また喜多川泰さんの本を、Kindle版の電子書籍で読みました。
前に紹介した「手紙屋」の続編と言うか、姉妹編にあたる小説です。
喜多川さんは、この2つの小説を、ほぼ同時に書いたのだそうです。
どおりで微に入り細に入り、うまくリンクしている感じがします。
こちらは、大学受験を1年半後に控えた女子高校生に対するアドバイスになります。
この女子高校生が、実は前の「手紙屋」の中では、さり気なく重要な役割を演じていますが、その秘密がこの中で明かされています。
ドラマ展開の面白さは、ここで暴露すると台無しなので、そこはぜひ読んでみてください。
この小説も、成功哲学的な要素が散りばめられていて、「勉強」に対する喜多川さんの思いが込められています。
今も予備校で学生を教えておられるだけに、「勉強」に対する哲学というか、視点が素晴らしいです。
「勉強」も一つの道具だという視点は、本当に斬新なものでした。
また受験勉強の方法として、まず問題にあたるというのは、とても納得できます。
たとえば基本要素である英単語を覚えるよりも、長文読解を先にやってみるというやり方です。
わからないところは辞書で調べ、1つの問題を徹底的にやるということを書かれていました。
私も、高校生の時にこれを知っていたら、もっと良い点が取れたでしょうね。
私は数学や物理などは得意で、実はこういう勉強法をしていたのです。
中学の時は、さっさと教科書の予習を終え、2学期からは参考書の問題を解いていました。
またテストで100点取れなかったときなど、返された答案用紙を見て、必ずどこが間違っていたか、なぜ間違っていたかをチェックしていましたよ。
ある意味で、テストで100点取ることより、その問題を100%わかるようにすることに比重を置いていたと思います。
解けない問題が存在することが悔しかったというか、嫌だったのですね。完璧主義者ですから。(笑)
それと、勉強を例えるならマラソンよりも駅伝だという視点も、素晴らしいと思いました。
マラソンは、自分1人がねばってねばってゴールするというイメージです。
でも駅伝は、前の人の頑張りの上に、自分の頑張りを重ね、さらに次の世代につないでいくイメージです。
過去の人が苦心して発見したことを、わずか数分で学習できるというくだりは、本当に目からうろこでした。
ピタゴラスの三平方の定理とか、そこまで行かなくても面積や体積の求め方だって、最初の人は相当に苦労したはず。
その苦労のお陰で、私たちは容易にそういう計算ができ、生活に役立てることができています。
そう考えれば、自分が生まれた時より、少しでも良くして次の世代にタスキを渡したい。そう思いますね。
ぜひ、「手紙屋」と合わせて読んでみてください。
【本の紹介の最新記事】