神渡良平さんの、一隅を照らす人々のシリーズです。
以前に読んだ「一隅を照らす生き方」もそうですが、それほど有名でないけれど、自分がやるべきことを真摯にされている人々の生き様に、スポットライトを当てて紹介しているものです。
これが神渡さんの手にかかると、みるみる輝いてくるから不思議ですね。
今回も、最初に紹介されていた義足のランナー島袋勉(しまぶくろ・つとむ)さんの話から、すっかり本にのめり込んでしまいました。
両足義足で走るということがどういうことなのか、私たち健常者の想像を絶する部分が丹念に描かれていて、その乗り越えてきた山の高さが目の前に見えるようです。
次のカンガルーケアを広めようとされている山縣威日(やまがた・たけひ)院長も、産科医でありながら、小児科の研修を受けたという経緯が心を打ちます。
そんなことをすれば経済的にも地位的にも、自分にとって不利益であることがわかっているのに、それでも子どものことを考えると、そうせざるを得なかったのです。
トイレ掃除によって荒れた高校を立ち直らせた山廣康子(やまひろ・やすこ)先生も、事なかれ主義の教師たちの中で孤立しながらも、子どもたちに申し訳ないという思いで奮闘されたのだそうです。
こういう話があることは知っていたのですが、具体的に、しかもそれが私も住んだことがある広島県で実際にあったことだと知ると、急に身近に感じられますね。
こうした人々の生き方に焦点を当てながら、この世は愛に包まれており、生命は永遠だという真理があぶり出されてきます。
「そうか、私も自分のやるべきことをやればいいんだなあ。」
そんな思いにさせてくれます。
神渡さんが師と仰ぐ安岡正篤氏の言葉は、私も座右の銘として使わさせていただいています。
「一燈照隅 万燈照国」
その明かりがどんなに弱く小さいものだとしても、自らが灯火となって足下を照らせば、周りの人々の希望になるでしょう。
そして、そういう灯火を掲げる人が1人、また1人と増えてくれば、国中が、そして世界中が明るくなるのです。
希望と勇気を与えてくれる神渡さんの本は、本当にお勧めです。
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