どちらも地方公務員ですが、父は役場の職員で、母は保育園の保母さんでした。
私がおそらく小学校の3年生くらいだったある日のことです。
その日は、父親がわりと早い時間に帰宅しました。そしてすぐにビールを飲み始めたのです。
しばらくして母親から電話があり、遅くなるから車で迎えに来てくれと父親にお願いしました。
しかし父親は、もうビールを飲んだからダメだと、けんもほろろの対応です。
その時、私は思いました。
「お母ちゃんが遅くなるのはわかっていたのに、どうしてビールを飲むんだ!?」
父のことを優しくないと思ったのです。
私は、姉と妹と一緒に、母を迎えに行きました。
保育園までは2kmくらいあったでしょうけど、帰途についた母親と、どこかで出会うと思ったのです。
実際、約500mほども歩いたところで、母と出会いました。
母親も、そのことがとても嬉しかったのだと思います。
私が大人になってからも、何度も何度もその話をしましたから。
「童謡の七つの子を歌いながら帰ったねえ。かーらーすー、なぜなくのー、からすはやーまーにー・・・。みんなで手をつないで、横に並んで帰ったよねえ。」
私は、その童謡を歌ったかどうかの記憶はありません。
ただ、その話を聞くたびに、母を迎えに行こうともせず、テレビを見ながらビールを飲んでいた父の姿を思い出したのです。
「もっと優しくしてあげればいいのに。お父ちゃんは、お母ちゃんのことが好きじゃないのかなあ?ぼくは大好きなのに。」
優しかった母親と、厳しかった父親を象徴する出来事として、ずっと記憶に残っています。
ただ、今になって思えば、父にもいろいろ事情があったのかもしれないなと思います。
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