神渡良平さんが、人生の師父として私淑する安岡正篤氏の、思想から学んだことについて書かれた本です。
安岡氏に関する本はたくさんありますが、神渡さんほど安岡氏のことを書いた作家は、他におられないでしょうね。
神渡さんの本を読むと、タイトルに「安岡正篤」と書かれていなくて、必ずどこかで安岡氏の名前が出てきて、その思想が紹介されています。
それだけ、安岡氏に学ぶものが大きいと、神渡さんは考えておられるのでしょう。
この本は、安岡氏の思想を直接に解説したというより、その思想が他の人によって、どのように具現化されているかを紹介したものとなっています。
第三章では、「地の塩・世の光、一隅を照らす人々」と題して、有名無名を問わずに、一隅を照らす生き方をしている人々を紹介しています。
この中には、先日ブログにも書いたサウンドセラピストのAikaさんの話もありました。
また、俳優の滝田栄さんの話もあって、あの温かい人間味にあふれた印象が、こういうところから来ているのかとわかりました。
私も1回だけですが、滝田栄さんのレ・ミゼラブルというミュージカルを見に行ったことがあります。たしか本田美奈子さんも出ていたはず。
あまり劇を見に行くことのない私ですが、そのときはなぜか見たくなったのです。せっかく東京で暮らしているのだからと、文化的なものに触れたい気持ちもありました。
この本に書かれた安岡氏の思想を、無謀を承知で私の言葉でまとめると、次の2つに絞られると思います。
1.生命は一体であり、私たち人間は、その無限な生命が具現化したものである。
2.私たちが一体である生命から分化して具現化したのには意味があるのだから、常にその無限の生命と対話しながら、分化したいのちをまっとうするべきである。
だから内省するとか、自分の中に入っていくとか、瞑想するなどということが大切になるのでしょう。そのためにも、独りでいる時間が重要です。
こんなことを言うと著者の神渡さんからは怒られるかもしれませんが、これが私が受け取ったこの本のメッセージです。
歌や小説などもそうですが、作品はできあがった瞬間からひとり歩きします。
作者がどういう思いでそれを作ったかなど、正確に伝わるものではありません。
そして、正確に伝わる必要もないと思います。
それを受け止める側は、その人としてそれを受け取り、自分に役立てれば良いのです。
ここに紹介されていた畑山さんは、不治の病HAMの患者さんです。
畑山さんは、「神との対話」を読んでいて、高次の意識を与えられたそうです。
※本の中で「ニール・ドナルド・ウォルシュの『神との対話』(PHP研究所)・・・」(p.219)と書かれていますが、「神との対話」というタイトルの本はサンマーク出版です。本のタイトルが「10代のための「神との対話」」ならPHP研究所になります。おそらく畑山さんは、「10代のための・・・」の方を読まれたのでしょう。
「現状に不平を言わず、ただただ感謝して受け止めます。私を伸ばしてくださるために、あらゆるものを与えてくださり、本当にありがとうございます。私はただがんばっていけばよろしいのですね」(p.220)
そのように感じて、進行性の不治の病になったにも関わらず、前向きに生きられるようになったそうです。
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