この著者のことは、宮崎中央新聞の紙面で知りました。
親子3人が年収300万円くらいで豊かな生活ができ、なおかつ貯金もできるというのです。
私も、経済は拡大するのが良いという考えに、少し疑問を持っていました。
拡大し続けなければ幸せでいられないという価値観が、今の日本の閉塞感を生み出していると思うからです。
実際、タイの経済規模は、日本と比べるとはるかに低いです。
それにも関わらず、タイの経済は好調で、人々は元気です。活き活きとしています。
もしそれが、経済が拡大することが条件だとすると、永遠に拡大し続けなければならないことになります。
100を10%拡大するには10増やすだけで良いのですが、10000を10%拡大するには、1000増やさないといけません。
つまり、拡大すればするほど、拡大する量が増えるため、それは困難になるのです。
それが本当に、私たちが目指すべき未来なのか?
その疑問に対する答を得たくて、この本を読んでみました。
著者の高坂勝氏は、池袋で「たまにはTSUKIでも眺めましょ」という居酒屋を営んでいます。
1日に5人の客がくれば良いからと、週休2日で営業していましたが、儲けすぎているために休みをさらに増やして、週休3日にするのだとか。
米と大豆を自給し、半農半Xを実現しています。
このXには、「居酒屋のおやじ」でもいいし、「書道家」でも「陶芸家」でも何でも良いのだそうです。
つまり、半農で自給の基盤を築くことで、残りの半Xでは好きなことをやることができ、そこでは人間性を失うほどの所得を求める必要性がなくなるというわけです。
「足るを知る」という言葉がありますが、これだけあれば十分という出口を決めることで、入り口の所得をいくらにするかを考えるという発想は、「お金持ちの「投資家脳」、貧乏人の「労働脳」」にあった世野(せや)いっせい氏の考え方と似ています。
スモール化することで環境にやさしい生活が可能になる。
お金をかけずに時間をかけることで生活が豊かになる。
もっともっとという考えを捨て、ダウンシフトする生き方を選択する人をダウンシフターズと呼ぶのだとか。
生き方の新たなモデルとして、とても参考になりました。
