2012年05月25日

彼女を泣かせました

私は昨年(2011年)、4年付き合った彼女と結婚しました。

付き合って3年で婚約し、それから約1年後に彼女の実家で結婚式を挙げました。


そんな彼女と付き合っていた時、私は何度か彼女を泣かせたことがあります。

その中で、私の記憶に一番残っているエピソードを書きます。


その日は、彼女の誕生日でした。

仕事が終わってから、小洒落たタイ料理のレストランへ行きました。

特に予約したわけではなく、単に私の住むコンドミニアム(日本で言うマンション)に近かったから行ったのです。


そこで彼女は何品か注文しましたが、味が気に入らないのか、あまり食べません。

スプーンでいじるだけです。まるで子どものよう。

自分が食べるからと言って注文したのにそれを食べない。

しかも退屈なのか、テーブルの下で足を伸ばし、向かいに座っている私の足を、自分の足の指でつまんだりして遊びます。

「はしたないなあ。そんなことするなよ。」

そうたしなめたいところですが、「はしたない」というタイ語がわかりません。

私は彼女にかまわず、出された料理を食べることにしました。


「食べないの?」と尋ねても、「食べない」と答えるだけの彼女。

私も少し腹が立ってきました。

「自分で注文しておいて、ふざけるなよ!」

そう言いたかったけれど、それはグッと飲み込んで黙って料理を食べました。

彼女にも、私の不機嫌な様子が伝わったのでしょう。

「私のこと、嫌いなの?」と聞いてきます。

「そんなことないよ。」と答えたものの、「好きだよ」とは言えませんでした。「そんなことを今、質問するなよ。」と言いたい気分です。


食事が終わり、精算をして店を出ると、彼女は私と微妙な距離を保ちます。

「ついて来ないなら、それでもいいか。」

そう思いながら、私は彼女の前を歩きました。

「怒りたいのはこっちの方だよ。」と、やるせない気分です。

それでも一応、彼女の動きを見守りながら、私の部屋へ行きました。


私がテレビをつけて見ていると、彼女は誰かに電話をかけ、ベランダの外へ出ました。

窓を締めて、誰かと話をしている様子です。

私はソファーに座ってテレビを見ていましたが、ふと気づくと、けっこうな時間が過ぎています。

「まだ電話をしているのかなあ。どうしたんだろう?」

そう思ってベランダの方へ近づくと、鳴き声が聞こえてきたのです。


私は慌てました。

窓を開けて、「どうしたの?」と尋ねても、彼女は座ったまま泣きじゃくっています。

私は、思いました。

「ああ、また泣かせてしまった。もっと優しくしてあげれば良かったのに。」


私は彼女の背後に腰を下ろし、後ろからそっと抱きつきました。

声を掛けたくても、なんと掛けて良いのかわかりません。

だから黙ったまま、ただ愛しく思いながら抱きついたのです。


しばらくすると彼女が、私にもたれかかってきました。

「許してもらえたのかも。」そんな気がしました。


それからしばらく、彼女は泣き続けました。

5分か10分くらいたって、やっと彼女が落ち着いてきたころ、私は彼女に言いました。

「ごめんね。今日はあなたの誕生日だったのに。」

彼女はまた、声を上げて泣き始めました。



彼女と私とで、価値観が違っているのは明らかです。

私は人前で、はしたないことをするのは嫌いです。

でも彼女は、そんなことをあまり気にしません。

私は、注文した料理を残すのも嫌いです。

でも彼女は平気です。食事代は私が払うというのに、まったく気にしていません。


そんな彼女を、私は愛そうと思いました。

私と価値観が違うから、違いすぎているからこそ、ありがたい。

お陰で私は、自分とは違う考えをする人がいることを実感できるし、それを受け入れることができるから。



そんな彼女と、付き合い始めて丸5年が過ぎました。

もうすぐ彼女の誕生日。結婚してから、最初の誕生日です。

今度は泣かせないようにしないとね。そう思っています。

posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 11:44 | Comment(0) | └ 家族のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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