タイに10年も暮らしていると、知人やその家族の死に遭遇することもあります。
そのときは、日本と同様に葬式が行われます。
昨日、会社のスタッフのお父さんが亡くなられたため、葬式に参列してきました。
58歳という若さで、ガンで亡くなられたのだそうです。
タイと日本では葬式の風習に違いがあるので、今日はそのことを書いてみます。
まず、タイの葬式は1日ではありません。長ければ1週間にわたって行われます。
だいたい夕方6時か7時など暗くなってから行われます。
数日間ある場合、日ごとに主催者が違います。
だいたいは故人が所属するグループが主催するようで、会社、趣味の会、家族などのグループで主催します。
参列する場合、まず服装ですが、基本的には黒っぽい服装になります。
シャツは華美でなければ白でもかまいませんし、完全な黒ではない服で来る人もいます。まあ、この辺の感覚は、日本と同じでしょうか。
タイの仏教では数珠(じゅず)は使いません。なので、数珠を持っていく必要はありません。
香典は、白い封筒に入れて封をし、表に自分の名前を書きます。
入れる金額は、立場などによって変わりますが、日本人のマネージャークラス以上なら1000バーツくらい入れるものだそうです。
タイ人のマネージャークラスだと500バーツくらい。
式場に到着してまず、故人の家族に挨拶をしますが、そのときに香典を手渡しします。
その後、お棺に入った故人に挨拶をするのですが、線香をいただいてお棺の前で手を合わせ、床に3回頭をつけるようにしてお参りします。
それから案内される椅子に座って、お坊さんの読経を聞きます。
読経は4回行われますが、途中に食事休憩があり、簡単な食事が振舞われます。
また、香典返しのようなお菓子なども配られます。
4回目の読経が終わったら、あとは三々五々退出して帰ることになります。
昨日は、葬式の最後の日で、火葬の儀が行われました。
火葬の場合は、始まりは4時くらいと早くなります。明るいうちに火葬するためのようです。
到着してからすることは、だいたい同じです。
ただ、4回の読経ではなく、物語のようなものをお坊さんが読み上げます。
それが終わると、みんなで棺桶を担いで、火葬場の周りを3回周り、火葬場の台の上にお棺を置きます。
それから火葬が始まる時間が来るまで、しばらく待ちます。
火葬の儀が始まると、お坊さんが故人についての話をします。
生前どんな人だったとか、家族にはどんな人がいるとか、どうして亡くなったなど。
その後、呼ばれた代表者が、黄色い布を束ねたものを、火葬場の上でお坊さんに渡す儀式が行われます。
私もこれをやりましたが、正面から火葬場の上に登り、黄色い布をそこで受け取ってお棺の前の台に乗せ、少し下がって合掌します。
その間にお坊さんが読経し、置かれた布を持って行きますので、そうしたら横の階段から降ります。
その後、参列者全員が順に火葬場に登って、故人と最後の別れをします。
そのときは、さきほど降りた方の階段から登り、正面の階段から降ります。
登る前に造花を受け取り、お棺の前にある入れ物に造花を入れ、手を合わせたり、お棺に触ったりしてお別れします。
階段を降りたところで、香典返しのような物(お守り、薬、お菓子など)を受け取り、そのまま帰ります。
おそらく親族は、その後も残って火葬を見守るのでしょうね。
私は一応会社の役員なので、黒っぽい上着も着てネクタイも締めましたが、タイ人の多くは、黒っぽいシャツという軽装でした。
多くのお寺はオープンエアですから、扇風機はあっても、エアコンがあるところはあまりありません。
そのため、上着を着ての参列は、けっこう辛いものがあります。
それでも、参列された親族の方々から、うちの会社に子どもが入ったからお父さんの葬式が立派になったと思ってもらえたら、これくらいのことはどうってことないと思うのです。
因みに、火葬にした後ですが、お骨を骨壷に入れて、お寺の保管場所に納骨することができます。
コインロッカーのような納骨場所があって、そこに収めます。
またタイでは、散骨することも認められています。
散骨できる場所は決まっていると思いますが、海か山でしょうね。
日本のようなお墓というのは見たことがありませんが、華僑の人たちは、どこか墓地があると聞いたことがあります。
こうやって誰かの死に遭遇すると、自分の死についても考えます。
私は、「後は野となれ山となれ」という考えです。
どう弔ってくれてもいいし、あるいは弔ってくれなくてもいい。
ただ希望を言うなら、後腐れのないよう、散骨してくれるのが良いと思っています。
今さら、日本にある赤木家の墓に入れてもらおうとは思いません。
私の身体は私ではないので、それにとらわれてほしくないのです。
※参考「イサン地方の葬式に参列しました」
2012年12月04日
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