2012年06月19日

お泊りドライブに行こうと誘われました

小学校の4〜5年生くらいではなかったかと思います。

もうすでに、父親のことを怖いと感じていた頃です。


ある日、表でひとりで遊んでいた私に、父が声を掛けました。

「あつし、一緒にドライブに行くか?」

私は躊躇しました。

「なぜ?ぼくだけ?どこへ行くの?」


当時の状況を、正確には覚えていません。

うちは、祖父母、両親、姉、妹の7人家族です。

少なくとも母と姉妹を置いて、どこかへ行くのは考えられません。

ひょっとしたらその3人は、どこかへ出かけていたのかもしれません。


迷いましたが、好奇心には勝てませんでした。私は「行く」と答えたのです。

ひょっとしたら、父親の誘いを断るのは父親に対して悪いからと、子供ながらに気遣ったのかも。

私は、そういう性格だったのです。

当時はまだマイカーが珍しかった時代です。


ダイハツのフェローだったか、トヨタのパブリカだったと思います。

父は、車を運転するのが好きでした。



最初はドライブと言われてはしゃいでいましたが、父はどこまでも運転していきます。

出雲を過ぎ、松江を過ぎました。いったいどこまで行くのか、父は何も言いません。もともと寡黙な人ですから。

私は少し不安になりましたが、ボーっと外の景色を見ていました。私も寡黙ですから。


やっと到着したのは、鳥取砂丘でした。

初めてみる砂丘にびっくりはしましたが、それほど感激もしませんでした。

ラクダがいて、それには驚きました。写真などでは見たことがありますが、そんなに間近で見たことがなかったからです。

「あつし、乗るか?」

父はそう言いましたが、私は遠慮しました。

怖かったのかもしれないし、お金を使わせるのが申し訳なく感じたからかもしれません。

兄弟姉妹はいつも平等でなければならない。そう教育されてきたし、私もそう思ってましたから。

自分だけが良い思いをすることに抵抗があったのです。



鳥取砂丘を見た後、すぐに帰るのかと思ったら、父は途中でどこかの温泉旅館に入りました。

そこに泊まるというのです。

お泊りの用意など、何もしてきていません。

でも、自分だけ帰るわけにもいかないので、父に従いました。


温泉にも入ったと思いますが、記憶にありません。

夕食に、宍道湖の七珍が出されたような気もしますが、これもはっきりしません。

覚えているのは、布団に入って見たテレビです。

歌番組で森山加代子さんが、当時ヒットしていた「白い蝶のサンバ」を歌っていました。



父から唐突に誘われて行ったお泊りドライブは、嬉しい出来事というより、なんとなく居心地の悪い体験でした。

今思えば、父は私を可愛がりたかったのかもしれません。

少し父に怯えるようになっていた私を、なつかせたかったのだろうと思います。

その試みは上手く行かなかったかもしれませんが、私の記憶に残る思い出となりました。
 

posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 20:47 | Comment(0) | └ 家族のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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