多感だった小学校高学年ころ、とても印象に残っているTVアニメがありました。
「海のトリトン」というアニメです。
ご存知でしょうか?
他の多くのアニメが再放送されるのに、なぜか海のトリトンはされません。
私の記憶が正しければ、地上放送での再放送は1度もないはず。
そればかりか、カラオケにも入っていないことが多いです。
仮に入っていても、映像がそのTVアニメのものではなかったりします。
どうしてなのでしょうね?
それはさておき、この主題歌はご存知でしょう。
高校野球の応援曲としても、さかんに演奏されましたから。
タイトルは「GOGOトリトン」と呼ばれますが、本当は「海のトリトン」です。
実はもうひとつ「海のトリトン」という歌もあって、こちらはエンディングの歌。
作詞が伊勢正三さんだったのですね。作曲は南こうせつさん。歌は須藤リカさん&南こうせつとかぐや姫のみなさんです。
映像が間に合わなかったか何かで、6話くらいまで須藤リカさんが歌う「海のトリトン」がオープニングに使われていたのだとか。
いろいろあったのですね。まったく覚えていませんけど。
元々は産経新聞に連載された手塚治虫さんの「青いトリトン」だったのだそうです。
それがアニメ化され、ついで単行本化される時、「海のトリトン」になったのだとか。
前置きが長くなりましたが、本題に入りましょう。
ストーリーは、トリトン族の生き残りのトリトンが、同じく生き残りのピピと一緒に、3匹のイルカ、イル、カル、フィンに助けられ、ポセイドン族を倒すというもの。
なぜかポセイドン族はトリトンをつけ狙い、殺そうとするので、ポセイドンの本拠地に乗り込んで決戦を挑むことになります。
ポセイドンの本拠地を目指す途中も、たくさんの刺客が向かってきます。
それをトリトンはオリハルコンの短剣を使って、次々と打ち破っていくのです。
TVアニメの最終回は、ポセイドンの本拠地での巨大ポセイドン像との決戦です。
最後のボスキャラですから、トリトンも苦戦を強いられます。
しかし、最終的には何とか勝利することができました。
これでめでたしめでたしだったら、普通のアニメだったでしょう。
ここから、意表をつくドラマが展開します。
最終決戦で勝利したトリトンが見たのは、死に絶えたポセイドン族の人々の姿でした。
トリトンは知らされます。
ポセイドン族は、単に太陽の下で平和に暮らしたかったのだと。
それをトリトン族が阻もうとしたため、仕方なく戦ったのだと言うことを。
トリトンを生かしておけば、またいつ自分たちの平和が脅かされるかもしれない。
その恐怖から、トリトンを殺そうとしたのだと言うのです。
トリトンは戸惑います。
自分はいったい何のために戦ってきたのか。
悪いのはポセイドン族で、正義はトリトン族にあったのではないのか!?
そう天に向かって叫びますが、それに対する答は得られません。
こうしてトリトンは虚しく、ピピたちと一緒に新たな旅に出るのです。
いかがですか?これが子ども向けのアニメの内容ですよ。
水戸黄門のような勧善懲悪モノなら、どれほどスッキリしたでしょう。
毎回、正義側の一部が犠牲になるキーハンターでも、常に正義が勝つのです。
それなのに海のトリトンは、どっちが正義だかわからなくしてしまいました。
今にして思えば、世界平和を願う手塚治虫さんらしい作品ではないかと思いますね。
私は、海のトリトンのシングルレコードを買いました。
関係ありませんが、B面は「ピピの歌」です。
アニメの放送が終わった後も、何度も「海のトリトン」を聞きましたよ。
でも、サビの「ゴーゴー、トリトーン、ゴーゴー、トリトーン、ゴーゴーゴーゴーゴー、トリートーン」というフレーズを聞いていると、なぜだかしんみりしてくるのです。
勇壮な曲なのに、短調なんですよね。
人生について深く考えさせてくれた、心に残るTVアニメ。それが「海のトリトン」だったのです。
2012年06月19日
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