2013年07月24日
伝わるのは愛しかないから
ひとことで言うなら、「ものすごい本」です。
著者は日木流奈(ひき・るな)くんという、脳障害の少年。しかも9歳。
その少年が、「神とはどういうもの?」とか「死をどう受け止めたら良いと思う?」などという、大人でも答えにくい質問に対して答えたのが、この本なのです。
私はこの本を、2000年の12月に読んでいて、別のブログで紹介していました。
「神との対話」シリーズを読んで感動していたとき、それとよく似たことが書かれていたからです。
少し引用してみましょう。その方が、この本に書かれていることがどれだけすごいか、ストレートに伝わるでしょうから。
「よくネ、いろんな宗教が問題になるでしょ。あれネ、その人たち責めても始まらないのよ。根本的に教育体制がそうなってんだもん。
学校で先生の言うことをきく、家で親の言うことをきく、大きいものには従え、自分より知っている人には従えっていう教育されてんだもん。
本当の教育って、何か問題が起きたら、それをどう対処するかって考えさせることだと思うの。問題を解決させることだと思うの。
考えさせてあげないでしょ、今の教育って。考えさせてあげないで、教えちゃうでしょ。
答えがもう決まってるの。その答えしかないんだもん、いいことすべて含めてネ。もっともっと考えさせる土台を作ってあげればいいのにネ。尋ねてあげればいいのに、子供に。」(p.134 - 135)
どうですか?これ、本当にすごい内容なんですよ。
「宗教の問題」というのは、やはりイスラム過激派やオーム真理教などのテロの問題が思い浮かぶでしょうね。
でもそれは氷山の一角であって、その背後には根深い問題があるのです。
そのことを私も、以前の記事「アルジェリアの人質事件に思う」や「宗教はアヘンですか?」で書いています。
この中で指摘しているのは、指導者が信者に盲目的に従わせる組織宗教の問題点です。
このことを流奈くんは見抜いていて、「教育に問題がある」と指摘しています。
言われてみると、なるほどですよね。
宗教だけの問題ではなく、私たちの教育がすべてそうなっていたのです。
しかし、残念な情報もあります。
流奈くんのことを以前、NHKの番組が取り上げたのだそうです。
そのとき、「お母さんが流奈くんの手を持って動かしているだけでは?」という指摘が、視聴者からあったのだそうです。
その後NHKは、放送内容に問題はないと公式発表しました。けれど、その放送分を観られないようにし、再放送もやめたのだそうです。
でも、その動画が出回っていました。それを見ると、たしかにその指摘通りに見えます。
流奈くんは文字盤を見ていないし、ついには眠ってしまいますが、それでもお母さんは語り続けています。
「それってどういうこと?やらせてるだけじゃないの?児童虐待でしょ。」
そういう指摘や苦情があったようです。
では真実はどうなのか?
私にはわかりません。以心伝心でお母さんに伝わっているのだと言う人もいます。そうかもしれません。
ただ私に言えるのは、ここに書かれた内容は、私を含めて普通の人には語れないような内容だということです。
つまり、世界のありとあらゆる書物を読んだような勉強家か、それともインスピレーションによって導かれた人でなければ、とうてい語れないだろうと思われる内容なのです。
私と比較するのもなんですが、私はおそらく一般的な人よりはるかに多くの書物を読んでいると思います。
その私ですら到達できていない境地に、あのお母さんが普通の生活をしながら到達していたとは、どうにも考えづらいのです。
また、お母さんが金儲けのために流奈くんを利用しているという批判もありました。
でも仮にお母さんがあの境地に到達していたとするなら、そんな人がそういう愚かなことをするとも考えられません。
ですからそれは、いわゆる下衆の勘ぐりではないかと思うのです。
ということで、この本に限りませんが、どう評価されるかは人それぞれです。
私はこの本を、「神との対話」シリーズに勝るとも劣らない素晴らしい内容だと思います。
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