毎日のように新聞を読んでいます。
社説も、その新聞の顔でもあるので、よく読みます。
読売、朝日、毎日、日経、産経などの全国紙は、それぞれ日本のオピニオンリーダーとしての役割を果たそうと、「かくあるべし」的な主張をしています。
それはそれで面白いのですが、読んで感動することは少ないです。ましてや、読んで涙を流すなどということは皆無です。
しかし、読んだ多くの人が感動し、時に涙を流すという社説が載る新聞があると言います。
それが、みやざき中央新聞です。
日刊ではなく、週刊です。
事件や事故などのニュースを伝えるのではなく、講演会などを取材して、面白かった、感動した、心温まった、ためになったというような話題を伝える新聞です。
普通の新聞ではありませんが、読むと心が豊かになります。
そんな新聞の社説を集めたのが、この本なのです。
私も読んで、感動しました。
すでに2冊目も出版されているようです。
今回、改めて紹介しようと思ったのは、みやざき中央新聞のサイトで最近の社説を読んだからです。
それは「大好きだよって言ってますか」というタイトルで、11月5日に発行されたものでした。
作家の落合恵子さんに届いた手紙の内容についてです。
いじめを受けた孫に、祖母がどのように接したかというもの。
これを読んで、不覚にもまた泣いてしまいました。
その内容を以下に書きます。
顔にアザがある孫(仮に大輔)は、幼い頃に友だちからいじめられました。
そんなとき祖母は、泣いて帰ってきた孫を膝の上に乗せ、こう言うのです。
「ばあちゃんはな、大輔が大、大、大、だーい好きだよ。大輔の鼻も耳も目も頭も赤いアザもみんな大、大、大、だーい好きだよ」
中学2年になった年の正月、祖母のところへ来た大輔は、冬休みが終わっても帰ろうとしません。
母親は心配して、「何やっているんだ?」と電話をしてきますが、祖母は「長い人生、少しぐらい回り道したっていいのよ」と軽くかわします。
いじめられているのでは?祖母の予感が当たっていました。
大輔は最初、笑いながらいじめのことを話します。しかし、それを聞いていた祖母が泣いているのがわかると、大輔も声を上げて泣きました。
祖母は、どう声をかけてやっていいかわからなかったのですが、昔のことを思い出し、そのときの言葉を口にしたのです。
「ばあちゃんはな、大輔が大、大、大、だーい好きだよ。大輔の鼻も耳も目も頭も赤いアザもみんな大、大、大、だーい好きだ。ばあちゃんはいつだってここにいる。つらかったらいつでもここに逃げといで。ここはお前の心の居場所だ。だからたった一つしかないものを無駄にするなよ」
大輔は大人になって、小学校の先生になったそうです。
「僕のように心に傷を負った人間が学校に必要だと思う」と言って。
最後に、社説はこう結びます。
「いじめを苦にして自殺するんじゃないんだ。分かってくれる人が誰もいないことが苦しくて自殺するんじゃないか。」
「子どもの心に寄り添える大人にならなくては・・・。できることは、ある。」
野口嘉則さんの「僕を支えた母の言葉」にもありましたが、愛するというのは、こういうことなのだと思いました。
だから感動して、泣けてきたのです。
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