タイで暮らすようになって約11年になります。
その間、年に1〜2回ほど帰省しています。
妻を日本に連れて行ったのは、これで6回目。
せっかく連れて行くのだからと、帰省だけでなく、国内旅行を兼ねるようになりました。
※石見神楽の「鍾馗」(写真右)で使われる「鍾馗の輪」を縁起物としてもらいました。
でも、毎回のように思うのです。
「もう2度と旅行には行かない。」
妻のわがままな(と私が感じる)態度に業を煮やし、そのたびにそう決意するのです。
たとえば、こんなことがありました。
写真を撮ってくれと言うから撮ってあげると、すぐに文句を言います。
「あなたは撮り方が下手くそだ。」「顔が暗くなってるじゃないの。どうして撮る前にそう言わないの!?」
頼まれたから撮ってあげたのに、なんでちょっとしたことでいちいち文句を言うかなあ。気分が悪い!
また以前の旅行では、こんなこともありました。
レンタカーを借りて運転するのですが、カーナビに慣れていないせいもあり、道を間違えたり、ちょっと急ブレーキを踏んでしまうことがあるのです。
すると妻はこう言います。「あなたは運転が下手くそだ。」
さすがにそれを何度も言われると私もキレかけて、「だったら車に乗らなきゃいいじゃないか。」と言ってしまいました。
せっかくいろいろなところを見せてあげようと思って観光旅行を組んであげたのに、文句ばかり。
※日光で見つけたみごとに紅葉した楓。
しかしその後、妻が急に口を利かなくなりました。
それは岡山の後楽園へ行こうとした時だったのですが、雨が降っていたこともあって、駐車場に車を停めても妻は降りようとしません。
「行きたいなら1人で行きなさい。私は行かないから。」
妻に見せることが目的なのですから、それでは意味がありません。そのときは、後楽園を見ずに出発しました。
しばらくして妻が言いました。
「外国で車を降ろされて1人にされたら、私はどうしたらいいの?」
その場で降りろという意味で言ったのではないのですが、妻なりに不安になったようです。
それから後、妻がよくこう言うようになりました。
「あなたは車の運転が上手いね。」
私は、とても複雑な気持ちになりました。
私が不覚にも妻を脅したために、妻は本来の自分ではない姿を私に見せるようになったのです。
そういった出来事を通じて、私は多くのことに気づかせられるのです。
妻が私の思い通りにならないからこそ、私にとってはありがたい存在だと思います。
もし私の思い通りに考えて行動する人だったら、私は何も気づかず、何も考えなかったでしょう。
時にはぶつかり、不愉快な思いをしながらも、私に気づきを与えてくれる。
だから私は、妻を貴重な存在だと思うのです。
そうは言いつつも、その場ではいろいろと反発する気持ちも起こります。
文句を言われて不愉快そうな顔をすると、それに追い打ちをかけるように妻が言います。
「なんだその顔は。何か文句でもあるの!?あるなら言いなさいよ。」
そこで正直に思いをぶつければ、角が立つだけです。
しぶしぶ怒りを収め、私はなるべく冷静になるようにします。
そして、この出来事の意味を考えてみるのです。
すべての出来事が必然で無駄がないとしたら、この出来事は私に何を与えてくれるのだろうか?
今回の旅行でも、少なくとも3回は頭に来てキレかけました。
でも、そのときは気づかなかったけど、妻は妻なりに私に尽くしてくれたのです。
田舎では料理を作り、後片付けをしてくれました。それによって、私の両親がどれだけ喜んでくれたことか。
母が布団にシーツを掛けるのを、妻は率先して手伝ってくれたようです。
そのとき「お母さん」と日本語で言ってくれたと、母が何度も嬉しそうに話していました。
そういうことをするのも、妻の一面なのです。
頭にきたときは、その出来事のことしか考えていません。
けれども、その人(妻)はそれだけの人ではないのです。
広い視野を持つこと。長い目を持つこと。全体を俯瞰(ふかん)すること。
見方を変えることで、出来事には様々な意味を与えることができません。
その実践を次々とさせてくれる妻に、私は心からありがたいと思っているのです。
※浅草観光で乗せてもらった人力車。
最後に宣伝です。
浅草を観光した時、「時代屋」さんの人力車に乗せていただきました。
10分のお試しコースからありますが、私がチョイスしたのは30分のコース。2人で8千円でした。
東京で暮らしている人でも知らないようなちょっとした名所を案内してくれて、スカイツリーの撮影ポイントも紹介してくださいました。
笑顔のお兄さんが素敵だったので、宣伝するからと言って写真を撮らせていただきました。
みなさんも、浅草を観光されるときはお試しください。損はないと思いますよ。
2012年10月22日
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