「ちょっとネガティブな発想かもしれませんが、幸せとは何か?と、聞かれれば、それは「不安のないこと」ではないかと思っています。」(p.76)
この表現に、私はちょっとした衝撃を受けました。
不安があると、人は「もっと何かをしなければならないのではないか?」と、急き立てられるのです。
たとえば老後に不安があれば、もっと貯蓄しなければならないとか。
人からバカにされる不安があれば、もっと頑張って高い地位を得なければならないのではないか、というように。
同じ頑張っているのでも、自分を高めることが楽しくてやっている人は、失敗することを恐れません。
いわば、結果に執着していないのです。
「成功すれば嬉しいけど、成功しなくても大したことじゃない。また頑張ればいいだけじゃないか。」
そのくらいなものでしょう。
しかし、不安に突き動かされている人は、もう溺れそうなほどアップアップしています。余裕がないのです。
なぜなら、「もしその結果が得られなければ、とんでもないことになる。」と思っているからです。
ですから当然、他の人のことなど思いやる余裕なんてありません。
そのように、心に不安があるのは幸せじゃないと、中村さんは考えたのだそうです。
逆に言えば、不安がなければ心に余裕が生まれ、穏やかな喜びの中で生きられる。だから幸せではないかと。
これを読んだ時、私は「なるほど!そういう表現もあったなあ。」と感心したのです。
まさに、その通りだと思います。
そして、不安を取り去ることは、本物の自信を持つことにもなると思いました。
不安がないときの自信というのは、たとえばこんな感じです。
どうやればそれができるかわからないけど、ともかくそれをやろうと決めた。そして、それは何とかなると感じている。
「まあ、何とかなるだろう。ともかく、やってみよう!やってみてダメだったら、また別の方法を探せばいいんだから。」
このように、何の根拠もないのに、「なんとかなる」という気持ちになれるのです。
なぜか?不安がないからです。
不安がある人は、「できなかったらどうしよう?」ということばかりが気になって、できる方法が見つかるまで始めようとしません。
これまでやったようなことなら、できる方法も簡単に見つかるでしょう。でも、初めてのことならそうはいきません。
したがって、いつまでも良い方法が見つからないため、何も始められないのです。
そして始めない限り方法は見つからないので、いつまでたってもできません。自信も得られないのです。
では、どうすれば不安を取り除けるのでしょうか?
それについては、これまでもブログなどで何度も説明しています。
簡単に言えば、「必要性はない」ということを頭で理解し、次に腑に落ちるまで自分の中で繰り返し叩きこむ(=習慣化する)ことです。
つまり、いつも言うように理論と実践なのです。
小さな成功体験を積むことも、もちろん助けにはなるでしょう。
けれども、それだけではいつか壁にぶつかります。
たとえそれが、どんなことであっても何とかなる。
そういう考えが信念とならない限り、根拠のない自信は創られないのです。
以前、NHKのドラマ「開拓者たち」の主人公ハツの言葉を紹介しました。
「なあに、なんとかなる。生きていさえすれば、なんとかなるって。」
想像を絶するどん底状態をくぐり抜けたハツには、もう頼るものはその思いしかありませんでした。
そしてその言葉を口癖のように繰り返す中で、それを自分の信念にまでしたのでしょう。
だから何とかなった。不安に打ち勝って、生き残ってきたのだと思うのです。
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