2023年02月03日
マンガでわかる 拘縮を予防・改善する介護技術
老人介護の仕事をしていて、拘縮という現実に向き合う日々です。そんな中で、拘縮に関するオンライン講座があると知りました。
残念ながら日程の関係もあって受けられなかったのですが、講師のお名前で検索したら、何冊か本があったので、まずはとっつきやすいこのマンガの本を買うことにしました。
著者は田中義行(たなか・よしゆき)さん。理学療法士(PT)として活躍しておられる方のようです。
拘縮の利用者様に対して、どのようにケアしたらいいのか。たしかにわからないことが多いです。
なので、私のための備忘録として、この記事をまとめておこうと思います。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「介護の世界では、「その人らしい生活を実現する」「幸せと感じてもらえるように支援する」などという言葉がその目標としてよく聞かれます。
確かにそれは大切ですが、私はその前に、高齢化によって身体の機能が低下しても、何らかの身体の障害を有してしまっても、「生活を継続できること」が大切だと考えています。」(p.@)
「つまり「生活支援」とは「その人の生活が継続できるようにすること」です。その土台があってこそ、その人らしさや幸せが深めていけるのです。
私が「拘縮の予防・改善」をテーマに本書を書いたのは、まさにこの「生活支援」の根本にある「生活の継続」を実現する技術を提供したいと考えたからです。」(p.@)
冒頭で田中さんはこう言います。つまり、その人が今あるがままで、方法や器具を駆使して、これまでの生活を継続できるよう支援することが、何よりも重要だと言うことですね。
たとえば半身麻痺になった人に、健常者のようにスタスタ歩くよう支援することが、半身麻痺という現状を否定することにもなるのです。そのため無理をさせて、かえって状態を悪化させ、現状の継続が不可能になることもある。ただ頑張らせて、より良い状態に向かわせることだけが正しいわけではないのです。
「筋肉は収縮している方向と逆(例えばきつく閉まっている脇を開く)へ伸ばされると、ゴムを引っ張るのと同じ理屈で、緊張が高まっている筋肉の収縮力がさらに高まり、拘縮もさらに進行してしまいます。」(p.22)
「北風と太陽」の北風のやり方ではダメだということですね。
「動かしたい方向とは逆に関節を動かし、筋肉を緩ませることです。」(p.23)
「決して無理に大きく動かそうとせず、軽い力で動く範囲から行ってください。ケアの立場として大切なのは「生活支援に必要な範囲で動くこと」です。
どこに触れるかも重要です。骨の硬い部分が触れられるところを、掌と指の腹の部分で把持(はじ)(しっかり握って持つ)して動かします。そうしないと、気が付かないうちに指先に力が入ってしまい、利用者の皮膚にくい込んで、けがをさせてしまうリスクが高くなります。」(p.23)
他の人のYoutube動画では、開かせたい方向へ動かすのではなく、あちこちぐるぐるぐにゃぐにゃと動かしていると、自然と開くようになるという内容がありました。重要なのは、無意識に力が入り続けている(拘縮)筋肉を緩ませてあげることなのですね。
そして、無理に力を入れると指が食い込むことがあります。痛いと言えない利用者様もいます。気をつけなければいけませんね。
拘縮には5種類があるそうです。
「@皮膚性拘縮 火傷や手術痕など、皮膚の真皮が傷ついたことによって動きに制限が起こること。改善するには、形成外科等で治療が必要。
A結合組織性拘縮 皮膚ではなく、その下にある靭帯、腱、腱膜等が原因で動きに制限が起こること。改善するには、整形外科等で治療が必要。
B筋性拘縮 筋肉の硬さが原因で動きに制限が起こること。介護のケア次第で和らげることができる。
C神経性拘縮 脳卒中に代表される脳神経系の病気や損傷によって動きに制限が起こること。トレーニングや福祉用具の活用など、介護で支援することができる。
D関節性拘縮 関節組織の炎症や損傷が原因で動きに制限が起こること。改善するには整形外科等で治療が必要。」(p.28)
このように、身体の機能的な拘縮は治療によって改善されますが、筋肉の緊張や神経性のものは、介護の方法次第で改善緩和されるということです。
「膝が曲がってくるのは抗重力筋の影響ですが、股がきつく閉まってくるのは、不適切な対応から起こる「誤用症候群」が原因です。」(p.51)
拘縮の原因は抗重力筋の緊張だと言います。つまり背中の筋肉が縮んで、そのために腰が反り返ります。すると寝ていると接地面が少なく不安定になって緊張がさらに高まるので、膝を立てて腰が反り返らないようにするのです。
膝が曲がってしまう人が多いのですが、こういう理由があったのですね。だから無理に膝を伸ばそうとするのではなく、膝の下に硬めのクッションを入れて、立膝の状態で安定させてやることがいいのだとか。それをやらないと、膝を立てる状態を維持するのに筋肉が緊張し、股をきつく閉じるようになるのですね。
「要介護認定を受けることになった原因として、@高齢化による機能低下、A慢性疾患・進行性疾患による機能低下、B後遺症が残るような障害による機能低下があります。
こうした状態の人は、「人間本来の自然な動き」や「生理的な動き」を行うことが現実的に難しいはず。にもかかわらず、無理してその介助をすると「誤用症候群」という二次障害が起こります。」(p.82)
間違った方法で介護することで、かえって悪い状態にしていまう「誤用症候群」。時には無理をして歩かせるのではなく、無理せず楽に移動できるように車椅子を利用することも、これまでの生活を継続するという意味では大切なのです。
「リラックスしている時はある程度動く麻痺側(患側)が、非麻痺側(健側)で力を入れることで緊張が高まり、固まってしまう反応のことです。繰り返していると、今は動いている腕もどんどん固まって強い拘縮に進んでしまいます。連合反応は脳血管障害の一部の人に見られる病的な反応です。
この反応が出ない場合は、頑張って動いても問題ありません。問題は非麻痺側に力を入れると、腕がグッと固まる利用者です。」(p.86)
患側をかばって健側だけで頑張りすぎると、連動して患側に力が入ってしまう。この「連合反応」があると、拘縮に進む可能性があるので、無理をさせてはいけないということです。
「拘縮のポジショニングで大切なのは、まず緊張を緩める姿勢を作ること。そしてその良い姿勢を自分では保持できないので、保持するためにクッションやタオルを適切に使用することです。」(p.88)
隙間を埋めて圧力を分散させたり、足の裏が接地するように高さを変えるなど、利用者の楽な姿勢をキープして、筋肉の緊張をとってやることが重要ですね。
「首の下の支えがない状態で臥床するのがどれだけつらいことなのか、やってみるとよくわかります。2〜3分間も試してみると、首の後方や肩周りの緊張が高まるのを体感できるはずです。
しかし、私たちは枕の当て方が不適切でつらくなってきたら、自分ですぐに直すことができます。また、動けなくても声を出して、当て方を直してもらうようSOSを出すこともできるでしょう。では、全身に拘縮のある人にはそれが可能でしょうか。自分で枕を当て直すことができず、そのつらさを訴えることもできない人がほとんどではないでしょうか。」(p.115)
健常者なら、何度でも寝返りしたり、位置を変えることで、身体の辛さを緩和することができます。しかし、拘縮が進んだ人は声を上げることさえできず、ただ辛さに耐えている。そういう視点を、私はすっかり忘れていました。
「そして一番のポイントは「脱健着患(だっけんちゃっかん)」。つまり脱ぐ時は拘縮の弱いほうの手から、着る時は拘縮の強い手からです。」(p.146)
「脱健着患」は、勤務し始めた頃に教わりました。実際にやってみると、介助のやりやすさがまったく違うので、すぐに覚えられますね。
技術的なことでは、まだまだ学ばなければならないことがあるなぁと思いました。ただその前に、利用者様は苦しみに耐えているという視点を、忘れてはならないなと強く思いました。
今後も、この仕事をしている限りは、もっと学んでいこうと思いました。入門書としては、最適なのではないかと思います。
2023年02月05日
THE BLUE ZONES 2ND EDITION
完全に英語タイトルのままになっていますが、日本語に翻訳された本です。この本もYoutubeの本の要約動画を観て、興味を持って買ったものになります。
著者はダン・ビュイトナー氏。ジャーナリストのようで、ナショナルジオグラフィック誌の取材として行われた調査の様子を含めて本にしたものとなっているようです。
350ページもある分厚い本ですが、はっきり言って冗長であり、まるで小説のような書き方になっています。単に長寿の秘訣を知りたいと思って読む人には、いささか退屈で面倒くさく感じるかもしれません。実際、私がそう感じたので。(笑)
著者のビュイトナー氏が雑誌の記者であることを考えると、こういう書き方になるのも仕方がないのかもしれません。取材に同行していた人がどんな服装だったとか、何を言ったとか、本の主題からするとどうでもいいことが延々と書かれていて、あとからそれが何も意味がないことがわかると、がっかりしてしまいます。
なので、この本に科学的な調査結果を期待するのはやめた方が良いと思います。
ただ、実際に取材にあたった臨場感は伝わってくるので、その雰囲気から、長寿者がどういう生活をし、どういう考え方をしているのかが垣間見えてくる気はします。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「ただ長生きするのでなく、近年注目されるのが「健康寿命」である。健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を示す。
ここに衝撃的数字がある。世界保健機関(WHO)が発表した二〇二一年最新の統計によると、日本人の平均寿命は八四・三歳で長寿世界一の座を守り続けている。しかしながら「健康寿命」を見ると、平均寿命と健康寿命との差は九・三年で、調査が実施された世界一三一ヵ国中六〇位との報告もある。」(p.6)
「人の長寿要因は「社会とのつながり」がもっとも重要な要素であることが研究報告されている。本書で紹介されるブルーゾーンの長寿者たちは共通して家族とのつながり、友人知人とのつながり、地域社会とのつながりが強固で、お互いに支え合うことが精神的にも安定をもたらし、ストレスを減らし、そして生きる気力となっていた。」(p.7)
「ブルーゾーンという言葉に触発されたビュイトナーは、この言葉を日本の沖縄、アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ、コスタリカのニコジャ半島、ギリシャのイカリア島に広げ、ブルーゾーンを人口統計学的に確認された長寿の場所の国際的呼称として確立した。」(p.8)
「ただ長生きでなく、「よりよく生きる」ためのヒント、ポストコロナ時代に向けての「生き方」のヒント。一世紀を生き抜いた人々の健康と長寿のルールをまとめた本書にはその答えがある。」(p.11)
本書の監修と訳をされている荒川雅志(あらかわ・まさし)教授は、冒頭でこのように本書を薦める理由を述べられています。
「「ウシおばあに会ったとき、私ははじめて彼女の満面の笑みを見ました。あなたは外国から来た人なのに、彼女はまるで友達のようにあなたに話しかけてきた。日本では、見知らぬ人には警戒心を抱くものです。でも、ウシおばあは、すぐにあなたを受け入れた。その雰囲気は、まるで大きなハグをしているようでした。」(p.19)
「それからずっと、ウシおばあのことを考え続けていました。ウシおばあのシンプルな生き方、周りの人を気持ちよくさせること、将来何かを得ることを心配したり、過去に何かを逃したことを悲しんだりしないこと、そんなウシおばあのことを。だんだん思い始めました。彼女のようになりたい、それが私の目標だと」」(p.19)
「はじめに」でビュイトナー氏は、沖縄に訪れた時のことを書いています。その時に通訳として同行した緒方佐代子(おがた・さよこ)さんの言葉を、このように記していました。
私はここに、長寿の秘訣があるように直感しました。何も心配していない、怖れていない。そういう生き方が、長寿の秘訣なのだと。
「長寿者が最も多い地域を中心に、彼は地図上に青いインクで円を描いた。それが「ブルーゾーン」という名称のいわれで、のちに人口動態学者たちはみな、この名称を使うようになった。」(p.48)
イタリアのサルデーニャ島で調査を行ったベルギーの人口動態学者、ミシェル・ブーラン博士のことを書いた部分からの引用です。
なぜブルーゾーンと呼ぶのか疑問だったのですが、これが答えのようです。
この後、それぞれの地域での調査のことが延々と書かれています。その章の終わりには、その地域の人たちが長寿である秘訣だとビュイトナー氏が思っていることがまとめてあります。
ただ、本当にそれが秘訣なのか、そこには科学的な論拠がありません。ただビュイトナー氏がそう思ったというだけのように感じます。
「いわば、生命のコントロールを神の手にゆだねているのです。神が運命を握っているとなれば、自分が背負っている経済的・精神的な難問や福祉の不安は軽減されます。」(p.225)
コスタリカのニコジャ半島を取材した時の同行者、科学者のエリザベスさんの言葉です。彼女は、信仰の力が長寿に影響していると考えているようです。
「そこで私は考えた。米国では、健康増進といえば、運動や、オーガニック食品、オメガ3、微量栄養素など、口に入れるものを思い浮かべる人が多い。ビタミン剤やサプリメントだけで、年間約三〇〇億ドルも費やしている。しかし、私たちが訪れたブルーゾーンでは、平均寿命の長さを説明するのに、食生活は部分的にしか貢献していなかった。運動は、少なくとも私たちが考えているような、意思を持って従順に体を動かすこととはまったく関係がなかった。」(p.270)
「ニコジャの人たちは、これを「人生の目標(プラン・デ・ビーダ)」と呼んでいるが、米国国立老化研究所の初代所長であるロバート・バトラー博士は、自分の人生の意味を明確にする能力が寿命を延ばすと推定している。」(p.270)
食べ物は身体に直接的な影響を与えますが、どういう生き方をするかという精神的な働きもまた、長寿と健康に大きな影響がある。私もそう思います。
「ブルーゾーンの研究を一〇年近く続けてきた私にとって、大きな発見は、長寿の要因(「パワー9」と呼ぶ)が長期的には互いに補強し合うということだ。人々に健康的なライフスタイルを実践してもらうには、彼らの周りに生態系(エコシステム)を作らなければならない。文化や、帰属意識や、目的意識や、宗教などを巻き込んで働きかけないと、働きかけの土台自体が崩れてしまう。」(p.274)
つまり、コミュニティ全体が長寿に適していないと、個人の努力だけでは達成できないと考えているようです。
ということで、最後にその9つのルールが記されています。まずは「[ルール1]適度な運動を続ける」からです。
「サルデーニャのブルーゾーンに住む男性の百歳人は、人生の大半を羊飼いとして過ごし、歩く距離は毎日、数キロに及んでいた。沖縄の人たちは、自分たちの食卓に載せる野菜を育てるために、毎日、数時間は畑仕事をする。アドベンティストたちは、自然のなかを歩く。長寿の人たちが、長年にわたって運動してきたという場合、このような運動を指す。」(p.284)
「目標は、少なくとも三〇分間(理想的には六〇分間)の運動を週五回することを習慣とすることだ。」(p.285)
生活の中に、自然とゆるやかな運動が組み込まれている。それが理想だと思います。
「生活をいくらか不便にすることによって、日々の運動量を簡単に増やすことができる。たとえば、テレビのリモコンを使うのはやめて、チャンネルを変えるときには立ち上がるようにする。」(p.285-286)
これは介護でも言われていて、ベッドにすると寝たり起きたりの動作が楽なのですが、運動量は少なくなります。布団にすれば、起き上がるだけで相当な運動量になるし、布団を敷いたり片付けたりすれば、さらに運動量は増えます。
ですから、身の回りをあえて不便にしておくことが、健康長寿に役立つことがあるのです。
次は「[ルール2]腹八分で摂取カロリーを抑える」からです。
「クレイグ・ウィルコックス博士は、「腹八分」の習慣は、苦痛を伴わないカロリー制限だと考えている。動物実験でも、カロリー制限によって寿命は延び、人の心臓の健康増進にもつながることが判明した。」(p.289)
私も少食が健康のために重要な要因だと思っています。
次は「[ルール3]植物性食品を食べる」からです。
「科学者たちが、数千人のベジタリアンに関する六つの研究を分析した結果、肉食の制限と長寿との間に、間違いなく関連があることが判明した。」(p.297-298)
これは別の本で読んだのですが、比較対象が正しくないという反論があります。つまり、健康を意識しているベジタリアンと、健康を意識せずに肉を食べている人とを比較していたからです。
これが、共に健康意識の高いベジタリアンと肉食者を比較したら、優位な差はないとありました。
「ブルーゾーンの食事では、豆類も重要な役目を果たしている。豆類をふんだんに使った料理は、心臓発作や結腸がんを減少させる。そして豆類は、フラボノイドや繊維質を含む健康的な食品源であり、すぐれた非動物性タンパク質だ。」(p.299)
ベジタリアンのタンパク質不足の問題を、本書では示していません。50〜80gのたんぱく質が必要だと書いてありますが、それが長寿者の食事で十分に接種できているという科学的な証明がされていないのです。
豆を食べているとかありますが、では豆を何g食べているから十分なのでしょう? それで腹八分で済んでいるのでしょうか?
そういう疑問がすぐに湧き上がるのですが、本書ではその疑問に答えていないのです。
ただ、明らかにブルーゾーンの人たちは、毎日のように肉を食べる週間はありません。むしろ少ないくらいで、せいぜい週に1回程度。かつては年に数回程度だったようです。
また、魚を食べる習慣も、それほどなさそうです。青魚が健康に良いという話はありますが、魚もあまり食べないのは意外でした。
もちろんこれは、本書を読んでの私が受けた印象です。正確に何をどれくらい食べているという記述がないので、文章から推測するしかなかったのです。
「ナッツ類は、すべての「長寿食」のうちで最も印象的だった。最近行われたセブンスデー・アドベンチストの大規模調査によって、ナッツを週五回以上食べていた人たちが心臓疾患にかかる割合は、ナッツをほとんど食べていない人たちの半分、という事実が判明した。」(p.300)
ナッツが健康に良いということは、よく知られていることですね。私も毎日、ミックスナッツを食べています。
「[ルール4]適度に赤ワインを飲む」は飛ばして、次は「[ルール5]はっきりした目的意識を持つ」からです。
「沖縄の人たちは、それを「生き甲斐」と呼び、ニコジャの人たちは「人生の目標(プラン・デ・ビーダ)」と呼んでいるが、どちらの文化でもそのことばの本質は「朝、目覚める理由」と置き換えられる。生き甲斐を持つ沖縄の老人は行動的で、それがアルツハイマー病や関節炎、脳卒中などを減らすことに貢献している。」(p.306)
「目的意識は、子どもや孫たちの成長を見守りたいという素朴な動機からも生じる。人生の目標は、仕事や趣味に完全に没頭できる時間を生み出す。」(p.307)
自分が働かないと愛する家族が生活に困る。そういう意識が、長寿者をなおも行動に駆り立てるのですね。
その集団の中で自分の役割があり、その役割を果たすことによる帰属意識が、生き甲斐になっているのだと思います。
次は「[ルール6]人生をスローダウンする」からです。
「スローダウンすることがなぜ長生きにつながるのだろうか。その答えは慢性の炎症と関係があるようだ。炎症とは、ストレスに対する体の反応だ。ストレスは傷や感染、あるいは心配という形で入り込む。軽いストレスなら、むしろプラスになるが、慢性的な炎症となると、私たちの体が自分自身を攻撃するような状態となる。」(p.311)
緊張しきっていたり、追い立てられていたりすると、ストレスが大きくなってしまいます。それが慢性炎症につながると言うのですね。
慢性炎症が老化の元凶だという話もありますね。これまで得ている情報とつながってくると、なるほどと思います。
次は「[ルール7]信仰心を持つ」を飛ばして、「[ルール8]家族を最優先にする」からです。
「私たちがブルーゾーンで出会った幸せな百歳人たちは、家族を最も大事にしていた。彼らは結婚し、子どもをもうけ、それを核に生活を築いていた。彼らの生活は、家族への義務や家族の儀式を優先し、家族がともにいることを強く求めるなど、家族を軸にした生活だった。」(p.319)
家族を大事にすることは、集団への帰属意識につながり、貢献するという目的意識も生まれますね。
娘と同居すると長生きするという説もあるようです。身の回りの世話をしてくれるし、細々とした家事を担当してくれるからでしょうか。あるいは、女性特有の雰囲気が、心を和らげてくれるのかもしれません。
最後は「[ルール9]人とつながる」からです。
「ブルーゾーンでは、社会的つながりが根づいている。沖縄の人たちには模合(もあい)があり、これは生涯を通じてお互いに寄り添う人たちのグループだ。模合は、本来は財政的な必要性から生まれたもので、相互支援のネットワークとして続いてきた。
サルデーニャの人たちは、地元のバーで友だちと語り合って一日を終える。毎年行うブドウの収穫や村祭りには、コミュニティの全員がこぞって参加する。」(p.324)
コミュニティの親密な関係が、長寿に役立つと考えているようですね。
「インタビューした百歳人たちには、愚痴をこぼすような人は一人もいなかった。」(p.326)
愚痴や不平不満をもらしていると、それを聞かされる人もネガティブな気分になるものです。コミュニティが親密になるとしても、それが愚痴や悪口を言って共感する場になってしまうと、いずれ上手くいかなくなるのではないでしょうか。
明るくて、みんなから好かれるには、斎藤一人さんが言われるように、地獄言葉を使わず天国言葉を使うようにすることが大事ですね。
それほど科学的な内容ではないので、こういう傾向があるのかもしれないな、くらいで読むといいのではないでしょうか。
私はこの本から、食べ物も重要だけれども、それよりも心の持ちようの方がもっと重要ではないかと感じました。
ポジティブであること、安心していること、明るくあること。それから目的意識を持って、あるいは好奇心を持って生きることです。
もちろんコミュニティも重要ですが、他人にそれを強いることもできません。せめて、自分だけは良い隣人であろうと努めることくらいですが、そこから始めてみてもいいのではないかと思いました。
家族やコミュニティも、近づくほどにトラブルになる場合もあります。相手の自由を受け入れて、自分も不当に干渉されないようにする。そういう距離感も大事だと思います。
食事に関しては、たしかに影響が小さくはないと思うので、自分がこれだと思う健康的な食事や食べ方を心がけることですね。
ただし、それよりも精神的なあり方の方が重要だと思うので、ちょっとの加工品を食べることすら嫌悪するのも、どうかなぁと思います。たまにはジャンクフードも良いではありませんか。その方がハッピーでいられるなら。
ということで、ご自身の健康的な長生きのために、ぜひ参考にしてみてください。
2023年02月06日
花粉症は1日で治る!
これも本の要約を紹介するYoutube動画を観て、ピンときたので買いました。タイトルからすると花粉症対策のようにも思えますが、万病に対する対策であり、老化の緩和にもつながる気がしたからです。
著者は東大名誉教授の小柳津広志(おやいず・ひろし)さん。医師ではなく、微生物学者のようです。腸内細菌を研究されていて、腸内フローラの改善が、花粉症などの治療や予防に良い影響を与えることを発見されたそうです。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「花粉症対策は数多くありますが、私は花粉症の人には毎日ゴボウを食べることをおすすめしています。
ゴボウを食べれば間違いなく花粉症は治るのですが、完璧に治すためには大量に食べる必要があります。
目安としては、毎日、ゴボウ1本です。」(p.3)
「その治療法のカギを握るのが、
「酪酸菌(らくさんきん)」
です。
酪酸菌は、だれもが大腸に「飼って」います。
「フラクトオリゴ糖」
という水溶性食物繊維をエサとして与える必要があるのです。
このフラクトオリゴ糖が最も多く含まれていて、最も手軽に食べることができるのが、食物繊維の王様である、ゴボウです。
もちろん、ゴボウだけではなく、たまねぎ、にんにく、ネギ、アスパラガスなどの野菜にも含まれています。」(p.4-5)
「極端な話、酪酸菌にフラクトオリゴ糖をエサとして与えるだけで、理論的には、たった6時間で花粉症は治ってしまうのです。
花粉症の強度によって個人差はありますが、本当に花粉症が1日で治ります。」(p.7)
「ここで、認知症、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病も、炎症が原因の病気だという事実にたどり着いたのです。」(p.15)
「私は、とうとう、フラクトオリゴ糖と糖質制限の2つの炎症抑制作用で、がん、遺伝病などの遺伝子が原因で起こる病気以外のほとんどの病気を治せるようになったのです。」(p.16)
「はじめに」に書かれていることを長々と引用しましたが、これが本書の結論です。
なぜ酪酸菌が増えると様々な病気が治るのかというメカニズムは、まだ完全には解明されていない部分があるようですが、少なくとも小柳津さんの身の回りでは、その効果が如実に現れているようですね。
ともかくゴボウなどを食べてフラクトオリゴ糖を摂取して酪酸菌を増やせば、体の慢性炎症が緩和されて、花粉症などのアレルギー症だけでなく、様々な病気の状態が改善されていく。それが本書の内容になります。
「抗生物質が花粉症の原因かどうか断定できませんが、明らかに花粉症の患者は抗生物質が普及したあとに急激に増えました。」(p.31)
「自己免疫疾患も抗生物質が腸内フローラを撹乱することによって、起こしている疾患です。」(p.32)
抗生物質によって、腸内フローラが撹乱されるという理屈はよくわかります。これまで、腸内フローラを健全に保つことが人体の健康に役立つという観点がなかったため、見落とされていたのですね。
「それでは、人の脳の発達と情動に関係する疾患はなぜ増えたのでしょうか。
答えは簡単です。腸内フローラが悪くなったからです。
そして、腸内フローラを悪くする最強の薬物が抗生物質なのです。」(p.40)
「ところが、花粉症もうつ病も免疫細胞が起こす炎症が原因となっています。
花粉症では、炎症が鼻、目、喉、皮膚などに起こり、うつ病では、炎症は脳に起こります。」(p.41)
「最終的に認知機能を低下させるのは、脳に存在する免疫細胞(ミクログリア)が神経細胞を破壊することが原因だったのです。」(p.46)
身体のあらゆる部分に炎症が起こり得ますが、それによって、それぞれの病気になってしまうのですね。
「ところが、人は炎症を抑える仕組みを持っていません。
それどころか、すべての哺乳類が持っていないのです。」(p.47)
「人は、普通分娩では肛門の周りに存在する腸内細菌を母親からもらいます。膣に生息する乳酸菌ももらいます。
母乳にはオリゴ糖類が数%入っていて、これがビフィズス菌だけを増殖せます。ビフィズス菌は大腸に酢酸と乳酸を充満させ、大腸を酸性にすることによって、大腸菌などの有害細菌の侵入を防ぎます。
やがて、離乳すると、大腸では野菜に含まれるオリゴ糖や多糖類をエサにして酪酸菌が優先してきます。
酪酸菌が作る酪酸は大腸細胞のエネルギー源となり、免疫系を発達させて不要な炎症を抑えるようになります。
じつは、すべての哺乳類はこのような仕組みで炎症を抑えているのです。」(p.47-48)
人間を含む哺乳類は、細菌との共生によって、自身の健康を保つ仕組みを構築しているのですね。
「皮膚の紫外線による炎症は、紫外線が皮膚の表皮や真皮に照射されると活性酸素が発生することで起こります。活性酸素が発生すると、皮膚の細胞はTNFαなどの炎症性サイトカインを放出します。」(p.53-54)
「ところが、大腸の酪酸菌を増やし炎症を抑えれば、皮膚のシミやシワはできないようになります。また、皮膚は赤く腫れることなく、ゆっくり黒く日焼けしていきます。大腸の酪酸菌を増やして全身の炎症を抑えれば、日焼け止めクリームを塗る必要はありません。」(p.54)
日焼けという皮膚の炎症はわかりやすいですね。この炎症においても、酪酸菌を増やすことで目に見えた効果があるようです。
近年流行のコロナも、サイトカインストームという言葉が知られたように、サイトカインが異常放出されて慢性炎症を起こしてしまう病気であることがわかってきました。この免疫の暴走によって、肺など内臓機能がやられて死に至る。そうであれば、炎症を抑えることが、どれだけ重要かがわかります。
「新石器時代以前には、米、麦、蕎麦、芋、砂糖など糖質を大量に含む食品はありませんでした。
これらの糖質食品の代わりに根菜類、野草、木の実、小動物、魚介類を大量に食べていたのです。」(p.60)
これは他の本でも言われていることです。人間の体は、まだ農耕定住生活になじんでいないのです。
「旧石器時代は狩猟採集をしていますので、蜂に刺され放題です。蜂に刺されて痛がっていたら狩りは続けられません。
フラクトオリゴ糖を大量に摂っていると、蜂に刺されても、蚊に刺されても腫れません。」(p.60)
これは驚きです。蜂刺されはもちろん嫌ですが、蚊の襲撃にもうんざりしていましたから。
「IPEX症候群の人が幼少期にさまざまな重篤な自己免疫疾患やアレルギーになるということから、Tレグ細胞の欠損がこれらの病気を起こすことはほぼ間違いありません。」(p.67)
IPEX症候群というのは、非常に稀な遺伝病で、幼児期に重篤な自己免疫疾患などで死んでしまうのだそうです。そしてこの病気の人は、Tレグ細胞を作れないことがわかっているのだそうです。
このことから、Tレグ細胞の増加がアレルギーの抑制に関係していると言える、ということなのですね。そして、酪酸を増やすことが、Tレグ細胞の増加に関係していると思われるということです。
「フラクトオリゴ糖は、1分子の砂糖に1〜10個程度のフラクトース(果糖)がつながったオリゴ糖です。
フラクトースが10個以上たくさんつながったものはイヌリンと呼ばれていますが、イヌリンは低分子のフラクトオリゴ糖より酪酸菌を増やす効果が弱いことがわかっています。」(p.69)
「ふしぎなことに、ミルクオリゴ糖類はビフィズス菌以外の雑菌をほとんど増やしませんので、新生児の大腸はビフィズス菌で充満されます。」(p.71)
「アッカーマンシアは、大腸の細胞表面にあるムチンを食べて増殖します。ムチンを食べるからといって、大切な保護膜であるムチン層を薄くするわけではありません。大腸に指令を送り、ムチン層を厚くし、大腸表皮を保護します。
そして、アッカーマンシアを増やす食物繊維もフラクトオリゴ糖なのです。
フラクトオリゴ糖は酪酸菌とアッカーマンシアという2つの善玉菌を増やして、離乳後の大腸を保護し、免疫を発達させるのです。」(p.73-74)
それぞれの細菌にそれぞれのエサがあるということですね。
アッカーマンシアがフラクトオリゴ糖をエサにしているという直接的な記述はありませんが、おそらくムチンだけでなく、フラクトオリゴ糖も食べているのでしょう。
また、ムチン層が薄くなると、後で書いたリーキーガットを引き起こすことにもつながると思われます。
「ところが、2015年2月に米国のヒューストンで開かれたアメリカアレルギー学会でギデオン・ラック博士が「子どものピーナッツアレルギーを予防するにはピーナッツを小さい時から食べさせるほうがよい」と報告したのです。この発表によって、「アレルギーを治すには原因食品を食べさせる」に変わりました。」(p.79)
なるべくアレルゲンを排除するという考え方から180度転換しているのですね。
これは、除菌が行き過ぎて耐性がなくなったという問題にも通じていますね。適度なストレスは、耐性を高めることになるのです。
「オーソモレキュラーは、サプリメントを摂る以外は糖質制限です。
糖質制限自体がさまざまな病気を治すので、サプリメントが重要なのか、糖質制限による体質と栄養の改善が重要か、よくわかりません。」(p.109)
ロバート・アトキンス博士の低炭水化物ダイエット以来、いくつかの食事法が提唱されているそうです。その中に、オーソモレキュラー、分子栄養学、MEC食、フォドマップ制限食などがあるそうですが、小柳津さんは、それらの問題点を指摘して批判しています。
「驚くことに、糖質制限で多くの病気が治るのです。
糖質制限をすることで、つぎの日に血圧は30〜40下がります。高血圧は糖質を摂ることが原因だからです。
血糖値を下げておくと、血液中のインスリンの量が減少。すると、腎臓での塩の再吸収が減り、血液中の塩は減ります。
血圧は血液の塩の量によって決まります。塩が多すぎると薄めるために水が増えて血圧は上がるのです。」(p.123-124)
インスリン量とナトリウムの再吸収に関係があり、血中のナトリウム量が血圧を決めているということのようです。
まあ、それ以外にも要因はあると思いますけどね。私は今も、炭水化物を減らしていますが、相変わらず150くらいの血圧ですから。
「血中の酸化LDLの量は中性脂肪値と正の相関しています。つまり、中性脂肪値が高いと動脈硬化を起こしやすいのです。
血中中性脂肪値は糖質を多く摂ると上昇します。糖質制限をすれば、中性脂肪値は大きく下がり、動脈硬化はほとんど起こらなくなります。」(p.125)
糖質制限が健康に良いということは、他の本でも指摘されています。狩猟採集を長く続けてきた人間の体にマッチしているのでしょう。
「現実的な分量として、毎日、ゴボウを50グラム、タマネギを1/2個程度食べるようにしましょう。」(p.134)
冒頭ではゴボウ1本を毎日と言っていましたが、タマネギ1個でも同じくらいのフラクトオリゴ糖が摂取できるようです。
「”おなら”が多いということは酪酸菌が多いということですから、大変良いことです。
また、ビフィズス菌と酪酸菌が増えると”おなら”は悪臭を放ちません。臭くなければさらによい”おなら”です。」(p.137)
臭わない放屁をたくさんすることは健康の証のようです。
「大腸では食物繊維を利用して酪酸菌やビフィズス菌が増えますので、酸が作られて酸性になります。鉄、亜鉛、カルシウムなどは酸性が強くなれば溶けます。これらのミネラルは大腸では簡単に吸収できるのです。」(p.137)
ミネラルは大腸から吸収されるのですね。知りませんでした。
「カフェ500のお客さんで、大脳の萎縮が進んでおらず認知機能が低下している方がいました。フラクトオリゴ糖の摂取と糖質制限に取り組んだ結果、1か月ほどで認知機能は大幅に改善しました。」(p.149)
小柳津さんは喫茶店をされていて、そこに来られる方を対象に人体実験をされているそうです。もちろん、本人の了承のもとですがね。
「糸球体腎炎、ギランバレー症候群などの感染症が引き金となって起こる自己免疫疾患がたくさんあります。これらは、自分の細胞に感染した細菌がつくることによって攻撃されるのです。
おそらく、関節リウマチなどの自己免疫疾患はリーキーガット(腸もれ)が原因だと思います。
私たちの大腸は、ふだんは栄養物となる小分子しか吸収しませんが、リーキーガットという状態(図18)になると巨大分子が体に入ります。」(p.153)
リーキーガットという言葉は、他の本で知っていました。腸壁の細胞のつながりが切れて、大きな細菌などでも体内に侵入させてしまうのです。
それらが体内の細胞と結合すると、免疫はそれを攻撃します。そこで炎症が起こるというわけです。
ただ、リーキーガットは、必ずしも悪いものではないともありました。リーキーガットはよく起こっていて、毒性のあるものを大腸から早く追い出すために、下痢にするための方法でもあるそうです。
つまり、リーキーガットによって血液から水分を大腸内に流し込み、下痢を引き起こすという仕組みですね。でも、そうだとすると、リーキーガットが起こるから害のある細菌が体内に侵入するということは、一概に言えないことになります。
この辺のことは、詳しく書かれていませんでした。何でもそうですが、書かれていることを鵜呑みにしないことは重要だと思います。
「がん細胞はブドウ糖だけを食べます。糖質制限するとエネルギー源としてケトン体というものを使うようになります。ケトン体ではがん細胞は増えません。
糖質制限はがん細胞の活性を抑えます。
さらに、免疫力を上げるビタミンDのサプリメントを毎日50マイクログラムほど摂れば強烈にがん細胞を抑えることができます。」(p.157)
がん細胞の栄養がブドウ糖だけというのも知りませんでした。ビタミンDが健康に重要な役割を果たしていることは知っていました。
昔のように、屋外で暮らすことが普通であれば、あえてサプリでビタミンDを摂取する必要はないのでしょうね。
「ところが、脳の中で海馬の細胞だけは増えるのです。海馬を増やすシグナルを出すのはインスリンです。ですから、記憶力をよくするにはインスリンを脳に入れなければなりません。
インスリンは血液中を流れますが、血糖値が高いと脳に入りません。
したがって、記憶力をよくするには血糖値を下げた状態を維持すればよいのです。」(p.158)
脳細胞は増えないと言われていましたが、海馬だけは違うのだそうです。これも知りませんでした。
そして、海馬の細胞を増やせば記憶力が上がりますが、そのためにはインスリンが必要なのですね。
「骨密度が低いということで、治療を受けている人たちがフラクトオリゴ糖を摂っていると6か月〜1年で治ってしまうのです。」(p.166)
「フラクトオリゴ糖を摂って大腸の酪酸菌が増えると大腸は酸性になります。
酸性になるとカルシウムは溶けます。溶ければ簡単に吸収できます。」(p.167)
骨粗鬆症の改善にフラクトオリゴ糖が有効だという論文もあるようです。
「これは、血流がよくなったことが原因なのですが、じつは大腸の酪酸菌が増えると血流がよくなるメカニズムはよくわかっていません。」(p.171)
フラクトオリゴ糖を摂取することで、冷え性の改善、皮膚状態の改善などの効果が現れるそうです。それが血流の改善によるものと予想できるものの、酪酸菌との関係はよくわからないのだとか。
わからないものはわからないとしておく姿勢は好感が持てます。
「近藤博士とビュイトナーの結論はほぼ同じです。野菜とナッツ、豆類をたくさん食べることが健康な百寿者を作るのです。
野菜、ナッツ、豆類は大腸の酪酸菌を増やしてくれます。
フラクトオリゴ糖を摂って酪酸菌を増やせば、「ピンピンコロリ」に近づけるのです。」(p.173)
東北大学名誉教授の近藤正二博士は、日本の長寿村と短命村の食べ物を長年調べたそうです。その結果、長寿村では野菜、海藻、大豆をたくさん食べていて、動物性たんぱく質は少なかったそうです。一方、短命村では、米をたくさん食べていたとのこと。
ダン・ビュイトナー氏は、前回紹介した「THE BLUE ZONES 2ND EDITION」の著者です。ブルーゾーンの人たちは、近藤博士が指摘されたように、野菜、ナッツ、豆類を多く食べていました。
「たった一つの解決の糸口、
「抗生物質がアレルギーをつくった真犯人で、腸内フローラを撹乱した」
「それをどうして元に戻すことができるか、簡単な手法は何か」
について、考え続ければ、解決策はすぐに見つかります。
もちろん、この仮説が筋違いであれば、永久に解決策は見えてこないのです。
もう一つ知っていることがありました。
「大腸の本当の善玉菌は、酪酸菌である」
「酪酸菌がTレグ細胞を増やす」
ということです。
焦点は「酪酸菌を増やすやり方」です。
このことについても、私は「フラクトオリゴ糖が酪酸菌を増やす」ということを知っていました。」(p.185-186)
小柳津さんは、上司に対しても思ったことをずけずけ言われる性格のようで、現場では嫌われてきたようですね。しかし、研究で成果を上げるので周りも評価せざるを得なくなった。その結果、東大の名誉教授になられたようです。
そんな小柳津さんが、「すべての病気を食べ物で治す」という目標を掲げて、腸内細菌に注目して研究してこられたのです。
ただ、そんな小柳津さんでも、思い違いをすることもあったそうです。
「その結果、フラクトオリゴ糖は軽い糖尿病には効くが、重症の糖尿病にはあまり効果がないということがわかりました。
糖尿病は老化によって起こる病気で、膵臓などの臓器の老化が原因です。この人体実験が失敗するまで、老化という考えは持っていませんでした。」(p.186)
老化については、まだ課題が残るということでしょうか。本書では、この老化の問題については詳しく書かれていません。
いずれにせよ、こういう正直なところは好感が持てます。
結論が非常に単純なので、わかりやすく読みやすい本でした。そして、その結論を自分の生活にすぐに活かせると思いました。
この本をすべて読まなくても結論はわかってしまいますが、詳細を知りたいという人は、ぜひ本書を読んでみてください。お勧めの1冊です。
2023年02月09日
70歳の正解
老後の健康や長寿に関して、たくさんの著述がある和田秀樹(わだ・ひでき)さんの本を読みました。
「80歳の壁」というご著書が大ヒットしたことで、それをどう乗り越えるかという視点で書かれたのが本書です。この本は、例によってYoutubeの本の要約を紹介する動画で知りました。
お年寄り向けに書かれただけあって、新書版ですが文字が異様に大きいのが特徴です。これなら私も楽々読めます。
それはもちろん内容が少ないということでもありますが、読んでみて、言われたいことを簡潔かつ十分に網羅しているのではないかと思いました。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「人生100年として、80歳から最後の20年を輝かせるためには、その前の20年の心得・準備が欠かせません。本書では、60代・70代のちょうど中間が、「70歳」であることから、私なりの提案を「70歳の正解」と題してお伝えしようというわけです。『80歳の壁』を読む前に読む本、あるいはサブテキストとしてご一読下さい。」(p.4-5)
「その基本精神は、「できないことを嘆く」のではなく、「できることを楽しむ」ことです。「年をとったから何もできない」と考えるのではなく、できることを探し、できる方法を考える生き方をおすすめしたいと思います。」(p.6)
「はじめに」でこのように、本書の目的を述べられています。
「まずは「食」ですが、前著『80歳の壁』では、「肉を食べる」ことの重要性を強調しました。牛肉や豚肉は、トリプトファンというアミノ酸をたっぷり含み、それが脳内の神経伝達物質の司令塔、セロトニンの材料になり、脳の活性化につながる−−というのが、その大きな理由です。」(p.18)
「脳が活発に働いている状態とは、「神経伝達物質の量が多くなり、シナプス間を活発に行き来している状態」といっていいのですが、大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。」(p.21)
このように老後の食事にタンパク質が欠かせないことを、和田さんは言っています。肉も重要だし、大豆製品(納豆など)も重要だと。
「高齢者は、暮らしの活力をすこし失うだけで、フレイルに陥るリスクが高まります。とりわけこのコロナ時代には、ウイルスを避けながらも、さまざまに工夫して、フレイルにならないように工夫しましょう。
私は、その防止策を含めて、老後、心がけたいことを「あかさたなはまやらわ」で始まる10個の動詞にまとめて、患者さんらに伝えています。」(p.46)
フレイル(脆弱、老衰)対策が重要で、そのためには意識して行動的になることが大切なようです。
ちなみに10個の動詞とは、「歩く、噛む、サボる、食べる、和む、話す、学ぶ、役立つ、楽観する、笑う」というものです。何となくわかりますよね。
「有酸素運動というと、ランニングマシンの上を走るような運動をイメージしがちですが、私は「走る」ことは、60代以上の人にはおすすめしません。
「走る」ことを含めて、呼吸が荒くなるような運動は、心肺に負担をかけすぎるうえ、体内で活性酸素を大量につくり出してしまうからです。それは、体を酸化させるのでアンチエイジングの観点から、好ましいことではありません。」(p.49)
和田さんがお勧めするのは「歩く」ことです。つまり、日常的に活動的になることなのです。
「人に教えるためには、深く理解し、細かな点まで記憶しなければなりません。そのため、人に教えなければならないと思うと、目的意識を一段と高めて、重要ポイントを頭の中で整理することになります。人に教えるという目的があると、集中力も高まります。加えて、人に話し、質問に答えることが自然と反復学習となって、より深く記憶に残ることになります。」(p.66)
教える者が最もよく学ぶ、と言われますからね。教えることを目的として学べば、効率よく頭を鍛えられるということです。
「たとえば、ロシアのウクライナ進行に関して、
「なぜ、ロシアは侵攻したのか?」
「なぜ、ウクライナは善戦できたのか?」
などと考えてみる。そうして、自分で疑問を設定し、観察力や推理力を働かせることが、前頭葉の錆びつきを防ぐのです。」(p.72)
ニュースを聞いて、何も疑問に思わないようではダメなのです。何ごとも鵜呑みにせずに、自分の頭で考える習慣が、脳を衰えさせないことにつながるのですね。
「老後は、現役時代以上に「マイナス思考」に陥りがちです。「どうせ、うまくいきっこない」などというマイナス思考にとらわれると、行動力はいよいよ鈍り、前頭葉の働きが衰えていきます。うつ病の発症要因にもなります。」(p.74)
ネガティブ思考だと行動まで消極的になります。ポジティブ思考で、ともかくやってみるという行動的になることが、健康のためには重要なのです。
「そうしたイライラや怒りをしずめる最も簡単な方法は、「深呼吸」です。脳に酸素が十分に行き渡ると、脳内の扁桃という部位の興奮がおさまり、それが交感神経の興奮をしずめるのです。」(p.84)
イライラしたら深呼吸。簡単ですが、効果は抜群。多くの人が推奨する方法です。
「とりわけ、75歳以上の場合、2週間動かないと、動いているときの7年分も、筋肉量が落ちるというデータがあるくらいです。そして、転倒→骨折→要介護となるケースが、ひじょうに多いのです。
また、高齢者は、運動不足になると、食欲不振から、低栄養状態に陥るリスクが高まります。」(p.99)
高齢になると筋肉量を維持することが重要になってくる。それは他の本でも言われていることです。そのためにも、適度な運動が重要になってくるのですね。
「まずは、意識的に、人と「話す」機会を増やしましょう。人と話すと、脳内の神経伝達物質の動きが活発になります。昭和の時代に戻って、「長電話」でおしゃべりを楽しむのもOKです。友人、知人と電話で話して、不安や孤独感を吹き飛ばしてください。
そして、第二には、意識的に「笑う」ことです。笑うと、大きく息を吸い込むことが副交感神経への刺激になり、心身がリラックスします。」(p.101-102)
コロナうつを防ぐ方法として書かれていますが、老後の健康のためには、話すことや笑うことが重要になります。この点、女性の多くは社交的なので、健康を保ちやすいのかもしれませんね。
笑うことについては、免疫力を高めるという研究結果も出ています。深刻になり過ぎず、笑い飛ばすことも重要でしょう。
「今、夫婦で三度飯を食って、それがストレスでないという夫婦、少なくともストレスに感じないという「妻」は、ごく少数でしょう。」(p.111)
亭主元気で留守がいい、などと言われますが、四六時中一緒にいることや、あれこれ干渉されることは、人間関係を損ねる元だと私も思います。
「まず、私は「現代の親孝行とは、親をボケさせないこと」(正確にはボケるのをなるべく遅らせること)だと思っています。そして、それは、自分のためでもあります。
とにかく、親や配偶者が認知症になると、いろいろと大変です。そのために仕事を辞めたり、余暇の大半を奪われることにもなりかねません。ただ、認知症はある程度は予防できるうえ、早期に手を打てば、進行を遅らせることのできる病気です。」(p.125-126)
「親と別居していても、せめて月に一、二度は、電話で近況を報告し合う。遠く離れて暮らしていても、年に一、二度くらいは顔を見に帰る。そうして、親の老い、認知症の進行状況を自分の耳や目で確認することが、現代の”親孝行”だと、私は思います。」(p.127)
早期発見によって認知症の進行を抑制できるかどうかは、私は何とも言えません。可能性は否定しませんが。そして、効果的な認知症予防があるのかどうかも、同様に何とも言えません。ただ、可能性がある以上、いろいろ試してみることだと思います。
今の私の状況は、まさにここに書かれているような感じです。一人暮らしの父とは月に1〜2回の電話での会話、そして年に1回程度の帰省(今はコロナの影響でできていませんが)をやっています。
親との関係も、パートナーとの関係と同様に、あまりくっつき過ぎず、かつ離れ過ぎないことが重要ではないかと思っています。
「まず、現実的にいって、地方では、車を運転しないと、買い物にも病院にも行けません。外出が減ると、足腰が弱るうえ、認知症の発症リスクが高まります。
私は、まずは、親の車は、衝突防止装置のついた車、アクセルとブレーキを踏み間違えにくい車など、少しでも安全な車に買い換えることをおすすめします。」(p.130-131)
高齢者の免許返納に関する問題で、和田さんは無理に取り上げるよりも車の安全対策を勧めておられます。私も同感ですね。特に地方では、車がないと何もできませんから。
「「80歳の壁」を乗り越えるには、脳の健康寿命を延ばすことが重要です。さらに私が、声を大にしていいたいのは、「勉強は最高の脳の健康法」だということです。
しかも、それは脳だけでなく、体の健康維持にもつながります。私は、頭を鍛え、”脳力”を維持することほど、心身両面に効果的な健康法を知りません。脳をよく使い、感情を老化させなければ、ヒトは間違いなく長生きできます。」(p.166)
和田さんは、脳を鍛えることが健康で長生きの秘訣だと思っておられるようですね。
「私は、老後の勉強のアウトプット目標として、思いきって「本を1冊、書くこと」をおすすめしたいと思います。」(p.169)
本の執筆は和田さん自身も実践されていますが、ワープロソフトを使って、ブログに書き始めることでも良いとのこと。これならハードルは低そうです。
私の知人でも、ワープロで自分史を書かれて、自費出版された方がおられます。今なら、Amazonで電子書籍として販売し、印刷してもらうことも可能です。
「さて、ここまで述べてきた「本を書く」とか「映画を撮る」というのは、老後の勉強においてはいわば「自由研究」の分野です。私は、高齢者には、さらに「義務教育」として学ぶべき分野もあると思います。好きなことを勉強するにしても、まずは老いていく暮らしを安定させ、心身を健康に保つ必要があります。そのための勉強を、私は「60歳から始める義務教育」と位置づけたいのです。
私が、高齢者の必須科目だと思うのは、次の2科目です。
まず1科目めは、「健康医学」、あるいは「予防医学」です。健康にいい食事・生活習慣、サプリメントをめぐる知識、認知症を防ぐ方法などの健康リテラシーをしっかり身につけましょう。」(p.182-183)
「2科目めは、「老後の経済学」です。年金、介護保険、相続、投資など、お金に関するリテラシーを身につけることです。」(p.183)
老後を迎える前から、健康やお金に関するリテラシーを高める勉強が重要だと和田さんは言います。
私も、Youtube動画を観たり、本を読んだりして、そういう知識を身につけています。こういう勉強は、たしかに大切だなぁと思います。
「私も還暦を迎えるまえは、「60代になったら、しばらくは遊んでみたい」という気持ちがあったのですが、そちらの人生コースは断念しました。
自分の性格を考えても、趣味や遊びでは、早晩、飽きることがわかっているからです。そこで、今後も能力が続くかぎり、今までと同じようなペースで仕事をしていこうと、腹をくくりました。」(p.192)
私も和田さんと同様で、気ままに遊んで暮らすことを夢見ていましたが、それが難しいことがわかった時、逆に自分にプレッシャーを与え続けようと思いました。生涯現役の覚悟を決めたのです。
こういう「腹をくくる」ということは、とても大事ではないかと思っています。
「まずは、「自然に体を動かしていること」です。それらの地域には、年をとっても、農作業、庭仕事、家事などで、「自然に体を動かしている人」、要するに「働いている」人が多かったのです。」(p.194)
これは先日紹介した「THE BLUE ZONES 2ND EDITION」を和田さんも読まれて、長寿者の共通項の中でも、何らかの体を動かすことが重要だと思われたようです。
「その調査では、離婚や配偶者の死、失業といったライフイベントによって、人々の幸福度がどのように変化するかが調べられました。すると、わかったのは、人の幸福度に最大のダメージを与えるのは、失業だということでした。」(p.194-195)
これはイギリスの経済史の追跡調査によるものですが、離婚や配偶者の死別よりも、失業の方がダメージが大きいという結果なのだそうです。
自分の居場所がなくなる、アイデンティティを喪失する、そういう感覚になるのでしょう。特に男性は、仕事人間が多いですからね。
「一方、リスクをとり、法人格もとって、本格的に起業する場合には、自己資金ではなく、金融機関から、お金を借りてスタートすることをおすすめします。
その理由は、お金を借りることだけでなく、「事業計画書をプロの目で査定してもらう」ためです。」(p.203)
フリーで働くなど、リスクをできるだけ抑えて働き続けることを勧めておられますが、大きくやりたいなら、プロの査定を受けることを勧めておられます。これは良い方法だなぁと思いました。
「ただし、趣味や遊びに飽きたときは、Kさんのように現役復帰することです。老後の引退は、”国民の義務”ではありません。一度、仕事から退いても、仕事のない日常に飽きたら、シャバに戻ってくればいいのです。」(p.206)
定年を機にいったん引退するのもありだと和田さんは言います。そして、また仕事に復帰すれば良いのだと。
私の場合はリストラにあったので強制的ですが、離職して趣味や遊びの年月をしばらく過ごしました。お金がなくなったので、仕方なく仕事に復帰した状態です。
仕方なくではありますが、和田さんが勧めておられるような生活をしていることになりますね。(笑)
私は今、老人介護施設で働いています。多くのお年寄りを見ていますが、やはり自分で生活することができなくなる、つまり要介護状態になることは、大変なことだなぁと実感しています。
長生きしたいとは思いませんが、最後の最後まで自分で生活できるように、健康を考えた生き方をしたいと思っています。
そういう意味で、和田さんが勧めておられる対策は、とても参考になるものでした。
何ごとも、前もって準備しておくことが大事だと思います。
2023年02月16日
楽しむために生まれてきた
文屋というところからのメルマガを読んでいて、気になる本の紹介があり、文屋のWEBサイトから購入したのがこの本のようです。
この文屋のメルマガを購読しているのは、白駒妃登美さんの「ちよにやちよに」を買ったのがきっかけです。この本も、文屋が手掛けた本だったのです。
また、メルマガを購読するようになってから気づいたのですが、文屋は長野県にあるのですね。私は今、長野県で暮らしているので、これも何かの縁だなぁと感じています。
この本の著者は井上悟(いのうえ・さとる)さん。波動リーディングというその人の波動を読んで、心身を整えるカウンセリングをされているようです。
波動を読むと言うと、何だか胡散臭い感じもしますが、レイキをやっている私からすれば、そういうこともあるだろうなぁという気がします。レイキでも手を当てることで、相手の不調な箇所がわかったりしますから。
その井上さんが、23年間カウンセリングをされてこられた中で考えてこられたことを、この本で語られています。その内容が、実に本質的なのです。
私がお勧めする「神との対話」の内容と符合することが多く、まさにそうだなぁと感じるのです。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「いま、わたしが明言できるのは、「人は楽しむためにしか生まれてきていない」ということです。日々を楽しんでない人は、ほとんどが「病気」と言っても過言ではありません。
わたしたち人間は本来、大いなる一つの光から生まれた存在です。わたしたちの本質は、光そのものです。その光が、両親から借り受けた肉体と融合し、三次元の世界でそれぞれの個性を体験しようと生まれてきました。」(p.11)
冒頭のコラムで、いきなり核心に迫ることが書かれていました。スピリチュアルな考え方ですが、私もその通りだと考えています。
「わたしは、この23年間に7万人以上の方々の波動リーディングをしてきました。その経験を通じて、いま、たしかに言えるのは「人は人生を楽しむために生まれてきた」ということです。いつもイキイキ、ワクワクしている人は病気にはなりません。」(p.12)
波動リーディングは、三次元の私たちの心身の状態を、五次元の世界から波動として読み取るシステムだと井上さんは言います。それによって、心身のエゴが愛へと進化していく過程での障害を見つけ出す手法だそうです。
その辺のことは、本書にも詳しくは書かれていません。なので、井上さんがどうやってその方法を身に着け、どうしてそう言えるのかなどはわかりません。けれども、その上での気付きの内容は、実に本質的だと思います。
「「肉体が自分だ」と思いこんでいる人が多いのですが、じつはこの魂こそが自分なのです。人はみな等しく光の存在であり、「もともと完璧」な状態で地球に生まれてきていることもわかりました。魂は世界中の人々とつながっていて、一つであること、大いなる光の存在であり、すべてが自分だというような感覚を確信したのです。だれもが、本質は光の存在であり、宇宙そのものなのです。」(p.22)
「あなたの魂の本来の望みは、自分軸です。自分軸にまったく気づかないまま、生涯を他人軸で生きてしまう人が大半です。多くの人たちは、愛を感じることができず、本来もって生まれた魂の知識や技能や知恵を発揮することもできず、不足感を抱いたまま年老いています。あまりにもったいないことです。この本は、そんな世界の人類に贈るために出版いたします。」(p.30)
この本質に気づく人が増えることを、井上さんは願っておられるようです。
「あなたの魂は、この三次元でしか得られない体験によってさらに進化し、より大きな輝きを発揮させたいと強く願っていました。「何かしないといけない」「何かになるため」「何か使命があるから」ではありません。魂は、そんなことを何も考えていません。
ただ、ただ、いまを楽しく、光り輝くためにやってきました。地球上に誕生して、ここで遊ぶためです。地球を遊園地のように、想像していました。「思いっ切り楽しんで、感じたまま、いまのありのままのよろこびを表現しよう。自分しか味わえないよろこびを、そのまま感じよう」と地球にやってきました。そう、魂はいつも歓喜していたいのです。このよろこびの表現こそが「愛」です。
魂は、誕生する前の光の存在の時には、自由気ままに生きていました。好き勝手に生きていた自分が、この三次元の肉体に宿り、肉体を借りて、不自由な環境で自由にならない体験をしてみたかったのです。魂はその体験の中にこそ、大きなよろこびがあると信じています。」(p.33)
長々と引用してしまいましたが、まさに「神との対話」で言っていることですね。
「借り受けた心身のエゴや我欲に振り回されている自分に気づきましょう。目の前にやってくるどんなことも「ああ、これも体験だ」「このままでいいのだ」と思いましょう。」(p.34)
この不自由さ、困難さ、理不尽さを体験したくて、わざわざこの肉体をまとったのです。だから、それらをそのままに楽しめば良いのですね。
「現実は、あなたにとってベストのことしか起こっていません。「いま最高!」と思えるようになると、良い・悪いの判断をしなくなります。「そのままOK」という思いは、「愛と感謝」そのものです。その現実はどんなことが目の前で起ころうが、それはあなたが進化するために、あなたの魂が自分でその世界をつくり出している幻想にすぎません。」(p.38)
「あなたは、誕生前に人生のシナリオを描いてきています。シナリオを演じるための知識や技能や知恵は、すべて完璧に備えて生まれてきています。この世に生まれた時、もうすでにあなたは完璧なのです。勉強したり本を読んだりすることは、すでに蓄えている知識や技能や知恵を思い出すこと、呼びおこすことなのです。」(p.39)
もうこれに尽きますね。私も、起こることはすべて必然であり、最善であり、完璧だ、と言っています。魂がその計画に従って、完璧に導いてくれているのです。
「あなたが自分のためにすることが、他人のためにもなります。自分のためということは自分を愛することです。まず自分が「いま、あるがまま、そのままの自分」を、こころから愛することです。自分を愛せない人は、人を愛せません。」(p.50)
存在するのが「ひとつのもの」であれば、自分を愛することは他人を愛することなのです。
「たとえ満足感をもてない時でも「不足していてもOK、それがわたし」と思うことです。悪い展開が思いうかんだ時も「まあ、そうなってもいいか」と思うことです。どんなことが起こっても「ただ体験しているのだ」と受けとめて、受けいれましょう。「これにどんな意味があるのだろう」「やらなければよかった」などと後悔しないで、「自分にとってベストのことしか起こっていない」と思うことです。良い・悪いの判断をしないことです。あなたは、いまを体験するためにしかこの世に生まれてきていません。「何が起こってもOK」なのです。
自分が心配しているなと思ったら「もともと完璧なのだから、だいじょうぶだ」と、自分に語りかけましょう。」(p.60)
このように考えて、自分で自分を洗脳することが大事ですね。
「良い選択にこそ、良い人生の未来が開けていくと信じてきました。
「きれいなほうが良い」「背は高いほうが良い」「スマートなほうが良い」「勉強のできる子のほうが良い子」などなど。
すべての現症に対して、「こっちが良くて、あっちが悪い」と分けています。」(p.82)
「良い・悪いを分けるということは、比較・評価していることであり、目の前の人やもの、現象の意味や価値を無意識のうちに判断することにつながります。人を裁いて、その理由を考えています。判断して選択した結果に、必ず良い結果と悪い結果があると信じています。「選択を間違うと、わたしの人生はたいへんなことになる」とまで考えが飛躍して、未来への不安に悩んでしまうのです。」(p.82-83)
私たちは無意識に判断して、良い・悪いを考え、良い方を選択したいと思っています。そしてその動機は不安(怖れ)なのです。
「どんな悪いことやイヤなことが起きても「ああ、いまは陰を体験しているのだ」とすべてをOKして、いまの自分の状況を受けいれることです。そうすると、相手のすべてを許すことができます。許すことは、あなたの愛です。」(p.85)
悪いことが起こってよいのです。それもまた1つの体験であり、それを体験することが必然で、最善で、完璧なのです。
「愛は無限です。どんどん高く、大きくなると、世界中を俯瞰することができ、「世界はすべてわたしだ!」という思いがわき出てきます。陰陽の体験するごとに底辺の円が大きくなります。その体験を愛に変えていくことが魂の進化であり、意識改革です。」(p.86)
図で示されているのですが、この図が秀逸です。振り子を手に持って重りがぐるぐると円を描くようにすると、そこに作られる円錐の底面の円は太極を表します。陰と陽が混じり合う図ですね。その時、円錐の頂点の動かない部分が「愛」であり、そこに視点を置くと、陰と陽を体験している現象世界を俯瞰することになります。
つまり、どんどん円を大きくしていくと、より多くの陰と陽を体験することになり、それによって無限の愛を体験していくのです。
「楽しさを極めていくと魂がよろこびます。あなたが何を見ても、目には見えない深い魅力が見える、感じられるというのは、どれほど楽しいことでしょうか。魂はそれを味わうために生きてきているのです。」(p.88-89)
料理を見ただけで料理人の思いが伝わってくるような、魂が感応する喜びですね。魂レベルで現象を見るようになると、そこに隠れた魂の思いに感応して、喜びを感じるようになるのです。
「たとえ不測の事態が起こったとしても、いまある状況に感謝して「いま、ありのままでOK!」と感じていくと一気に事態は好転します。どんな事態に直面しても、いまの自分にOKを出し、だれかのせいにすることもなく、自分を許していくことです。そうしていると、愛があふれていきます。意識もどんどん高くなり、この世への最高の貢献となります。」(p.91)
想定外のこと、起こってほしくないことが起こった時ほど、「これでいいのだ〜!」と思うことですね。
「思いっ切り陰に傾いてから陽に転じるような体験は、感動をもたらします。魂は、「そうしたよろこびを味わうことができるからこそ、意識を高めることができる」と信じて生まれてきています。あなたはこの命のある限り、何でも命がけで体を張って楽しめばいいのです。魂は永遠なのだから、どんなことでも思い切って試したり挑んだりしてください。」(p.167)
失敗を恐れずに果敢に挑戦することで、人生のアップ・ダウンを楽しむことができるのです。
「何もしなくても良いのです。たいせつなことは、自分がいま、この世の二極の世界でおちいりやすい陰と陽のどちらかに傾いていないかを、感じてみることです。イライラしていないか?怒りっぽくなっていないか?落ちこみやすくなっていないか?などなど。すべてはあなたの「思い」から来ていると感じることです。「どちらでもいい世界」を感じてみることです。
何とかしようとしなくても、本来は自然に任せておけば元に戻っていくのです。人間のもっている自然治癒力です。自然治癒力が一〇〇%発揮されると、どんな病気も癒されていきます。」(p.175-176)
「「いまの自分の状態がありのままでOKである」という思いのエネルギーが、あなたの自己治癒力を最高度に上げることになります。「どんな病気になってもOK、本来の健康体に戻ろうとしていることだ」と思いましょう。それには、まず治そうとがんばるのをやめることがたいせつです。がんばりつづける限り、病気は定着して慢性化していきます。」(p.179)
何かをしなければ、という思いの動機は不安(怖れ)ですよね。だから、その対極の愛でありたいなら、何もしなくてもいいのだと受け入れ、成り行きに任せることですね。
「「健康も病気もない、良いも悪いもない、いまがOKで最高なのだ」と思った瞬間に、あなたはストンと、違う境地にいくことができます。その感覚を手にした時、魂はほんとうによろこんでくれます。魂が「これがわたしなのだ」と言ってくれます。魂の望む思いのままに生きることで、あなたはあなたのほんとうの人生を歩むことができます。」(p.183-184)
病気だろうと健康だろうと、そういうことさえどうでもいいことなんですね。
「自分のいまのありのままをOKし、あなたがさらに元気になるための体験として起こっていることであり、感謝しかないよねと相手を包みこんであげてください。そのこころの状態は相手のそのままをOKしているので、一番の癒しとなります。」(p.187)
「人というものは基本的に寿命でしか亡くならないものです。魂があの世にいこうと思って、自分の意思で去る時が寿命です。「もうこの肉体では、人生のシナリオを描けないな」と思った時点で、魂は去ります。死は一〇〇%必然で、偶然ではありません。魂の判断が寿命です。」(p.188)
病気に罹った人に対しても、そのままでOKだと思ってあげることが大事ですね。人は、死ぬべき時に死ぬだけですから。
「感情には、ネガティブなものとポジティブなものがあります。わたしたちは、ポジティブに生きることが楽しくてすばらしい人生になると、考えてしまいます。ネガティブな感情は、悪い自分であり、「何とか良い自分になろう」と思ってしまいます。その思い自体がストレスになります。」(p.212-213)
「この喜怒哀楽によるエゴ的体験を重ねて、たとえ、けんかや言いあらそいになったとしても、良い・悪いや勝ち・負けではなく、お互いを尊重しあう方向へ進むことが、あなたの意識の進化です。また、「いまのありのままで良いのだ」「どっちに振れても自分だ」と認識して、OKしていくことが、愛なのです。その体験こそが魂の真の楽しさであり、よろこびとなります。」(p.213)
陽だけでなく陰も、高いだけでなく低いも、すべてを体験することが魂の喜びなのです。
「恐怖感は、未来への不安や人からの評価に対して、「いまを何とかしないといけない」と感じている意識です。どちらかというと称賛にあたいする行動と見られがちです。しかしじつは、ストレスがたまる一方なのです。
魂がいちばん望んでいるのは、「したいからしている」状態です。魂は、この人生でしたいことを計画して生まれてきたのです。そのことを忘れてしまって、「しないといけないからしている」状態は、魂が本来望んでいる自分を生きていないということです。」(p.228)
不安や恐れが、本来の自分として生きることを阻害しているのです。
「人によろこびをもたらすということは、まず自分が充足しているということであり、魂のよろこびを表現することです。ほんとうの気配りは「おもてなし」にも通じるところであります。表も裏もなく、ありのままの自分を表現することが最高の気配りであり、愛の表現です。」(p.235)
自分自身に正直になることであり、その自分を正直に表現することですね。取り繕ったりせず、隠し立てせずに正直に自分を晒すこと。それが相手のためにもなるのです。
「心配すると心配するエネルギーが相手に飛んでいき、発信したことが実現してしまいます。悪くなったらどうしようと心配することはあっても、幸せになったらどうしようと心配することはありませんね。「良い・悪い」を分ける発想が根本の原因になっています。
心配しないようにするには? わたしたち人間は、いま・ここを体験して楽しむためにしか生まれてきていません。「とにかく何が起こってもOK!」という感じることがいちばん大事です。良いも悪いもありません。」(p.238)
何が起こってもOKというのは、結果に期待しない、結果を手放すという生き方です。そして、どんな結果であってもそれを歓迎し、楽しむことですね。
その覚悟をすることで、心配(不安)という考えを少しずつなくしていくことができます。
「あなたはもっともっと自由でいいのです。しばりやルールは人間がつくったもので絶対なものではありません。自分で変えられないものだと思いこんでいることも多いものです。そんなしばりをはずし、飛び立って、したいことを大いにしてください。
もっともっと自由で良いのです。常識というルールにとらわれた行動ではなく、いま、ほんとうにしたいことをしていいのです。」(p.242)
権力者や権威ある人から「こうしろ!」と言われたり、周りの親しい人たちから同じことを言われたりすると、ついつい自分を抑えたく感じてしまうものです。しかし、それに抗って自分に正直に生きることが大事なのです。
「人生は楽しむためにあります。あなたはこの人生を楽しむために生まれてきたのです。毎日の三次元の二極の体験から楽しみを発見し、愛を学び、宇宙からやってきた魂をさらに進化させ、あなたの役割を果たしていきましょう。」(p.245)
魂は、この制限のある世界での体験を楽しもうと思ってやってきたのです。だから、人生を楽しむことが、魂の目的に適った生き方と言えるでしょう。
実に本質的で、お勧めしている「神との対話」シリーズで言われていることが、ほとんどそのままに別の言葉で表現されていました。
こんな本質に迫る気づきを得る人がいたんだなぁという驚きがありました。そしてこのことは、おそらく井上さんだけでなく、他にも多くの気づいた人がいるに違いないという可能性を示しているとも思いました。
素晴らしい時代になったものだと思います。ぜひ、こういった本を読んで、魂の本質に気づく人が1人でも増えていくことを願っています。
2023年02月20日
100年足腰
これもYoutubeの本を紹介する要約動画を見て、ピンときたので買った本です。著者はひざのスーパードクター巽一郎(たつみ・いちろう)医師です。
巽医師は、膝痛に悩む患者たちが手術を受けたくて全国から押しかけるという、超有名な外科医です。しかし巽医師は、まずは手術をしないことをお勧めしているそうです。
そして、巽医師が推奨する方法にしたがって療養すると、膝痛ばかりか腰痛、糖尿病、高血圧、逆流性食道炎も解決するのだとか。つまり、膝痛の対症療法ではなく、健康になるための本質的な医療をされているということです。
ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。
「「手術をしてください」と言われても、最低2〜3か月はしないで保存療法をしていただくのです。
それは、ひざ痛の多くは、手術をしなくとも、自分の力で解消できると知ったからです。それは整形外科の教科書にはありません。いわば「常識はずれ」です。」(p.10)
「筋肉が少なくなっている以外は、肝臓も心臓も腎臓もお元気な状態でした。それで「太ももの筋肉を鍛える」「ひざに負担のかかる歩き方を正しい歩き方に変える」「ひざにとって負荷となる体重を減らす」ということを3か月やってみましょうと提案しました。」(p.13)
「そこで2010年から、初診に来られた方全員に1時間のレクチャーをして、患者さんとご家族に3つの保存療法を理解していただくことにしました。」(p.17)
「でも、手術には、同時にデメリットもあります。どんなに注意深くしていても、手術後に、感染症、血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞)などを引き起こしてしまうこともあるのです。これらの落とし穴を巧みに避けて、歩けるというゴールをめざします。
そもそも、僕らのからだの精緻さは、まるで奇跡。からだに備わる奇跡的なメカニズムは、感動してしまうほどで、人間のからだは自分で自分を元どおりに治すシステムを持っていることを日々見せつけられます。それを有効的に働かせることが大切です。」(p.18-19)
このように、巽医師はひざの手術のスペシャリストでありながら、人体の自然治癒力を優先するという考えの持ち主なのです。
「というのも、いちばん大切なのは、「意識から変えていく」ということだから。
100年でも長持ちするからだで、いつまでも自分の足で歩き、健康長寿をかなえたいというとき、最も大切なのは、「自分のからだへの意識」だと思うからです。
そのなかでも、「原因を見て、それと向き合う」という意識です。痛みや不調という結果ばかりに追われるのではなく、「この痛みはどこからきているのだろう」「原因は何だろう」という視点を持つということです。」(p.20)
「ですから、痛み止めを飲んだり、サプリを飲んだりして、”結果”だけを変えることには、はっきりいって意味がありません。原因がそこにある限り、結果はまた同じように再現されるからです。このことが今回私がお伝えしたいすべてだといってもいいでしょう。
原因をそのままに、逃げようとか、見ないようにするのではなく、”原因”をきちんと知り、取り除いていく。この本はそんな本だと思ってください。」(p.21)
単に痛みを取り除けばいいというような対症療法ではダメなのです。
「手術をせずにひざの痛みが解消し、歩けるようになる人がたくさんいらっしゃる一方で、いま現在でも3割の患者さんは、私が提案したことは行わず、手術を早くしてと来院されます。「やりたくない」患者さんもおられるというわけです。
僕はたくさんの方々とお話しながら、それが人間なんだと理解を深めていきます。いかに知識として入ったとしても、実践すること、そして自分を変えることは、人生では最大の難関であるということなのかもしれません。でも、それだって自分の選択です。」(p.26)
「それでも、痛みという「結果」だけを見ることから、痛みの「原因」に目を向ける。そんなふうに患者さんの意識が変わることを、僕はできるだけ気長に待つことにしています。」(p.26)
患者さんの自由意志を尊重する姿勢が素晴らしいなぁと思います。
「「年齢を重ねたら、誰でも筋肉が落ちて動けなくなる」と開き直ったり、あきらめてしまったりする人が後を絶ちませんが、「筋肉が落ちた」から、「動けなくなる」わけではないのです。それでは原因と結果が、正反対。
まず、からだの使い方を間違えているから、痛みが出て動かせなくなり「筋肉が落ちる」。僕に言わせればそれが正解です。「動く」かどうかは、自分の気持ちひとつ、正しく動かすかどうかは、意識ひとつです。正しく動かしている限り、筋肉はその年齢に適正な質と量を保つものです。」(p.35)
「たとえば筋トレする動物を聞いたことがありますか? 「速く走れる動物」はいますが、トレーニングの末に速く走れるようになったわけではありません。高度に文明化された人間だって、もとは野生動物です。
人としての本来あるべき暮らしをしていれば、必要な筋力は保たれます。」(p.36)
筋肉が重要だからと言って、ジムに通って筋トレする必要はないと巽医師は言われます。
私も少し、筋トレは不自然だなぁと感じていました。ただ、日常生活の中で身体を動かす必要がなくなってきた現代人が、その生活を変えずに健康を保とうとすると、どうしてもそういう不自然なことをやらなければならなくなるのかもしれません。
「長年、数え切れない方々の足腰を拝見するなかで、からだが正しいバランスから崩れていく「最初の入り口」を見つけました。
それは「頭が前に来る」姿勢と、その姿勢で「歩く」ことです。」(p.36)
「・歩くとき、頭を前に出す
・つま先から足を着地している
そんな歩き方は、ニワトリを思い浮かべるといいでしょう。」(p.37)
ヒザ痛や腰痛など、諸悪の根源は頭が前に出てバランスが崩れた姿勢にあり、その姿勢のままに歩くことだと言うのですね。
「ひざが激痛を生じるメカニズム「骨と骨が直接当たって割れる微小骨折」−−この原因さえ取り除いてあげれば、痛みを遠ざけることができます。
つまりは「骨どうしが当たらないようにする」ことができれば、激痛を取り除くことができます。」(p.51)
ヒザ痛は、硬い骨同士がぶつかりあって、微小な骨折をしているからだそうです。
「であれば、歩くときに内側にストレスをかけて歩けたらどうでしょうか?
そうです、微小骨折は起こらず激痛がなくなるのです。」(p.54)
ひざ痛の人に多いO脚は、膝の内側の骨同士がくっつきやすくなります。その小さな面積に圧力がかかるため、その部分の軟骨が削れるのです。
これは感覚的には逆に外側がくっつくような気がするのですが、関節の仕組みを考えるとわかります。膝を中心に外側に脚が広がれば、上下の足の骨は内側同士がくっつきます。
そうであれば、O脚を改善するような姿勢、つまりヒザを内に閉めて歩けば、ヒザの内側に隙間ができて、骨同士がぶつからなくなる。
この歩き方を「たつみ式・内もも歩き」と呼んでいるそうです。巽医師は、このように独自に考案された方法によって、ヒザ痛をなくしています。これら方法の詳細は、ここでは引用しませんので、気になる方はぜひ本書をお読みくださいね。
「そもそも、「痛み」などのトラブルが起こるのは、からだを正しく働かせていないからであり、正しくからだを使えていると、からだを支えるのに必要な筋肉の質と量は保たれます。つまり、からだに不調が起きているのは、「姿勢が悪く」「使い方が悪い」ということです。
からだを正しく使えていないから痛みが起き、それは「動きたくない」に直結します。「じっとしていたほうがラク」とばかりに、日常の運動量は減り、「体重が増える」「筋肉が減る」。するとさらに、ひざなどの痛みが増す。−−そんな悪循環が始まります。」(p.62)
悪循環を断つためにも、大本の原因にアプローチしないといけないのです。
「でも、内転筋については「人間が二足歩行をできるようになった陰の立役者」といってもいいほど大事な筋肉です。100年長持ちする足腰をめざすなら、ことのほか意識したい筋肉といえます。」(p.87)
「加齢で運動量が減ると、全身の筋肉は弱り、その量も減っていきますが、内転筋も同じです。
ある程度の年齢を重ねたら、「意識的に内転筋を使い、仕事をさせることで鍛えていく」。それくらいの気持ちでいるのが正解です。」(p.87-88)
巽医師は、ヒザ痛対策として重要な筋肉(群)として、「内転筋」「大腿四頭筋」「腹筋」「骨盤底筋群」の4つを取り上げています。中でも内転筋が弱るとO脚になりやすくなるため、重要な筋肉と考えておられるようです。
「内転筋が仕事をサボると、骨盤がゆがみ、腰を含んだ広い範囲に悪影響が及び、歩くことさえ困難になります。「腰痛」も、あっという間に悪化します。
内転筋は「骨盤底筋群」とも連結しています。
骨盤底筋群とは、骨盤の底にある筋肉や靭帯の総称です。」(p.90)
「骨盤底筋群とつながる内転筋が衰えてくると、悲しいかな、この骨盤底筋群も共倒れになり、尿トラブルや、脱腸、子宮脱が引き起こされることもあります。年齢を重ねれば重ねるほど、大事な存在というのは、そんな理由もあります。
さらに、内転筋は腹筋にもかかわっています。」(p.90)
このように、何よりも内転筋を大事にすることが重要なようです。
「70歳を超えると、かなりの人が脊椎管狭窄症の症状を経験します。その症状とは、足の裏がしびれて感覚が弱くなったり、お尻から脚にかけて痛みやしびれが出たりします。また歩くと症状が悪化し、休むとやわらぐのが特徴です。前かがみになると症状がやわらぐため、頭部はどんどん前に出て、前章でお伝えした諸悪の根源であるニワトリ姿勢にまっしぐらとなってしまうわけです。」(p.101)
「薬で痛みを和らげる対症療法ではなく、脊椎狭窄症の原因療法が何かといえば、それは簡単にいえば、体型を発症前に戻すことです。
ぽこっとしたおなかをへこめ、腹筋をよみがえらせる。そして、しなやかな脊椎の自然のカーブを取り戻す。そのために、「壁背伸び体操」と「CS体操」が有効なのです。」(p.105)
体操の詳細は本書に譲るとして、脊椎狭窄症になると、さらに頭が前に出て、身体に負担を与える姿勢になってしまうのですね。
つまり、老化で筋力が衰えたり、長時間のスマホなどの悪習慣から頭が前に出る姿勢の悪化が状態化し、それによって脊椎管狭窄症の傾向が出てくると、ますます頭が前に出る悪い姿勢が固定されてしまうのです。その根本原因を直さなければ、最終段階のヒザ痛も治らないのですね。
「「痛い」というのは「早く治して」というサインを脳はじめ全身に送っている証拠だからです。そのサインを察知して、傷口が自然治癒へと向かいます。
そんな「炎症期」は、回復を早めようとあせらず、からだを休めることがいちばんです。」(p.116)
身体が損傷した時は、まずはその部分に炎症が起こり、痛みが発生します。その時は、じっとしていること、休むことが大切なのです。
「ひざの痛みをとるためには、からだの正しい使い方を知っていただいて、おかしい場合は正してもらい、がんばりすぎない範囲で筋肉を鍛えてよみがえらせる。それと同時に体重も減らしてあげたら、ひざへの負担は軽くなって、ひざの痛みのない、一生歩けるからだへと大きく前進できる、ということです。」(p.122)
二足歩行の人間にとって、膝や腰には大きな負荷がかかっています。ですから必要以上に負荷をかけないように、減量する(痩せる)ことも重要なのです。
「僕が提唱する「たつみ式・長生きダイエット」は、シンプルです。
@「空腹の日」をつくって食べる量を減らすこと
Aしっかり消化させる食べ方で栄養をとること
このふたつを実践するダイエット法です。」(p.126)
「「食べる量を減らす」という、入れることを減らす方法のほうが、じつは「運動をするダイエット法」より効果的で長続きします。
そもそも、運動で消費できるカロリーというのは、意外と少ないのです。」(p.126)
「1週間に1日だけを食べない日にする。それを1週間でいちばん忙しい日にしてみました。」(p.128)
「「空腹の日」を1日過ごすと、翌日は自然と食べ物への感謝の気持ちが生まれます。明けた翌朝は、ゆっくりと朝食を味わい、よくかんで食べるようにします。「食べる量」がおのずと減ってくるでしょう。
食事をとるときの「意識」をこうして変えていくのです。」(p.131)
1週間に1日だけ断食を行うことで、他の日の食事の時の意識が変わると巽医師は言います。
たしかに、忙しい日に食べないことは簡単です。私も、仕事中は食べたいと感じませんから。
ただ、それだけで意識が変わるでしょうか? やはり、食事の大切さを日々考えて、意図的に意識を変えようとしなければならないと思います。
そうやって、よく噛んで、よく味わって、少なめの食事を楽しむようになれば、自然と減量されるでしょう。
「玄米に含まれる「フィチン酸」は、人が知らずに摂取してしまった食品添加物や農薬、公害汚染物質などの毒と化学結合し、体外に排泄するデトックス効果が期待できるというわけです。」(p.140)
発芽毒としてのフィチン酸などがあって、これが人体に良くないとされていましたが、良い面もあるようですね。
ただ、発芽玄米などにすれば発芽毒の害は防げるので、巽医師は6時間の吸水時間(その間に玄米が発芽するから)を勧めています。
「食べすぎの大きな原因はストレスです。もっというと、その人の心が「満たされていないという欠乏感」です。」(p.145)
食べ過ぎは良くないとわかっていても、ついつい食べてしまう。その原因はストレスですね。私もそう思います。
「痛みはからだの一部分が壊れかけたときに、それを自己修復するために起こります。
壊れかける原因は過労であったり、事故であったり、心のストレスが原因のこともあります。そんなとき、元の健康な状態に戻るために、まずからだはいつもの活動をストップするように言います。それが痛みという「信号」です。」(p.154)
健康を害した時の諸症状は浄化作用だとレイキでは言っていますが、痛みもまた同じことですね。自然治癒力を発揮させるための症状(身体の声)なのです。
「風邪をひいたとき、祖母はきまってこう言ったものです。
「熱いお茶を飲んで、ショウガか大根をすってハチミツと一緒にお湯割りにして飲んで、温かくして首にタオル巻いて靴下まで履いて寝たらええねん。寝ているあいだに汗をびっしょりかいたら、からだを拭いて、洗いたての寝巻きに着替える。それを2〜3回して朝起きたら風邪はスッキリ治る」
医学的に見ても、このj方法は最高です。まずからだを温める。水分をとる。胃や腸は休める。そして、汗と尿でウイルスを体外に排出する。」(p.164)
私もこの考えに賛同しますが、最近は西洋流の冷やすという対処法が広まっているそうです。西洋流は、熱が出たら氷水で身体全体を冷やしたり、薄着をして熱がこもらないように冷ますことをやっています。これはどうやら、発熱するのは体温を一定に保つ機能が正常に働かなくなっている、という考え方によるもののようです。
私が勤める老人介護施設でも、西洋流でやっていて、掛け布団を薄くしたり、部屋を暖めないようにしたり。本当にそれでいいのかなぁとは思いますが、施設の方針ですからねぇ。
「Kさんは初診の日は155cm 72kg。HbA1cの値が7.7で糖尿病。すでにお薬を始めて2年たっていました。素直な方で、説明会で話を聴いて納得され、「空腹の日」と「足指にぎり」運動、「内もも歩き」を始めました。「空腹の日」の初日は楽しかったが、翌週はつらかった、などと、日記に血圧や血糖値と感想を細かく記載されていました。
それらを続けて3か月たった再診日、測定すると155cm 63kg。HbA1cは6.2まで下がっていました。」(p.169)
HbA1cというのは糖尿病を判定する指標の1つで、6.2%以上が糖尿病と診断されるのだそうです。
2型糖尿病の場合は、食べ過ぎをやめて適度な運動をすれば、改善されるということですね。
「高血圧の方も、お薬を飲み続けている人がほとんどだと思います。薬をやめたら大変なことになるからやめてはいけない、と医者に言われている人も多いことでしょう。
化学物質でヒトの恒常性のバランスを崩すのはあくまでも一時的にとどめたほうがいい、というのが僕の考え方です。」(p.170)
「じつのところ、血圧のコントロール基準は、よくよく変更になります。それだけ多くの研究者がいて、いろんな論文を出しているからです。
その中のひとつに、「年齢プラス90までで、症状(頭痛・ふらつき・めまい)がなければ良い」というのがありますが、私はこれに賛成しています。」(p.170-171)
私もこの考えに賛同します。今の自分の体にとって最適の血圧になっているのですから、少なくとも緊急避難的な場合を除いて、薬で強制的に変更させてはいけないのです。
「これからも様々な論文の出現によって、目標血圧は変わっていくこともあるでしょうが、大切なことで知っておいて欲しいことは、血圧が下がりすぎる方が怖い、ということです。」(p.171)
「血圧を薬で下げることで最も問題となるのは、腎不全を招くことです。前述したように、腎臓は血流が減ると糸球体が減っていきます。腎臓が死んでいくと、からだは老廃物であふれ、からだのあちこちにむくみが出ます。」(p.171)
降圧剤によって血圧が下がりすぎると、自然に低い場合とは違って、いろいろ問題があるようです。
先ほども書いたように、今の身体にとって最適の血圧より下がるのですから、今の身体にとっての問題が拡大していきます。それは腎臓の機能低下だったり、脳の機能低下だったりするわけですね。
「よく12時になったから、今日はおなかがすいていないけれど食べよう、という人がいます。しかし、どれだけ食べるか、いつ食べるかは、その都度、からだと会話をして決めるべきことなのです。おなかがすいていないときは、食べなくてもいいとき。それを頭で食べなければと、がんばることがからだのバランスを崩すのです。
もっともっとからだの声に耳をかたむけてください。」(p.175)
私も、体の声に耳を傾けることを勧めています。
「近い将来の話、「対症療法」の害についてはやがては多くの人の知るところとなり、「薬」は半減するのではないかというのが僕の予想です。薬に頼らず、原因を自分の力で取り除こうとする流れになると思っています。」(p.175-176)
そういう世の中に早くなってほしいものです。
「痛みの対処には、温かい言葉をかけてくれる「誰か」がいることも大切です。「痛みがあるところにじっと手を当ててくれるようなやさしい存在」ということです。
それは「心に寄り添い、癒してくれる人」、つまり「ヒーラー」ともいえるでしょう。昔は、癒すことを職業にする「ヒーラー」が、いまよりもたくさんいて、活躍をしていました。彼らは「手当て」によって、病を癒してきたといわれています。
手当てで病を癒す、というと不思議な話のように聞こえるかもしれませんが、とても科学的な効果をもたらしてくれます。
「手を当てる」というのは、極論すればまわりの誰かの手を借りる必要もなく、自分の手を患部に添えるだけでも十分です。いつでもどこでも、自分で痛みを癒すこともできます。」(p.176)
ここでまさか「手当て」が出てくるとは思いませんでした。しかし、レイキは痛みに強いと私は思っていますが、巽医師もそれを実感されてるのですね。
「どちらにも近くなかったのですが、おもしろいことに、からだじゅうの筋膜を3次元で描いたものとは、多くが重なったのです。
筋肉は、離れた筋肉とも、薄い筋膜でつながっています。血流の通り道でも、神経の分布でもなく、筋膜の構造と「気の通り道」が同じ。」(p.178)
「まだ仮説ですが、「筋膜」の上を流れる「電気」こそ、「氣」の正体ではないか−−というのが、いまのところの僕の考えです。」(p.179)
東洋医学では、氣は経絡(けいらく)に沿って流れると言われます。その経絡が人体の何なのかを巽医師は独自に調べてみたのだそうです。すると、血管や神経ではなく、筋膜が経絡の図に合致すると思われたのですね。
「そして「氣」は、からだの中を流れているのに、その人の「意識」と連動していることも大切です。ですから、からだの中で、その人の意識が行き届かないところがあると、そこから不調が起こりやすくなります。ほったらかしはダメなのです。」(p.179)
筋肉を鍛える時、どの筋肉が働いているかを意識することが大切だという話もありますね。前に書かれていたように、意識を向けて身体の声をよく聞くことが大切なのです。
「そして最後にお願いしたいのは「いままでのあなた自身を、決して責めないでくださいね」ということ。
「こんなにひざが痛むようになったのは、いままでの私の歩き方、食べ方のせいだった」と、反省ばかりして、落ちこみ続けていても、なんの得にもなりません。今日から、いまこの瞬間から、からだの使い方をガラリと変えればいいのです。
むしろ、「いままでとてもがんばってくれてありがとう」とひざをいたわり、ほめてあげましょう。そして自分のからだを大切にいとおしんであげましょう。」(p.180)
後悔するとか罪悪感を抱くなど無意味なことはやめて、意味のある生き方を今からすることですね。
「つまり「生きる」ということは、「どこを見て生きているか」という選択の連続です。」(p.182)
ネガティブな面に意識を向ければ、ネガティブな考えに染まります。逆に感謝できる面に意識を向ければ、感謝と幸せの中で生きられるのです。
「僕たちのからだは、紹介してきたように、とても賢いものです。からだがすることを信じて、それにもっと向き合って、そのサインをしっかりと聞きましょう。
本当は自分で自分を治せるんだということ。誰かの言うがままではなく、軸を自分に戻し、大切なことは自分が決めるということ。自分のからだや自分自身をもっと信頼することでもあります。そんなメッセージが伝わったら本望です。」(p.188)
もしヒザ痛によって、自分の身体の声を聞いて大切にすることに気づけたなら、ヒザ痛になったことすら感謝ですね。
ヒザ痛などの原因が姿勢や歩き方にあるということは、まさにそうだなぁと思います。ですから、対症療法で痛みを緩和するだけでは、原因を根治することはできません。原因がある限り、その症状はあり続けます。原因に対処する必要があるのです。
そういう純粋に医学的な知識を伝えてくれる本だとばかり思っていましたが、後半を読んで、それだけではないと感じました。この本は、生き方を示しているのです。
身体の声を聞いて、身体をいたわり、感謝する。そういう生き方によって、私たちは幸せに生きることができるのです。
2023年02月26日
な〜んだ、君も在地球宇宙人か!?
以前に紹介した「定年後ヒーロー」が面白くて、Facebookグループ「在地球宇宙人の絆」に登録していたところ、新刊が発売されるとのことだったので買ってみました。
読み始めて初めて知ったのですが、この本は前の本の著者でもあるスピリチュアル系元国連職員のKOちゃんこと萩原孝一(はぎわら・こういち)さんと、脳科学プロフェッショナルコーチのMariaさんこと美濃みわこさん、そして光の覚醒者のHALさんの対談本になっています。
ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。
「人生には「目的」などないということです。それは困ると言ってみたら、「ならば敢えて言う。もし万が一にもお前の人生に目的があるとしたら、それは『愉しむ』ことだけである。何をするかは大した問題ではない。好きにすればいい。できれば爽やかに『在る』ことが全てである。これは人間として生を受けた者の唯一のルールなのじゃが、この掟破りをする輩があまりにも多くから人類は今意味のない塗炭の苦しみを味わっているのじゃ」
この言葉によって、私は「闘う男」から「愉しむ人」へと大変身を遂げました。」(p.23)
(※原文ママ:「多いから」ではなく「多くから」とありました。)
萩原さんは、元々はスピリチュアル体質ではなかったそうですが、国連職員として働いている時に不思議な声が聞こえてくるようになったのだそうです。
魂にとっては在り方だけが重要だということは、お勧めしている「神との対話」にもありました。状況や出来事に関係なく、自分が在りたい在り方を選択すればいいのです。
「件(くだん)の声に言われたもう一つ重要なことがありました。「このままでは人類は危ない。断末魔状態は近い。この窮状を救えるのはただ一国日本だけじゃ。」(p.25)
この声に促されて、萩原さんは退職して帰国されたのだそうです。
役割を果たすタイミングまではブラブラしていろとのことで楽しく仕事をしていたら、定年1年前に東日本大震災が起こったのだとか。その1ヶ月後、南三陸町の防災対策庁舎の目前で声が聞こえたそうです。
「私にはこの津波で亡くなってしまった魂の声がハッキリと聴こえました。それは意外なほどに穏やかな声でした。「この津波で命を落とした魂はその託された役割を嬉々として果たしただけです。ですから弔いの言葉はありがたくいただきますが、決して悲しまないでください。心配しないでください。生まれることと死ぬことはワンセットです。しかも人生に長いも短いもありません。一人として人生半ばで死んだ人はいません。しかも今我々は『極楽』にいます。こちらに来てしまったら、もうそちらには戻れません。それほどこちらは素敵なところです。」(p.26-27)
「あなたも死ぬことを恐れている間はまだまだですョ。生きることへの執着がなくなれば、他に何を恐れることがありますか。『ちょっと死んでくる』くらいの軽いノリが一番です。執着を一つずつ身体から降ろして行く作業にこそ老いの美しさがあり、愉しみがあるはずです。
我々が残されてしまったあなた方に望むことは2つだけです。1つは時々でいいから私たちのことを思い出して欲しいということ。2つ目が大切です。我々の行為を無駄にしないために、この東北の地から全地球に向けて今人類がしなくてはならないことを雄々しく発信してほしいのです。このままでは人類は滅びます。人類は全知全能の存在による最高傑作のはずなのです。こんな段階でむざむざと滅ぼすにはもったいなさ過ぎます。いまだにつまらぬ違いを巡って戦争などという愚かな行為を続けている人類にそろそろ覚醒という引導を渡してほしいのです。もはやあなたに逡巡する時間は残されていません。」(p.27-28)
「この役目を果たせるのはこの星では唯一日本だけです。だからこその未曾有の大災害なのです。選ばれてしまったのです。あきらめましょう。」(p.28)
東日本大震災で亡くなった多くの魂たちから、萩原さんはこのように宣託されたそうです。
「中途半端な軍事力ほど始末が悪いのです。本当に武力によって国を守るというのであれば、日本の選択肢はただ一つ。核兵器を持つことです。これは絶対に許されないから、一番頼りになりそうなお友達の核で日本の平和と安全を担保しようというのは論理が破綻し過ぎています。そのお友達は理由はともあれ2発も原爆を落としたという実績があることを忘れてはいけません。」(p.33)
「つまりこの次に核を使用する戦争が起きてしまえば、日本はおろか人類が滅びることになるのです。そうならないためには、日本は絶対に戦争できない国としてその存在意義を十分に発揮しなくてはなりません。」(p.33)
前作で萩原さんは、以下のように完全な武力の放棄を主張されていました。
「私の提案は、日本がこの国に存在する最後の銃弾一発を放棄して完全丸腰となることです。人類史上最大のギャンブルと言っていいほど無謀な賭けです。
失敗すれば日本国の存亡に関わります。でも日本がこの星からなくなれば人類は遠からず全滅します。座してその時を待つのも悪くはありませんが、もっと愉しいのは「七人の侍」のように誰かのために討ち死にすることです。」(「定年後ヒーロー」 p.155)
私は、これも1つの方法だと思っています。ただそこで、では具体的に中国が尖閣諸島を略奪しにかかったらどうするのか、沖縄を奪い取りにきたらどうするのか、ということまで考えておく必要があると思います。その上で、外交努力を重ねるということが大事になるのですから。
「私の中に確信があります。日本人の2%、つまり250万人に「在地球宇宙人」の意識が生まれたら、間違いなく世界をひっくり返せます。100匹目の猿現象はいとも簡単に達成できるはずです。」(p.44)
ウクライナ戦争が始まり、国連の無力さがさらけ出され、政治には期待できないことがわかってきたことが幸いなことだと萩原さんは言います。つまり、今こそ一人ひとりの意識改革(悟り)によって、スピリチュアル的に解決する道が開かれるということですね。
その具体的な方法論は書かれていませんが、お勧めしている「神との対話」でも、わずかな人々の意識が変われば世界は変わり始めるということが書かれていました。私も、そういうことがあるのかもしれない、とは思っていますが・・・。
「この宇宙に
あなたの敵は存在しません
敵とは恐怖によって
生み出された幻想です
あなたが何かに《警戒》《心配》《疑い》を感じるのであれば
それはあなたの恐怖です
恐怖はすべての苦しみの要因です
そしてすべての恐怖は
あらゆる妄想や幻想から生まれています
常識には
たくさんの恐怖や幻想がありますが
恐怖には愛をあたえ
幻想には愛をあたえてください
愛は全てを解決できます
愛は全てを可能にします」(p.73-74)
たくさんあったHALさんの詩のような散文から1つを引用してみました。まさに「神との対話」で言われている通りですね。恐れ(不安)は幻想であり、愛の対極なのです。
「なぜわたしたちは暴力と争いを続けているのでしょうか?
それはわたしたちが信じている
「善悪」「常識」「大義名分」などの
善意ある捏造(思いやりのある作り話)である
幻想によって起きています
善悪とは意見を押し付けるための道具であり
たいていの常識や大義名分は
何かをコントロールするための人がつくったものに過ぎませんが
それらを信じることで
幻想によってつくられた恐怖を感じてしまうことから
その恐怖はわたしたちの人生で
自分を喜ばす選択をしたいときでも
恐怖によって苦しい選択をさせてしまい
その結果わたしたちは人生で苦しみを体験しています」(p.79-80)
価値観は人それぞれであり、絶対的なものではありません。それなのにそれを絶対と考え、他人や自分を強制しようとする。自由を抑制し、その人らしく生きることを否定する。だから、私たちは苦しむのですね。
「金星人も
プレアデスやシリウスなどの宇宙人も
すべて善意ある捏造(思いやりのある作り話)です
すべては地球からやってきている存在です
これは宇宙の大いなる計画の一つです」(p.85-86)
「転生も同じく善意ある捏造です
わたしたちは本質的には魂の旅はしていません
わたしたちは肉体が死を迎えると
みな100%根源に帰ります
実際は本当のあなた自体が根源ですが」(p.86)
私も、○○星人だという話にはついていけませんでした。嘘くさいし、意味がないと感じていたからです。
そもそも存在するのが「ひとつのもの」であるなら、輪廻転生も方便に過ぎないとわかります。時空にとらわれた三次元空間の概念で説明しているだけですから。
「あなたは信じられないかもしれませんが
宇宙は地球が生み出しているものです
そして地球の全ての生命がいなくなると
宇宙も創造主も存在できなくなるシステムが
多次元宇宙には実在しています」(p.87-88)
地球が宇宙の中心なのか、それとも辺境で、人類はたくさん存在する生命のごく一部にすぎないのか、私は何とも言えません。けれども、それを知らなくても何も問題がないと考えています。
そして、存在するのが「存在のすべて」である「神」、つまり「ひとつのもの」だけであるなら、そのうちの一部が消滅するということは、全体が消滅することと同義ですね。
「地球を平和で安らかな世界にするには
次のことが効果的です
「みんな違っていい」
「善悪の判断をしない」
「軍隊教育の終了」
「あらゆる暴力の終了」
「管理からの卒業」
「理解・認める・許し」」(p.88)
個々については、このあと詳しく書かれています。要は、個々の自由を受けいれること、つまり多様性を認めることだと思います。すべてが自由であれば、自分もまた自由でいられるのです。
「あなたは今まで生きてきて
一度も過ちを犯してはいませんでした
あなたは今まで生きてきて
一度も間違えてはいませんでした
あなたは今まで生きてきて
一瞬でも悪いことはしていませんでした
なぜなら
あなたはただ
あなたの成長と
誰かの成長と
誰かの成長のために
あなたなりに必要なことをしただけでした」(p.102-103)
「神との対話」でも、その人の世界観において間違ったことはしない、と書いてありました。そして、どのようなことであっても、それは自分の成長に役立つものであり、また他人の成長のために役立つ贈り物であると。
次はMariaさんです。幼少期から不思議な体験を持つMariaさんですが、それを封印し、ふつうの主婦として暮らしておられたそうです。けれどもあるきっかけでその封印を解くことになったのだとか。
「現実を変えるのは自分の意識と行動でしかないということを体で覚えた私に、あの頑固な「弱者意識」はほとんど顔を出すことがなくなっていました。
そして幸せになるための究極の近道は、本当の宇宙の姿を知り、徹底的に自分を許し、過去の思考から外れることだと知ったのです。」(p.135-136)
人生から常に「さあ、どうする?」と選択を突きつけられる。恐れから自分らしくない選択をすると、幸せになれない自分がいることに気づくのですね。
「やがて宇宙空間だけじゃつまらないから生命(いのち)を創ってみた。
眺めているといつしかそれが当たり前すぎて、つまらなくなった。
だんだんそこに「自分だけ居ること」が空しくて寂しくなった。
そこで自分じゃない誰かを作ってみることにした。
自分というものを知るために。
自分と別のものが居るという刺激を味わいたかった。
ともかく遊んでみたかった。」(p.142-143)
これはMariaさんが受け取った宇宙創造のメッセージです。「神との対話」に書かれていることと、本質的に同じだと感じました。
「神との対話」では、神は自分を体験したかったのです。自分の素晴らしさを体験的に知りたかった。好奇心です。遊び心です。
「しかも自分ひとりの欲望を満たすだけなら「寂しい」のです。
何と寂しさの根源はみんなと幸せを感じ合いたいという「愛」そのものだった!
逆に言うと「寂しい」から愛を求め、愛が何かを知ることができるのです。」(p.144)
「次々と新しい体験がしたい!
それが本当の動機。つまり私たちを創った宇宙の動機。
それが宇宙の根本の意思であり波動そのものだった!
それが本当に叶うまで私たちの「寂しがりや」は続くのです。」(p.144)
これまでと同じことでは飽きるのです。つまらないのです。新しいこと、別のことを体験したくなる。そうやって、すべてを体験し尽くそうとする。それが私たちなのですね。
「実はこの世の出来事は、誰かが作ったシナリオで私たちは役割を振り当てられた役者たちであり、嘘で成りたつ世界ではないかと……。
今、地球の意識は誰もが主人公という素晴らしい時代へシフトしているのですが、その前の大前提として、今この瞬間を本当に自分が主役の人生を演じているかが重要です。
みんなそれぞれに自分主役のストーリーを持っていて、それをお互い尊重し合って成り立つ世界が「一人一宇宙」であり、新時代の地球の在り方です。」(p.146)
私も、それぞれの人生は、「私の人生」という名のドラマであり、主演も監督も脚本も自分だと言っています。
「手に「何を」差し出すかは考えなくても大丈夫
それはわたしがやります
あなたは「意志」を持てばよいだけです
あなたとわたしの共同作業が始まります」(p.156)
「起きた問題をどう「対処するか」はこちらに任せてください
あなたは人生をどう「面白く」するかに集中してください
わからなければ、面白いと思う人と寄り添ってください
あなたはその者が気が付かぬ更なる面白さを引き出すでしょう
あなたにしかできないその感性が
この地球の眠れる天才たちを光の天才に変えていきます」(p.157)
「いいですか
何があっても安心の波動でいてください
先に笑顔で照らしてください
大丈夫
心配はみじんもない
あなたは既にわたしなのだから……」(p.159)
これはMariaさんが好きな千手観音様の思いを感じた言葉だそうです。
問題の解決手法を心配しなくていいというのは、ホ・オポノポノでもそう言っていますね。
私たちが神そのものであるなら、何の心配も要らないというのが真実なはずです。私はそう思うので、「大丈夫だ」というメッセージを発信し続けたいと思っています。
「何で地球を変えるのかみたいな話で言うと、多くのオカルトや宇宙人論ですと大抵は、地球が終わっちゃう、だから何とかしようぜという、危機感に基づいてみたいなものなんです。でも、僕がもらったメッセージは「全ては愛で出来ている」。地球が恐れを克服して、地球が調和すると地球で喜びと安らぎが生まれ、その喜びと安らぎは宇宙全体に広がり宇宙全体を調和に満たします。」(p.180-181)
3人の鼎談でのHALさんの発言からです。
最初の萩原さんの言葉に、このままでは人類が滅亡するというような、ある意味で不安を煽るようなものがありました。これは「神との対話」シリーズにもあります。けれども、実は人類が滅亡することはどうでもいいことなんですね。だって、生命(神)は不滅ですから。
だから萩原さんが受け取ったメッセージも「もったいない」と言われているのです。せっかくここまで来たのだから、また一からやり直しはもったいないのです。
つまり、人類滅亡ということを不安視するのではなく、たしかにそうなる可能性はあるけれど、まあそれも1つの方法だよね、というくらいで、楽しみながらやるのがいいと思っています。
「そういう競争力が強い人の方法ではなくて、競争力の弱い人でもできる万人向けの方法を使えばいいのです。本当に世界の平和とか宇宙平安を生み出すのは、その大多数の人たちの幸福感で、その人たちができることを今の時代に行う。それこそ、最新の魂である私たちみんなが地球に来た目的なんじゃないかなというのが、僕が宇宙から受け取っているメッセージなんです。」(p.183)
1人のスーパーヒーローに導かれてとか、競争に打ち勝ったエリートたちによる管理支配によってではなく、それぞれの人がそれぞれの人生を楽しんで幸せになることで、社会全体が平和で幸せなものになっていく。そういう時代になっているのかもしれません。
「家庭の中だったら、例えばすごく暴力を振るう親とか夫がいるじゃないですか。パワーで抑えつけるとか。やたら不機嫌をまき散らしてみんなを従わせたりね。事情はどうあれ、それをしょうがないことだって受け入れちゃいけないんです。私はとにかく「何でそんなことが起きるのか」という点にフォーカスしていきました。「劣等感」を持つ人の行動パターンであることや、また様々な脳の機能不全が関係していることも事実ですが、結局はその元凶も「恐れ」から派生しているわけです。加害者も被害者も「恐怖」に支配されているんです。そうなれば初めから被害者も加害者もいないことになりますよね。」(p.205)
Mariaさんはこのように、「恐れ」が被害者も加害者も生んでいると言います。恐れから他人を支配しようとするのが加害者。恐れから他人の支配に甘んじてしまうのが被害者。まさにその通りだと思います。
「でも一つだけ間違いのないことがある。これは宇宙の法則と受け取っても良い。それは愛に生きるということ。実は生きていることの目的が愛を学ぶということなんだ。こんなことを言っても君たちには多分通じないから、現実的な話をしよう。
なぜ愛に生きるとイイことが起こるのか? それは、愛に生きてさえいれば、食いっぱぐれがないからだよ」
当然ながら教室はシーンとなりました。ドン引きでした。」(p.211)
萩原さんは大学で教えていたこともあるのですが、「環境と経済」に関する講座の最後に、本質的な話をしたのだそうです。けれども学生たちは、まったく反応がなかったのだそうです。
まあ、いつか理解してくれる日も来るだろう。そう思って、授業を終えたそうです。しかし、学生たちが無反応だったのには理由があったのだそうです。
「あまりの無反応ぶりにガッカリしたのですが、そうではなかったのです。全員リアクションペーパーを提出してくれたのですが、その中に「先生、あのことは我が世代は知っているんですよ」とか「今更ですか?」とかを書いてきやがったのです。」(p.212)
そうなのです。今の若者たちは、私の世代よりもはるかに進化しています。私もそれを実感しているので、日本は安泰だ、人類は安泰だと思っています。
「おっしゃるように、政治家は守るのが仕事なんで、世界平和に向いていない。世界平和は政治家じゃないところでやっていく。」(p.225)
政治的な取り組みでは、分離を前提としているので、自分(たち)を守る(他者を攻撃排除する)ところから抜け出せないのですね。
「人を許すというのはちょっとハードルが高い。頭では許せますよ。でも、本心が許せない。だから人を許しやすくするために自分を許していくという作業をする。それが完全な愛。自分への愛といい、それこそが「癒やし」です。なぜ自分への愛が完全な愛なのか? 自分への愛には自己犠牲がないからです。」(p.227)
政治ではなくスピリチュアル的に世界平和を目指すには、愛を広めていくしかありません。私たち自身が、本当の愛に目覚めていくことが重要です。
そのためには、まずは自分を愛すること。存在するのは「ひとつのもの」だから、自分を愛するとはすべてを愛することだ、というような説明が「神との対話」にはありました。
ここでは、自己犠牲がないのが自分への愛だから、完全な愛は自分を愛することだと言っています。これはなかなかいい説明だなと思いました。
「真面目に考えすぎると、自分のお墓まで心配することになるわけです。それは生きている人にお任せすればイイと思うのです。
大切なことは、明日死ぬかもしれないという意識をいつもどこかに持っていること。そして今この瞬間をどう精一杯生きるかということが全てです。」(p.234)
日本人は死を辛いものとか、忌み嫌うものと考えてしまいがちだと萩原さんは言います。死生観が真面目すぎるのだと。
どうなってもいいし、どうなっても上手く行っていると達観すれば、お任せすることができますね。ある意味で、そういういい加減さが必要だと私も思います。
「どうか想いだしてください
全ては愛で出来ています
わたしたちに敵は存在しません
存在しているのは恐怖だけです
伝染病の感染を恐れなくても大丈夫
ワクチンの接種を恐れなくても大丈夫です
すべては私たちみんなが
美しく変化するためのプロセスです
わたしたちは
快適で安心して暮らせる世界に
変化しているだけです」(p.256-257)
「マインド革命で重要なこと
それは自分が異質に感じるものを
理解すること
許すこと
そして手を取り合うことです
もちろん「和して同ぜず」です
手を取り合う人と同じ自分にならなくて大丈夫です
あなたらしく自由に生きて大丈夫です
あなたを許してお過ごしくださいね
それが宇宙全体が望んでいることですから」(p.258)
最後はHALさんからのメッセージを引用しました。
すべては上手く行っています。ですから恐れずに、不安にならずに、他人の自由を受け入れ、自分も自由になることですね。
それにしても実にスピリチュアル的な内容でした。
以前だったら、こういう内容は世間に受け入れられなかったと思うし、私自身も受け入れなかっただろうと思います。
しかし、時代は変わりましたね。私自身も変わりました。ですから、これからも変わっていくと思います。
私はこれからも、「大丈夫だ! 安心して自分らしく生きよう!」というメッセージを発信し、そのように生きたいと思います。
そんなことを、改めて思わせてくれた本でした。
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