またまた喜多川泰さんの小説です。
電子書籍(Kindle版)だと、ちょっとした空き時間にスマホで手軽に読めるのがいいですね。
また、そういうときに読むには、小説のような読みやすい本がピッタリです。
ということで、読み終えるとすぐに買いたくなるのですが、すっかり喜多川さんのファンになっちゃいましたよ。
実はこの「東京物語」は、デビュー作の「賢者の書」よりも先に書いたものだとか。
そう言われてみると、このスタイルが「手紙屋」など他の小説に、色濃く影響を与えている気がしますね。
生き方に迷っている主人公に対して、他の誰かが的確なアドバイスを与える。
しかもそれは、本や手紙など、何かしら書かれたものによって。
今回は、大学進学する息子に対して、父親がアドバイスするというスタイルになっています。
前半と後半の二部仕立てになっていて、前半はなんだか煮え切らないフラストレーションがたまる展開です。
どうしてそうなっているかが後半明かされますが、なかなか凝った作りになっていますね。
前の「賢者の書」にもあった「時間を投資する」ということが、こちらにも書かれています。
こっちを読むと、その意味がよくわかる気がします。
結局、人は、ただ想像しているだけでは、何が自分に向いているかとかわからないのです。
実際にやってみる(=時間を投資する)ことによって、初めて得られる気づきがあります。
体験することの重要性は、私もわかっているつもりでした。でも、これを読むと、本当によくわかりますね。
また、「常識から離れること」を勧めています。
これが当然とか普通だという思い込みによって、真実ではないことを信じて生きてしまう。
そのことが、この小説にありありと描かれています。
「なるほどー。そうだよな。」と、何度ひざを打ったことか。
若い人にはぜひ読んで欲しい小説ですが、何歳になっても、ここから学んで生き直せると思います。
儒学者の佐藤一斎は、言志四録の中でこう言っています。
「少にして学べば壮にして為すこと有り。壮にして学べば老いて衰えず。 老いて学べば死して朽ちず。」
私は50歳を超えましたが、これからもますます学んでいこうと思いました。
【本の紹介の最新記事】