2013年07月09日
代表的日本人
言わずと知れた内村鑑三氏の本です。
この本は、もともと英語で書かれました。タイトルは「Japan and Japanese(日本及び日本人)」です。
日本にも西洋諸国に劣らない文化があり、だからこんなりっぱな日本人がいるのだということを、世界に知らしめようとしたのです。
アフリカ、中南米、アジアと、西洋列強は切り取り合戦を繰り広げ、植民地化を推し進めていた時代です。
文化的に低いと見るや、まさに毛のない猿のように扱った西洋人。
彼らに一目置かせ、日本は侮れないと思わせたひとつの要因が、この本にあるとも言われています。
※伊能忠敬氏が作った精巧な日本地図も、西洋人を驚かせたと言われています。
内村鑑三氏は、代表的な日本人として、5人の人の生きざまを紹介しています。
敬天愛人という言葉で知られる西郷隆盛氏は、西南の役で政府に逆らって死ぬものの、その人気は冷めることなく、英雄として親しまれています。
上杉鷹山公は、養子という身ながら、自分を律することで藩財政の大改革を成功させた名君です。
アメリカの元大統領、J.F.ケネディー氏は、上杉鷹山公を尊敬していたとも言われています。おそらくこの本によって知ったのでしょう。
二宮尊徳翁は、今ではその姿を見ることもないでしょうけど、昔はどの学校にも薪を背負って本を読む少年の銅像があったものです。
農民聖者と言われるように、身分制度が厳しかった時代に、最下層の身分でありながら藩の再建に貢献しました。
中江藤樹氏は近江の聖人と呼ばれますが、片田舎で村人たちに、ひっそりと学問を教えていただけの人です。
しかし、その人物の素晴らしさは噂となり、藩主までがわざわざ訪ねてくるまでになったのです。
岡山の熊沢蕃山氏も立派な人だったと聞いていましたが、中江藤樹氏の弟子だったのですね。
日蓮上人は、ある意味で革命家です。
どんな困難にもめげずに自ら信奉する教えを広め、ついには幕府を動かしてしまいました。
この本では、それぞれの人について簡単に紹介されているだけです。
本当にその人物の人となりを知りたければ、何冊もの本を読む必要があるでしょう。
でも、ぜひ読んでみたいという気持ちにさせてくれるのが、この本の魅力です。
最近は、英語での情報発信が少ないために、日本や日本人が誤解されることが多いように感じます。
現代にも神渡良平さんが紹介されるような一隅を照らす人々がたくさんいます。
そういう方々を、ぜひ英語で世界に紹介してほしいものだと思います。(私は英語が苦手なので)
上記の本は、英語との対訳になっており、外国人の方と回し読みしたり、英語の勉強をするのにも使えます。
また同じように英語で日本を紹介した本に、新渡戸稲造氏の「武士道」という本もあります。
新渡戸稲造氏と内村鑑三氏は、札幌農学校の同期生なのだそうです。
こちらも英語の対訳になっています。
ぜひ、利用してみてください。
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