだ非喫煙者の策略だというような、ちょっと荒唐無稽な話になってしまっていて、それが残念ですね。
単に煙や臭いが嫌いだからという人の方が多いと思いますから。
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