下宿に大学の先輩だと言って、訪ねてきた人がいました。
女性2人で、「神様について興味がありますか?」と言うのです。
別に神様に興味があったわけではありませんが、彼女たちの団体に興味がありました。
悪名高い原理研究会。統一教会(世界基督教統一神霊協会)の学生組織の名前です。
大学では、さかんにビラが配られていました。そこには原理研究会が、どれほどひどい団体かということが書かれていたのです。
「そんなひどい団体が、どうして存在できるの?」
私は、逆に不思議に感じたのです。
そこに入った学生たちは、洗脳されて統一教会の思い通りに動かされる。
集団生活をしていて、乱交パーティーみたいなことをやっている。
正直に言うと、乱交パーティーには、少し心を動かされました。(笑)
前にも書きましたが私は、性欲は人一倍 でしたから。
そして彼らは、勧誘のために新入生のアパートに訪ねてくると言うのです。
男性のところへは女性が、女性のところへは男性が。そうやって色仕掛けで誘うのだとか。
ある意味で私は、ワクワクしながら勧誘を待っていました。その噂が本当なのか、確かめたかったのです。
そしてやっと、その日が来たのでした。「待ちかねたぞ!」くらいの気持ちです。
先輩だという女性は、かなり年上でした。もう何回も留年して、大学に居座っている主のような感じ。
もう1人の女性は可愛らしい感じで、同級生でした。
どうやって色仕掛けをしてくるのか、内心、とても楽しみでした。
彼女たちは、いろいろな話をしました。そして最後に、今度、自分の下宿に遊びに来いと言うのです。
「いよいよそこで、色仕掛けか?」そう思いながら、私は了承したのです。私は本当にスケベな人間です。
友達にそのことを話すと、本気で心配して止めてくれました。でも私は、知りたいという欲求に勝てなかったのです。
数日後に彼女の下宿へ行くと、いたって清楚な感じでした。
イエス・キリストの絵とか、花の写真などが飾ってありました。そうそう、そういうカードには、いろいろな言葉が書かれていましたね。
そこでも普通におしゃべりをし、お菓子を食べただけでした。そして最後に、1Dayワークショップというのがあるので、それに出ないかと誘われました。
そのとき私は、すでに彼女たちに対して警戒する気持ちはなかったと思います。
ただ、団体に対する警戒心は、まだ持っていました。
また数日後、その1Dayワークショップに行きました。場所は市内の、彼らの集会所のような一軒家でした。
そこで食事を挟んで1日、講義を聞き続けたのです。
「1日中、一方的に講義を聞かされ、頭がボーっとなって抵抗できなくなり、洗脳されていく。」
そういうことがチラシには書いてありましたが、まったくのデタラメでした。
講義の内容は理論的で、とても理解しやすかったです。
質問することもできましたし、同じことを繰り返して洗脳するというような行為もありませんでした。
チラシの内容が嘘だとわかると、ちょっとがっかりしました。色仕掛けもなかったからです。(笑)
逆に、なぜそんなにデタラメを言ってまで批判されるのかということに、強い関心を覚えました。
次は、3Day'sワークショップがあるというので、私はそれに申し込んだのです。
このようにして、私は原理研究会に入ることにしました。
洗脳されたわけではなく、自分の意志で決めたのです。
入会を決めた理由は、「ここには何かある」と感じたからです。私が知るべき真理があると。
1つは、神がこの世を作った理由を、「喜ぶため」と説明していたことに、とても新鮮な印象を受けたからです。
「そうか、そういう考え方があったのか。」
私は驚きました。今まで、そんな説明は誰からも聞いたことがなかったのです。
2つ目は、「愛の減少感」という言葉です。この前書いたカイン・コンプレックス のことを、彼らはこう説明してくれました。
本当は愛が減ったわけではない。減ったように感じただけなのだ。
カインは神の愛が減ったと感じて、神を信じることができなかった。だから失敗したのだと。
愛されることを求める気持ちが強かった私は、その説明に驚いたのです。
「そうか、私が妹を嫌ったのは、それが原因だったのか!」
しかし、彼らの言うことのすべてを納得したわけではありません。ただ、彼らが人間的に良い人たちだという感じは持ちました。
「実際に活動してみないと、本当には理解できないんだよ。」
そう言われて、半信半疑ながら入会することにしたのです。
その後、7Day'sワークショップに参加し、多くのことを学びました。
3日間の断食、4日間の断食、そして7日間の断食なども経験しました。
集団生活をすることが原則なので、私も彼らの集会所のような家で一緒に暮らすようになりました。
下宿は引き払おうとしたのですが、親が反対しました。下宿代は出すから残しておけと。
両親には、最初の頃から事細かに説明していました。でも私から話を聞いた後、世間で批判されている団体だと知り、大いに心配したようです。
だから入会して集団生活をすることには反対されたのですが、私が従わなかったのです。
私は最初、説明すれば親はわかってくれると信じていました。楽観していたのです。
私の親ですから、他の世間の人たちのような、週刊誌に騙されるようなバカじゃないと。
しかし、どれだけ説明しても、両親は私の言うことを信じてはくれませんでした。
「いつかは分かってくれる時が来る。そう信じて、今は進むしかない。」
私は、そう考えたのです。
<続く> → 「新興宗教にハマりました2」
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