「ザ・シークレット」とか「引き寄せの法則」などによれば、この世はすべて思い通りになることになっています。
なぜなら、この世の出来事は結果で、その原因は、私たちの考えたこと、つまり思考にあるからです。
いわゆる「引き寄せ本」の元祖とされる「「原因」と「結果」の法則」でも、繰り返し言っているのは、思考が原因だということです。
そういう本を読んで、多くの人は感動します。
そして、自分も引き寄せの法則を利用して、幸運なことを引き寄せようとやってみます。
そして、大半の人が挫折します。(笑)
なぜか?
詳しくは「引き寄せの法則には盲点があった」で書いていますので、そちらをご覧ください。
ポイントをお話すると、1つは上手く使えないことです。つまり、自分の思考を思い通りにコントロールできないという問題があります。
もう1つは、思考は私たちの顕在意識(いわゆる意識)だけが行なっているのではなく、魂の思考もあるということです。
そして魂の方が強いので、そちらの意思が現実に現れるのです。いわゆる運命と呼ばれるものですね。
このことを理解しないと、「なんでも思い通りになる」と「ザ・シークレット」などでは説明するため、喜んで舞い上がってしまいます。
そして、当然のことながら思い通りにならない現実を突きつけられて、とたんに失望してしまうというわけです。
けれど、最近になってふと、「それでも思い通りになっているんだな」と直感的に感じることがありました。
それを教えてくれたのは、神渡良平さんの「静寂の時間がいのちの根を養う」で紹介されていた、「ある病者の信条」という詩です。
これも先日の「神の慮り(おもんばかり)」で紹介していますので、そちらをご覧ください。
これを読むと、願い通りにならない現実が次々に押し寄せてきているのに、作者は最後にこう言うのです。
「求めたものは一つとして与えられなかったが
願いはすべて聞き届けられていた」
意識して、こうであってほしいと思った思考の通りににはなっていないのです。
それを、「思い方が間違っていたからだ」とか、「思考をうまくコントロールできなかったからだ」というようには考えていません。
そういう現実しかないのに、「願いはすべて聞き届けられていた」と感じているのです。
そう感じる理由を、こう説明します。
「言葉に表されていない祈りが叶えられていたのだ」
つまり、意識して願ったことではなく、無意識の願いが叶っていたのだと。
先ほどの「引き寄せの法則」がうまく働かない2つ目の理由が、このことを説明しています。
つまり、魂の願いが聞き届けられていた、というわけです。
ただそのことを、どう受け止めるかによって、印象が違ってきます。
運命だと考える人は、自分(=顕在意識)以外の何か(=魂)によって与えられているもので、自分には抵抗できないと考えます。
けれど、魂こそが自分の本質だと考える人は、それは自分が願ったことだと感じるのです。
そう感じるとき、小さな自分(=顕在意識)は、大いなる自分(=魂,宇宙意識)と一体になっています。
すべてが一体だと感じるとき、すべての出来事は願い通りになるのです。
上記の詩の作者は、それに気づいたから、自分に起こるすべてのことを「ありがたい」と受け止められたのでしょう。
思い通りでない現実の中に、神の栄光を見たと言っても良いかもしれません。
「なんだ、それじゃあいつも不満な現状に甘んじてろってことじゃないか。そんなの詭弁だよ。」
そう文句を言いたくなるかもしれませんね。
そこが大きな関門です。
この関門は狭いので、なかなか潜り抜けることができません。
多くの人がこの関門に跳ね返され、不遇をかこつことになるのです。
あるいは、仮に上手く行ったとしても、常に転落する不安を抱えているため、安住の地がないのです。
安住の地を求めて、もっともっと所有しようとあくせくします。餓鬼道をまっしぐらです。(笑)
しかし、この関門を一度でもくぐり抜けると、そこに今までにない世界が広がっていることに気づきます。
すべてが完璧だったと認識する瞬間です。
不完全だと思っていたことが、実はその不完全さこそが完璧だということがわかるのです。
完璧に不完全なのですから、その不完全が不完全のままに美しく光ります。
その美しさに触れたとき、価値観が一変します。
多くを求めてあくせくすることが、苦しくなるのです。
「これは自分じゃない!」という内なる声が、どんどん大きくなるのです。
理屈(=論理)では、簡単に説明できます。
それは、すべては「ひとつのもの」であるということと、この世は幻想にすぎないことを理解するだけです。
けれども、それを感じて得心することは、自分でやるしかありません。
何度も何度も繰り返して、腑に落ちるまで自分に言い聞かせるのです。
そして、自分の心の中に分け入って行って、そこに自分の真実を見つけるのです。
2013年06月18日
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