タイの怪談映画「ピー・マーク・プラカノン」が大ヒットしていると書いたのは、もう1ヶ月以上も前の4月1日の記事でした。
2週間か3週間前には、入場者が500万人を超えたと発表していました。空前の大ヒットのようです。
同時に上映されていた「クー・カム」(同小説の日本語訳は「メナムの残照」)を推しのけて、大ブレークしています。
昨夜、妻と映画を観に行ったのですが、「スター・トレック」を観た後、2本目の映画として、この「ピー・マーク・プラカノン」を観ました。
洋画のお化けものもあったのですが、私はそういうのは好きじゃないので、それなら大ヒットしている映画を観てみようと思ったのです。
妻はすでにこの映画を観ていて、「これならもう1回観てもいいから、一緒に行こう。」と言われていたのを、実はずっと断っていたのです。
だって、すでに観たことがある人とコメディー映画を観ても、面白くないでしょう?(怪談ですがコメディーです。)
隣から、次はどうなるなんてことを、ささやかれるに決まってますからね。
それでもまあいいかと思って、この映画を観ました。以下、映画の内容に触れますので、ネタバレ注意でお願いします。
映画が始まると、もうすでに妻はハイ・テンションです。
「ほら、いくら撃たれても死なないんだよ。」
主人公のピー・マーク(マークお兄さん)は、友だちと一緒に徴兵されて戦地へ行ったのです。
そして、やっとの思いで生き残って、愛する妻、ナークが待つ故郷、プラカノンへ戻ります。
ところが、プラカノンでは異変が起こっています。
身重のナークは死んでいて、ピー(お化け)になっていました。一緒に亡くなった子どもと共に。
村人がナークの正体をバラそうとすると、必ず死ぬのです。その呪いを怖れて、誰もマークに本当のことを言いません。
すると隣で妻が言います。
「マークは、ナークが死んでいることを、もう知っているんだよ。」
まだ何もわからない状態なのに、そうやってネタばらしをします。
途中までは、ドタバタのギャグがあって、コメディーとして笑わせてくれます。
私には何がそんなにおかしいのか、よくわからないことも多かったのですが・・・。
しかし、最後の最後に、泣いてしまいました。
ナークがお化けだということに気づいた友だちは、マークを連れてお寺にこもります。ナークの呪いから守ってもらおうとしたのです。
しかし、ここでもドタバタがあり、僧侶は逃げ出し、マークと友だちは寺の中に閉じ込められてしまうのです。
彼らを殺そうと、ナークの腕がするするっと伸びたとき・・・、
マークは自ら一歩進み出ました。そして、2歩3歩と・・・。
マークのほほに涙が伝います。自分は殺されてもいい。愛する妻に殺されるなら本望だ。そう覚悟を決めたかのようです。
ろくろ首のように伸びてきたナークの腕は、今まさにマークの首を絞めようとしています。
しかし、その手は思いとどまって、マークのほほを伝う涙を、そっと拭い取ったのです。
「どうして?あなたはお化けが死ぬほど恐いと言っていたじゃないの。私が怖くないの?」
そう問うナークに、マークが答えました。
「お化けは死ぬほど恐いよ。それは変わらない。でも、ぼくはナークのことが大好きなんだ。ナークを愛する気持ちの方が、お化けが恐い気持ちより勝っているんだよ。」
そしてマークは、ずっと前からナークがお化けであると気づいていたことを話します。
そして、それを知った時の思いを、こう語るのです。
「ぼくは、愛するナークを1人残して戦争へ行った。何度も死にかけたけど、そのたびにナークの写真を見て、村に戻ることだけを生きがいに、気力を振り絞ってきたんだ。」
「ぼくにとっては、国を愛するよりも、村を愛するよりも、ナークを愛することが一番重要なんだ。」
「でもナークは1人で、ぼくのことを思いながら死んでしまった。だからお化けになっても、ぼくを待っていたんだよね。」
「そんなナークを、ぼくには捨てることなんてできない。ナークのことが大好きだから。」
「お化けのままのナークでいい。そのままでいいから、一生愛して、暮らしていこうと思ったんだよ。ナーク!あなたのことが大好きなんだ。」
かなり思い込みで書いていますが、もう、このあたりで涙ボロボロです。
相手がどんな姿でもかまわない。ただ存在してくれさえすればそれでいい。
その愛の心に触れた時、感動の波が襲ってきたのです。
その後は、住民たちのお化け排斥運動にも負けず、マークとお化けのナークは、幸せに過ごしましたとさ。
というめでたしめでたし(?)の結末です。
笑いあり、涙ありの物語は、さすがタイの映画だと思いましたよ。
日本では上映されないのでしょうね。
もし、DVDが売り出されることがあったら、ぜひご覧になってみてください。
「スター・トレック」も、キャプテンが命を懸けて船員を守ろうとする感動的なものでしたが、私にとっては、「ピー・マーク・プラカノン」の方が感動しました。
いやー映画って、本当に本当にいいもんですね。(水野晴郎ふうに)
2013年05月13日
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