誰か知り合いがFacebookかどこかで、「この本はいいよ」と言っていたので、内容もよくわからずに買ってみました。
漫画だからすぐ読めるだろうということと、帯に福島正伸さんの推薦があったので、それなら間違いないと思ったからです。
読んでみて、初めてわかりました。
これはテラ・ルネッサンスというNPOを立ち上げて活動している鬼丸昌也さんたちの物語なのですね。
そのNPOが何をしているかというと、カンボジアなどの地雷除去と、アフリカを中心とした少年兵を救う活動への支援です。
これだけ書くと、「へー、そうなんだ。すごいね。」で終わってしまうかもしれません。
でもこの本を読むと、おそらく何かしなければ気が済まなくなると思います。
そう、私のように。
私は、そういう思いに突き動かされて、急きょこの本をブログで紹介しようと思い立ったのです。
それくらい、私たちの心を奥深くからゆすぶり、目覚めさせてくれる本です。
それは、主人公でもある鬼丸くんの行動力が、その1つの要因になっています。
英語もできないのに、まずイギリスへ行こうと決め、できない英語をどうするかを考えました。
できるからやるのではなく、やらなきゃいけないと決めたからやるのです。
どうやるかは、やると決めてから考えれば、必ず道が開けるもの。そういう信念を持っている人なのです。
テラ・ルネッサンスのメンバーに、トシャさんという人がいます。
彼女は、幼くして家族が虐殺され、天涯孤独になるという出来事がありました。
ルワンダの虐殺は有名ですが、彼女の国、ブルンジ共和国でもツチ族とフツ族の対立があったのです。
おばさんのところに預けられると、今度はおばさんが虐殺されます。
自分は疫病神ではないかと思い、半年間も森で1人で暮らしたそうです。
それからも、難民キャンプへ行ってもひどい扱いを受けるし、生きるためにやっと職を見つけても差別されるという、踏んだり蹴ったりの暮らしが続きました。
それに耐えて生きてきたのです。
彼女は今、自分と同じ境遇のストリートチルドレンを4人、自分の子どもとして育てています。
そして少ない給料から貯金をして、日本へ行きたいと言ったのだそうです。
なぜなら、年間3万人もの自殺者がいるという日本人へ、自分の体験を伝えることで、生きる希望を持ってもらいたかったから。
その希望を叶え、彼女は日本で講演を行ったようです。
トシャさんは言います。
「私は「幸せになる」という選択をし、「人を幸せにしよう」と決心しました。」
境遇が人を不幸にするのではありません。
その人がした選択が、意思が、その人を不幸にするのです。
ならば逆もまたしかりです。彼女でさえ幸せを選択したというのに、恵まれている日本人が、どうしてそういう意思を持てないことがあるでしょうか?
鬼丸さんが感銘をうけた人に、アジアのノーベル平和賞と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞したアリヤラトネ博士がいます。
彼は、鬼丸くんにこう言ったそうです。
「君が何かを始めようとする時に、特別な知識や、財産はいらないんだよ。
ただ一つだけ忘れないでほしい。それは、障がいの有無や、性別、年齢にかかわらず、どんな人にも自分と社会の未来を創造する能力があるということだ。
そして、その能力を人と比べる必要もない。
大事なのは一人ひとりに必ず能力があると信じることだ。
それが人間の信頼につながり、社会を変革する勇気になる。」
人は、どんな人であっても、絶対に素晴らしい存在なのです。
役に立たない人とか、生きていて意味がない人などいないのです。
その信頼こそが、世界を動かし、私たちの社会を変えていくのだと思います。
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