今の部屋に引っ越してきた時、寝室側のベランダがハトのフンだらけでした。
妻が一所懸命にきれいにしたのですが、そのときこう言われました。
「鳩の巣があるよ。」
驚いて行ってみると、ベランダに置かれたエアコン室外機と壁とのすき間に、鳩の巣がありました。
小枝などを集めてきて、敷き詰めてあったのです。
親鳩が1羽いて、卵らしきものも見えました。
それから4週間ほど過ぎた今日、覗いてみるとヒナの姿がありました。
手のひらに乗るくらいのかわいいヒナが2羽いました。
親鳥も1羽一緒にいて、ヒナを守っているのでしょうね。
「あまり覗いちゃダメだよ。親鳥が不安になって、ヒナを捨てて逃げちゃうかもしれないから。」
そう言うと、妻が言いました。
「でも鳩の方が私たちより先にここに住んでいたんだよね。出て行かなくていいのに。」
私は思わず笑っちゃいました。
「じゃあ鳩さんに言っておいてね。もしじゃまだったら、私たちが出ていくからって。」
鳩は別に、子育てを私たちに見せようとしたわけじゃありません。
たまたま居心地が良さそうな場所があったから、自分が子孫を残したいと思って子育てをしているだけです。
けれど、こうやって私の人生との接点が生まれました。
私はそのことによって、また多くのことを考えさせられるのです。
この日、タイのテレビで田舎の少女のことを取り上げていました。
かしこそうな顔をした、10歳くらいの少女です。
学校に通っていたときは、クラスで1番の秀才だったそうですが、家庭の事情で学校に通えず、家事をして親を助けているそうです。
また、こんなニュースもありました。
パプアニューギニアの原住民が、人肉を食べていたというものです。
どういう経緯だか聞き取れませんでしたが、それだけ妻に聞いてわかりました。
私がまったく関与しない世界が、この世には無数にあります。
そこには様々な人が生きていて、生活をしています。
生きることに精一杯な人、誰かを死ぬほど憎んでいる人、不安の中で怯えている人など、いろいろな人がいます。
そういうことを考えると、私は私であって良かったなと思うのです。
たしかに、楽なことばかりではありませんでした。
辛いことも経験しています。
でも、それをひっくるめて、すべてを愛しく感じるのです。
鳩には、また鳩の人生(鳥生?)があるでしょう。
誰がどう考えているかなど関係なく、自分の生き方を全うするだけです。
私もまた、他の誰がどうかなど関係なく、私としての生を全うするだけだなと思うのです。
2012年07月14日
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