元中日ドラゴンズ監督、落合博満さんの本を読みました。
監督としてどう采配を振るったのか。常勝チームを作った「オレ流」の内幕がわかると期待して読みました。
読み始めてすぐ、私はこの本に惹き込まれてしまいました。
得体のしれない上辺だけのようにも見えた落合氏が、実はものすごく深く考え、人生に対して真摯に立ち向かっている人だとわかったからです。
この本のテーマとしては、私は2つのことが心に残りました。
1つは、決断の結果を気にするよりも、その時点での最善をつくすことだ、ということです。
評論家などは、あとから「こうすれば上手く行ったのに」などと言うけれど、本当にそうなったかどうかは誰にもわからないのです。
比較できないものを比較して、終わったことを悔やんでも意味がありません。
決断した結果は事実として現れますが、それを元にしっかりと反省し、次の決断につなげるだけなのです。
2007年の日本シリーズ第5戦、8回まで完全試合を続けていた山井投手に代え、9回に岩瀬投手を送った采配について書かれています。
多くの人が、非情だと批判した決断でした。
なぜそういう決断に至ったのか。そのことも詳しく書かれていました。
もう1つは、部下の育成については自主性を重んじるということです。
何とかしてあげたいとは思っても、自主的に成長しようとする人でなければ、どうにもなりません。
残念だけれども助けられないということはあるのです。
監督就任の年、誰もクビにしないで優勝すると宣言したことが話題となり、人情的な監督だと持ち上げられたことがありました。
しかし、それは違うと落合氏は言います。
ただ単に、現在のメンバーの状況がわからなかったから、自分の目で確かめるために1年間の猶予を与えただけなのだと。
その証拠に、優勝したあと、18人の選手を自由契約(解雇)にしたとのことです。
あと、p250に極論から物事の本質を見直すということが書かれています。
今の規則だと、日本シリーズは最大14試合をしなければならなくなるのだそうです。
「そんなの、ほとんどあり得ない確率だよ。」
そういう人が大半なのでしょうけど、それは物事の本質を見ていないのです。
私も極論は好きです。なぜなら、本質が際立つから。
ものごとを突き詰めて考えるには、極論を持ち出すのがわかりやすい。
なんとなく、落合氏に親近感を覚えました。

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