2012年11月14日
貧困のない世界を創る
これは社会投資家の竹井佑介さんが勧めていた本で、2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が書いたものです。
すでにご存知と思いますが、ユヌス氏はバングラディッシュの貧困撲滅運動に取り組み、グラミン銀行というマイクロクレジットを扱う銀行を創設し、その総裁として活動されています。
マイクロクレジットと言うのは、少額融資のことですが、担保を持たない貧困層に対する信用貸付のことを指します。
「貧困層にお金を貸しても、浪費するだけで返ってこないよ。」
そう思いますか?
ユヌス氏も最初、そういう銀行の壁にぶち当たったそうです。
それで自らグラミン銀行を創り、マイクロクレジットに本格的に取り組むことにしたのだそうです。
貧困層の救済と言えば、寄付による物資の援助と考えがちですよね。
それも悪いことではないのですが、それでは貧困はなくならないとユヌス氏は言います。与えられることに依存してしまうからだと。
私も、その考えには共感します。与える支援は、基本的に緊急時に最低限であるべきです。
ユヌス氏のマイクロクレジットが本物だと感じたのは、貧困層の人々を価値ある人たちとして扱っている点です。
その人たちの中には、貧困から脱出する能力があるし、その意志もあると認めているのです。
与えてもらえなければ生きていけないかわいそうな人ではなく、社会の歪の中で、貧困に甘んじている人々だということです。
だから無担保で融資し、ビジネスをさせて、しっかりと返済してもらう。
その中で、わずかでも資産を蓄え、貧困から脱出することができるという道筋を作ったのです。
現在、世界中にマイクロクレジットが広まっています。
日本でも、東南アジア向けにマイクロファイナンスを行う団体があります。
たとえばLIVING IN PEACEは、ミュージックセキュリティー社と提携することで、カンボジアやベトナムでのマイクロファイナンス事業を行なっています。
地球には溢れんばかりに物資があるのに、明日の生活にも事欠くたくさんの貧困層が存在するということは、恥ずかしいことだ。
私は、そういう価値観が広がればいいなと思います。
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