これを書いたのが医者だというから、なおさら驚きます。
「医者が医療を否定して、どうするのか!?」
そう驚きながら怒る人もいるかもしれません。
しかし、これは本当に目からうろこの考え方でした。
「死ぬのは「がん」に限る。ただし、治療はせずに。」
そうサブタイトルにあったのですが、私はそれに興味を持ちました。
私は、死ぬことそのものは怖れていませんでした。
人はどうせ、いつかは死ぬのですから。
ただ、その死に方が問題です。後腐れなく、かつ楽に死にたいと思ったのです。
そうすると脳卒中のようにぽっくり行くのがいいのかなあと。
ガンは、苦しむから嫌だと思ってました。末期はモルヒネが効かなくなるほど痛がると聞いていましたので。
ところが著者は、それは抗がん治療をするからだと言うのです。治療をしない老人だと、たまらないほど痛みを感じる人はまずいないと。
そういう考え方があったのかと思いましたね。
癌になったのは、あの世からお迎えが来たと考えることだとも言います。
たしかに、年を取れば取るほど、癌になる確率は上昇します。ということは、老化とガンは切っても切れない関係だということ。
しかも、余命までだいたいわかるのですから、死ぬための準備だってできます。
そう見方を変えてみれば、これほど死ぬのに適した病気はないと思えてきました。
それまで悪魔のように思えたガンが、むしろ天使のように思えたのです。
本の中では、胃ろうなどの医療行為についても言及しています。
私のおじも、認知症を発症した挙句、最後は医療機関に入院し、胃ろうで生かされている状態を経てなくなりました。
もう意識もないような感じなのに、ただ胃に栄養を流し込まれて生かされる。はっきり言って、無残だなと思いました。
私は家族に、もし自分が意識がなくなったら胃ろうなど延命行為はしないでくれと言いましたよ。
最近になってやっと、延命だけの治療行為に疑問が呈されるようになりました。
でも医師も、患者から訴えられたりする可能性もあるし、使命感もあるので、そう簡単に意識を変えることは難しいのでしょうね。
死ぬということについて、深く考えさせてくれる良書だと思います。
そして良く死ぬということは、良く生きることにつながると、改めて教えてくれた本です。
【本の紹介の最新記事】