「平穏死」という奇妙な言葉なのに、なぜかまったく違和感を感じません。
「自然死」でも「安楽死」でもない「平穏死」。
かつてはそれが当たり前だった老衰による家庭での死が、今は難しいことになっています。
それをうすうすは感じていたのですが、この本を読んで、本当にこれは大変な状態だと思いました。
老人になって、痴呆の症状が出てくるようになると、食物の飲み込みが上手くできなくなります。
私はまだそんな年でもありませんが、ときどき飲みそこねて気管に入ってしまうことがあります。
きっとあと30年もしたら、食べるときも細心の注意を払う必要性が出てくるのでしょう。
そうして段々と食が細くなっていくとき、老人ホームなどでは元気を出させるためにと、無理に食べさせるということがあるそうです。
その延長が問題になっている胃ろうなのだと、この本を読んで思いました。
死は、悪いことでもないし、医療の敗北でもありません。
尊厳のある死を迎えたい。
そう思う人に、ぜひ読んでいただきたい本です。
以前に紹介した「大往生したけりゃ医療とかかわるな」と合わせて読んでいただくと、よりいっそう理解が進むと思います。
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