2020年03月01日

GRAB配車アプリでタクシーを選べなくなった!?

タイ・バンコクで、時々、GRABを利用しています。

これは配車サービスと呼ばれるもので、タクシーなどをオンラインで呼ぶことができるのです。

最近は、呼んでもすぐ来てくれないことがあって、たまにGRABカーを使うだけで、GRABタクシーは使っていませんでした。

ちなみに、GRABタクシーというのは、通常のタクシーを呼ぶもので、メーター料金+25Bで利用できます。

一方のGRABカーは、一般の人が小遣い稼ぎで車に同乗させてくれるもの。いわば白タクですね。でも、配車アプリで呼ばない限りは乗れないので、雨が降った時などは、かなりの確率で来てくれます。それに車も割と高級です。


最近、あまり使っていなかったのですが、車だけではなく、オートバイも呼べたり、その呼んだオートバイに自分が乗るのではなく、デリバリーを依頼することもできるようです。さらにさらに、運転手だけの派遣を依頼できたり、逆に車だけ(自分が運転する)の依頼もできるようです。

UBERが撤退したこともあってか、どんどんサービスを拡大しているGRABですが、最近、ふと気付きました。「タクシーがない!」

アプリがアップデートされていて、以前のようにGRABカーやGRABタクシーを選択するメニューがないのです。

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「あれっ?タクシーはどこへ行ったの?」

アプリを探してみてもわかりません。「more…」を開いても何もないし・・・。とりあえず「Car」を選択しますが、近辺を走っているのはGRABカーと思われるものだけです。

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「おかしいなぁ?」と思いつつも行き先を入力すると、「Just Grab」と表示されていて、もっとも近い車が選ばれる設定になっていました。

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これ、すぐにはわかりませんよねぇ。いや、私がわからなくて、「タクシーがなくなった〜!」って騒いだんですけどね。(笑)

後で、他の人から指摘されて気付きました。ここに「View All」とあって、これをタップすると、メニューから車の種別を選べるようです。

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しかし、これはわからんわぁ。アプリが更新されると、こういうことがあるんですね。


どおりで、いくらネットで「GRABタクシー なくなった?」とかで検索しても出てこないわけです。

と言うことで、もし私と同じように、GRABタクシーがなくなったと勘違いしている人がいれば、役立つかなと思って記事にしておきます。参考にしてくださいね。(笑)

p.s. 一度GRABタクシーを選択すると、次からはJUST GRABではなく、GRABタクシーが優先表示されるという情報もありました。確認していませんが、参考にしてみてくださいね。
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 18:15 | Comment(0) | └ タイのお役立ち情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月02日

嫌なこと、全部やめても生きられる



面白そうな本を読みました。著者はプロ奢ラレヤーさん。他人から食事などをおごってもらうことで、働かずに暮らしておられる方です。最近は、noteの有料記事などで毎月100万円以上の収入があるそうですが、相変わらずおごられる生き方をされているとか。

この本は、おそらくSNSで知ったのだと思いますが、面白そうだったのでKindle版で購入して読みました。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

そこ から 日本 に 帰国 し た あと は「 プロ 奢 ラレヤー」 として、 ツイッター を 介し て だいたい 月 50〜 60 人 ほどから メシ を 奢ら れる 生活 を かれこれ 3 年 ほど やっ て い ます。 つまり、「 他人 の カネ で 焼肉 を 食べる」 のが 僕 の 今 の 仕事 です。 そう です。 他人 の 金 で メシ を 食べ て い ます。」(Kindle の位置No.17-20)

普通のサラリーマンにはなれないと感じた彼は、わずか20万円弱のお金でヨーロッパなどを3ヶ月ほど放浪したそうです。その後、帰国してからも働きたくなくて、プロ奢ラレヤーになったのだとか。


というのも 僕 は 銀行 口座 に お金 が なく ても「 不安」 に なっ た こと が あり ませ ん。 でも 多く の 人 は、 不安 に なる らしい。 一体 この 違い は なん なのか?   それ は 結論 から いえ ば、 僕 は お金 以外 の「 何 か」 を通して「 安心 し て いる」 から です。」(Kindle の位置No.129-131)

どういう精神をしていれば、そんな生活ができるのか? と不思議になりますよね。その一端が、この文章から読み取れます。お金がなくても不安にならない。安心していれば、何とかなっちゃうんですね。

お金 の こと を 考える と 漠然と し た 不安 感 を 持つ という 人 は、「 お金」 が 足り ない と いう より「 安心」 が 足り て い ない のでは ない でしょ う か。」(Kindle の位置No.147-148)

発想の転換ですね。お金が足りないから不安になるのではなく、そもそも安心が足りないから些細なことで不安になるのです。たしかに、心配性の人の発想は、何とかして心配のタネを見つけようとしている、という気もしますからね。


僕 の 経験則 では、 家 が ショボ く ても 毎日 を 楽しむ こと は 可能 だ けど、 自由 な お金 が ない と 精神 が 死ぬ ん です。 だからこそ 収入 が 低い 人 ほど みんな と 同じ よう な 消費 を 見直し て、 固定費 を 減らし た ほう が ラク な ん です よ。」(Kindle の位置No.538-540)

彼のポリシーは、生活の中の固定費を減らすこと。そこに価値をまったくおかないのだとか。一番大きいのは住居費。そして食費です。ですから彼は、食事をおごってもらい、泊めてくれる人の家を転々として暮らしたのだそうです。それでも、自分が何かしたいと感じることに対して使えるお金があることが重要だという考えなのです。


手取り 15 万 円 の 中 で、 どこ まで 価値 を 最大 化 し て、 人生 を 楽しん で いく のかは 自分 次第 です よ。 子ども の 頃 10 円 を 手 に し た 時 の 気持ち を どこ まで 持ち 続け られる か。「 手取り 15 万 円 で 豊か に 生きる こと」 は 決して 簡単 では ない けど、 不可能 では ない と 僕 は 思い ます。」(Kindle の位置No.749-752)

手取り15万円で嘆く人たちが多いようですが、彼は別の発想をします。「たった15万円」ではなく、「15万年もある」と思える使い方を考えるのです。


僕 は、 一切 貯金 を し て い ませ ん。 別 に 長生き し たい とも 思わ ない し、 老後 に やり たい こと も ない し、 まあ 死ぬ とき は 死ぬ し。 しょうが ない じゃ ん って 感じ。 積極的 に 死の う とは 思わ ない けど、「 死」 は どうにも でき ない こと なので、 気 に 病む 時間 の ほう が もったいない です。」(Kindle の位置No.763-765)

死ぬことさえ心配していないのですから、最強ですね。私も、こういう生き方をしようと思い始めたところです。


今 でき ない こと は 老後 にも どうせ やら ない ん です よ。 だって 今 やり たく ない ん だ から。 老後 なんて 体力 も 落ち てる し、 もっと やり たい と 思え ない でしょ。」(Kindle の位置No.783-784)

定年退職したら何かをしようと考えている人たちに対する警鐘でもあります。やりたいことは、今すぐやるべきですね。


「好きなことを見つけろ!」って声がでかい人は、人生の序盤にたまたまそれが見つかっていた結果、声がでかくなっているだけなんですよ。早く見つけてるからこそ、長い時間と金をかけて成功しているわけだし。
 好きに出会うためには時間と金も必要です。何の習い事もさせてもらえない幼少期を過ごしたとしたら、それで「好き」に出会えるほうが奇跡じゃないですか。
」(Kindle の位置No.1205-1208)

「好きなことをやって生きろ」という声に対して、そう簡単に好きなことが見つかるわけでもないし、仮に見つかっても、それで上手くいくわけではないと彼は言います。それよりも、嫌いなことをやらないことの方が、人生の質は上げやすいという主張なのですね。


いずれにせよ、他人と比べるのは決して悪いことじゃありません。人間の当然の本能だと思います。ただ比較する際は、「この中で自分はどれぐらい上なのだろうか」という際限のない比べ方ではなく、「この中で自分は、自分にしかない価値を見出だせているのだろうか」という比べ方のほうが、ずっと幸せになれるバリエーションは多いんじゃないかなと思います。ランキングバトルは、結局1位しか幸せになれないんですよ。」(Kindle の位置No.1620-1623)

よく比較することが悪いという人がいますが、私はそうは思いません。彼と同様、ランキングバトル的な比較は無意味ですが、自分自身をよく知るという意味での比較は、むしろ良いことだと思います。


「不快なもの」の存在を認める、ということは非常に難しいのかもしれないけれど、自分以外の「正義」も存在するということさえわかっていれば、人生はラクになります。
 基本的に他人に厳しいのは、我慢ばかりしている人です。我慢するのをやめれば、自然と他人にも優しくなれるし、他人に優しい人は我慢する必要がありません。他人に厳しくした数だけ、我慢しないといけないことがそっくりそのまま自分に反射して戻ってくる。他人に厳しいことばかり言う人は、他人を殴っているようで、未来の自分を殴っているのです。
」(Kindle の位置No.1665-1669)

価値観は人それぞれなのですが、それが認められなくて、同調圧力を強める人が多いのが日本社会です。それは他人に厳しくしているようでいて実は自分に対して厳しくしているのです。だから我慢しなければならなくなり、自分自身が疲弊する。だから、うつ病などが増えるのかもしれませんね。


漠然と知っていたプロ奢ラレヤーさんのイメージが、ガラッと変わる本でした。もっといい加減な人かと思っていましたが、実にしっかりとした考え方をされているのです。

私も、彼に共感する部分が多いです。私におごってくれる人がいたら、喜んでお受けしたいと思います!

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 16:29 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月07日

あふれでたのはやさしさだった



何でこの本を知ったのか忘れてが、おそらく日本講演新聞(旧みやざき中央新聞)だったと思います。ひょんなことで奈良少年刑務所で詩の教育を担当することになった著者で作家の寮 美千子(りょう・みちこ)さん。体当たりで始めた「 社会性涵養 プログラム」での教育が、受刑者たちの心の扉を開く奇跡を次々に起こしていったことが、この本には書かれています。

人はなぜ犯罪に走るのか? 犯罪者を真に反省させ、更生させるには何が必要なのか? そんなことを考えさせてくれる内容になっています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

そんな 彼ら は、 心 の 扉 を 固く 閉ざし て い た。 自分自身 の 感情 も わから ない ほどに。
けれども、 その 鎧 を 脱ぎ捨て、 心 の 扉 を 開け た とたん、
あふれで て き た のは、 やさし さ だっ た。
重い 罪 を 犯し た 人間 でも、 心 の 底 に 眠っ て いる のはやさしさなんだ。
ほんとうはだれもが、愛されたいし、愛したい。人間って、いい生き物なんだ。
彼らに出会って、わたしはそう確信するようになった。
」(Kindle の位置No.14-16)

受講 生 の 一人 が、 固く 閉ざし て い た 心 の 扉 を 開く と、 連鎖反応 の よう に、 次 から 次に 心 の 扉 が 開か れる。 する と、 みんな が 心 の 奥 に しまっ て い た つらい 体験 や、 悲しい 出来事 を 堰 を 切っ た よう に 語り だす。 それ を きっかけ に、 とめどなく「 やさし さ」 が あふれ て くる。 仲間 を 慰める 言葉、 自分 も 同じ だっ た と 共感 する 言葉が、教室にあふれかえるのだ。」(Kindle の位置No.93-96)

友 から やさしい 言葉 を 浴び た 少年 たち は、 わたし の 目 の 前 で 変わっ て いっ た。 まるで 蛹 から 蝶 に なる よう に 一瞬 に し て 変わる 様子 を、 何度 目 に し た こと だろ う。 まったく 無表情 だっ た 少年 が 微笑み、 はげしい チック 症状 が ピタッ と 止まり、 吃音 が 消え、 ならず者 の よう な 子 が 自ら 姿勢 を 正し、 ひどく 引っこみ 思案 の子が手を挙げ発言するようになった。魔法だった。奇跡だと思った。」(Kindle の位置No.101-105)

詩 によって 自分 を 表現 する。 それ を だれ かに 受けとめ て もらう。 たった それ だけの こと で、 人 は こんなにも 変わる。 言葉 に そんな 力 が あっ た のか、 と 驚き を 禁じ 得 なかっ た。 自身 が 詩 も 書く 作家 で ある のに、 そこ まで 言葉 の 力 を 信じ て い なかっ た。」(Kindle の位置No.108-111)

わたし は 確信 し た。「 生まれつき の 犯罪者」 など い ない の だ と。 人間 は 本来、 やさしく て いい 生き物 だ。 それ が 成長 の 過程 で さまざま な 傷 を 受け、 その 傷 を うまく 癒 や せ ず、 傷跡 が 引き つっ たり 歪ん だり し て、 結果的 に 犯罪 へと 追い込ま れ て しまう。 そんな 子 でも、 癒 やさ れ、 変わ れる こと が ある の だ と、 心から 信じ られるようになった。」(Kindle の位置No.119-122)

約10年間、186名の受刑者の教育を担当された寮さんは、この奇跡的な成果を目の当たりにして、人間の素晴らしさを実感されたようです。

犯罪者になりたくてなった人などいない。彼らの置かれた環境によって、彼らは自分自身を守るために、犯罪者にならざるを得なくなったのだと。

そうであるなら、彼らと犯罪者からまっとうな社会人に引き戻す力も、環境にはある。その環境とは、何ら根拠もなく彼らを信頼し、受け入れる人々なのです。


犯罪 にまで 至っ て しまっ た 人 に 共通 し て いる のは、 彼ら を 取り巻い て い た 環境 の すべて から『 正しい 愛情 を 受け た こと が ない』 という こと では ない でしょ う か。 だから、 心 が 育っ て い ない の かも しれ ませ ん。 本来 の 自分 を 否定 さ れ 続け て いる ので、 自己 肯定 感 が 育た ない。 その 結果、 自尊 感情 も 育た ない。 自分 を 大切 に できでき ない 人 に、 他人 を 大切 に する こと は でき ませ ん。 だから、 犯罪 も 可能 に なる のでは ない かと 思い ます。
 親 から 否定 さ れる、 捨て られる。 そんな つらい 思い を し たら、 心 を 閉ざし て しまっ ても 仕方 あり ませ ん。 内側 に 大きな 怒り を 抱えこみ、 悲しみ を 悲しみ とも 感じ られ ない よう な 状態 です。 する と、 うれしい 楽しい、といったプラスの感情も感じられなくなってしまうのだと思います。
」(Kindle の位置No.377-382)

愛情とは、「あなたはそのままで素晴らしい!」「私にとってかけがえのない存在です」という人の思いです。それを感じてこられなかったから、彼らは鎧をまとうしかなかったのです。


この 本 を 書く にあたり、 この とき、 細水 統括 の やり たかっ た こと を 改めて 聞か せ て もらっ た。「 彼ら の 物語 を 書き換え て あげ たかっ た」 と いう。 苦しみ に 満ち た 悲惨 な 記憶 の なか にも、 きっと 美しい 記憶、 愛さ れ た 経験 が ある はず だ と。 ほんの か けら の よう な 小さな 記憶 でも いい、 そこ に 光 を 当て、「 愛さ れ た 経験」 を 取り戻す取り戻す こと で、「 悲しみ を 悲しみ として 受けとめる 感性」 や「 人間 らしい 気持ち」 を 取り戻し て ほしい。 そう すれ ば、「 すべて を 怒り に 変え て、 犯罪 に 向かわ なく ても すむ よう に なる はず だ」 と。
「短く て 美しい 言葉 を、 繰り返し 繰り返し、 寄せ ては 返す 波 の よう に 彼ら に 体験 し て ほしかっ た」 とも。「 そうすれ ば、 彼ら の なか で 切れ切れ だっ た もの が つながっ て、 やがて ひと まとまり の 物語 に なっ て いく と 思う ん です。 思考 が 構造 化 さ れ、 人生 を 見通せる よう に なる 気 が し まし た。 だから『 童話』 や『 詩』 が、 大切 だ と 思い まし た」
」(Kindle の位置No.439-447)

寮さんが行ったのは、絵本や詩による自己表現です。私は「詩」というものが苦手だったのですが、この本を読んで、詩を難しく考えすぎていたなぁと感じました。ただ感じたことを言葉にすれば、それはすでに「詩」なのです。

そして、言葉によって自らを表現し、それを仲間たちに受け入れてもらえるという体験によって、彼らは変わっていったのです。


この 瞬間、 いきなり なに かが 変わる。 ほんとう に、 一瞬 で 変わる の だ。 演技 を し た 子 たち が、 びっくり し て みんな の 拍手 を 聞い て いる。 それ が、 戸惑っ た よう な 表情 になり、 ゆっくり と 笑顔 に 変わっ て いく。」(Kindle の位置No.685-687)

絵本の朗読をしてもらうだけでも、彼らには自己表現になる。それによって、変わっていくのです。

驚い た。 これ っぽ っ ちの こと なのか。 たった これ だけで、 人 は いきなり 変わる もの なのか、 見た目 で わかる ほどに。 つまり、 この 子 たち は、 いま までの 人生 で、 これ っぽ っ ちの 受けとめ もさ れ て こ なかっ た、 という こと なの だろ う か。」(Kindle の位置No.694-696)

ただ普通に読めただけで受け入れてもらえる。ダメ出しせずに受け入れてもらえるということによって、人は簡単に変わるのです。


ある とき、 緘黙 に 近い 受講 生 が やってき た。 絵本 の 朗読 の 授業 で、 彼 に 振る と「 無理 です。 ぼく、 でき ませ ん」 と 言う。 する と、 乾 井 教官 が 満面 の 笑み を 湛え て こう 返し た の だ。
「そう か、 でき ない か。 よく 言っ て くれ た!   やら なく て いい よ。 でも、 やり たく なっ たら、 いつ でも 言っ ていい ん だ ぞ」
 それ を 聞い た 受講 生 の 一人 が、 むくれ 顔 で 言っ た。
「え えっ、 先生、 そんな の あり です か。 だっ たら ぼく も、 やら なかっ た のに なあ」
 乾 井 教官 は、 にっこり し て 抗議 を し た 子 に 頷く と、「 でき ませ ん」 と 言っ た 子 を 見 て、 こう 言っ た の だ。
「ほう ら、 きみ が『 でき ませ ん』 って 勇気 を 出し て 言っ て くれ た おかげ で、 この 教室 には『 し なく て いい』 っていう 選択肢 が 生まれ た ん だ。 みんな、 きみ に 感謝 し て いる と 思う よ」
 みんな が 笑顔 になり、 教室 に なごや かな 空気 が 流れ た。
」(Kindle の位置No.738-746)-741)

完全に受容するというのは、こういうことなのですね。どんな選択肢でも容認する。これは、「神との対話」シリーズで言っている神の対応ではありませんか。つまり、完全な愛なのです。


じっくり 待っ て みる と、 驚く べき こと に、 必ず 声 が 出る の だ。 言葉 の 出 にくい 子 は 何人 も い た が、 その 全員 が、 最後 には 必ず 声 が 出 た。 待つ と いっ ても、 何 十分 も かかる わけ では ない。 ほんの 数 分 の こと だ。」(Kindle の位置No.985-987)

ようやく 発する こと が でき た その ひと言 の 後ろ には、 言い たい こと が 芋づる 式 に ぶらさがっ て いる から だ。 だから「 はい。 ぼく も そう 思い ます」 と 返答 し た その後、 ひと 呼吸 置い て、 言い たかっ た こと が ツルツル と 出 て くる。 ああ、 この 子 は ほんとう は しゃべり たかっ た の だ、 彼 の 言葉たちはみな、重石を付けられて外に出てこられないでいたのだ、と実感する。」(Kindle の位置No.991-993)

困難 を 抱え、 刑務所 まで 来 て しまっ た 子 でさえ、 信じ て 待て ば、 自分 から 成長 する。 それ も、 目 を 見張る ほどの 成長 だ。 どんな 人 も、 心 の なか に 光 に 向かっ て 伸びる 種 を 持っ て いる。 その 見え ない 種 の 力 を 信じ て 待つ こと を、 わたし は 刑務所 の 受講 生 たち から 教わっ た の だっ た。」(Kindle の位置No.1037-1039)

「待つ」ということは、相手を否定しない、つまり受け入れるということなのですね。人は、待っていれば必ず成長する。その信頼を持つことが、何よりも重要なのだろうと思いました。


深く 苦しん だ 人 ほど、 他人 の 苦しみ を 理解 できる。 だから 彼 は、 人生 相談 の よき 聞き手 に なる こと が でき た の だろ う。 過去 は 変え られ ない。 けれども、 いま を どう 生きる かで、 人 は 過去 に あっ た こと の 意味 を 変える こと が できる。 つまり「 過去 は 変え られる」 の だ。」(Kindle の位置No.1198-1201)

社会 の なか で、 いちばん 困っ て いる 人、 困難 を 抱え て いる 人 を 支援 する という のは、 その 人 の ため だけの こと では ない の だ。 その 人 の 困難 が 解消 すれ ば、 みんな が 気持ちよく 前向き に 生き て いける 社会 に なっ て いく。 追い詰め られ て 犯罪 に 走る 人 も 減る。 被害者 も 減る。 だから、 障害者や 老人、 経済的 弱者、 虐待 を 受け て 心 に 傷 の ある 人 など「 弱者」 への 支援 が 大切 なの だ。 なん でも 根性論 に 帰し て「 自己責任 だ」 と 放置 し、 排除 すれ ば する だけ、 弱者 は 追い詰め られる。 その せい で、 周囲 に 負 の 影響 が 生じ て 社会 全体 の 困難 が 増す。 当然、 犯罪 も 増える。 みんな が 疑心暗鬼 に なる ギスギス し た 世界 に なっ て ししまう。「 情け は 他人 の ため なら ず」 という 言葉 通り、 支え あい 助け あう こと は、 ほか でも ない、 巡り 巡っ て 自分自身 の ため に なる こと なの だ。」(Kindle の位置No.1312-1318)1312-1314)

私たちは、それぞれにそれぞれの困難を抱えて生きてきました。そうであればこそ、他人の困難に共感し、支援の手を述べることができます。そしてそのことで、自分自身の過去を変えることができます。さらにそのことで、社会全体を変えていけるのです。


遠回り に 思え ても、 彼ら に対して 人 として 向き あい、 あなた も また 大切 な 一人 の 人間 な ん だ と 心から 伝え、 固く 閉ざし た 心 の 扉 を 開い て もらい、 自分 の 命 の 大切 さに 気づい て もらわ なけれ ば なら ない。 そこ に 気づい て こそ、 他者 の 命 の 大切 さ、 人生 の かけがえ のなさに、 彼ら は ようやく 気づく の だ と 思う。 そして、 自分 の 犯し犯し た 罪 の 大き さを 思い知り、 深く 悔い、 罪 を 背負っ て、 つぐない の 人生 を 歩み はじめる。」(Kindle の位置No.1915-1919)

社会性 涵養 の 教室 に い た のは、 自分 たち と 同じ 境遇 の 仲間 たち だっ た。 だから、 安心 し て 自己 開示 し 自己 表現 でき た。 表現 する こと 自体 が、 一つ の 癒 や し に なる。 そこ には、 受けとめ て くれる 仲間 が いる。 それ が、 さらに 深い 癒 や し を もたらし た に 違い ない。
 グループ だ から こそ、 一対一 とは 違う 大きな うねりが 生まれ、 互いに 交感 し あい、 連鎖反応 を 起こし、 次 から 次に 心 の 扉 を 開け た の だろ う。
」(Kindle の位置No.1995-1999)

同じ犯罪者だからこそ、犯罪者に対して共感できる、ということがあるのかもしれませんね。1対1ではなく、仲間たちと一緒だったから、効果を上げることができた。そういうことがあるのかもしれません。


奈良少年刑務所で行われた、「 社会性涵養 プログラム」は、月に3回で、寮さんの詩のクラスはそのうちの1回です。他に絵のクラスも行われています。したがって、詩のクラスだけの成果ではないことは、寮さんも指摘しておられます。

しかし、わずか月3回、半年間だけのプログラムで、心を開いてコミュニケーションが取れるようになるという見た目の変化が起こったことは事実です。

この成果が、多くの場所で活かされるといいなぁと思います。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 18:38 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月27日

どんなステキな色か見せて



Twitterで紹介されていて、興味を覚えたのですぐに買ってみました。Kindle版の小説です。著者は比嘉ダイヤ(ひが・だいや)さん。表紙にもあるように、LGBT、発達障害、虐待、ポリアモリー、霊的体験がてんこ盛りの小説です。多様性ということ、愛ということを、深く考えさせられる内容になっています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。ただ、これは小説なので、ネタバレにならない範囲で引用します。

最初に、この小説の体裁を説明すると、主人公のエリが、親しい友だちに、自分のことを話すというスタイルで物語が進んでいきます。したがって、登場人物は他にたくさんいても、語っているのはエリだけです。

ちょっとおちゃらけた感じのエリですが、発達障害があり、子どもの頃から霊的体験もしていて、母から虐待を受けたトラウマがあります。そんなエリが、自分がポリアモリーだということに気づいていく中で、自分の心の問題と向き合っていくのです。


自分が特定のパートナーとだけ関係を持つモノガミーだと思っていて、男性(タクヤ)と結婚したエリ。しかし、魅力的な女性(エステラ)と出会ったことで、ポリアモリーだと気付かされることになります。そこでエリは、タクヤにカミングアウトすることに決めました。

以下、断片的に引用しますが、エリが自分の心に正直に生きようとする姿が見て取れるかと思います。


あたし は 性別 問わ ず、 たくさん の 人 を 好き になり ます。 これ が あたし の セクシャリティ。 これ が あたし の パーソナリティ。 だから 変え られ ない。 これ が 本当 の自分 なの。
 そう やっ て 自分 の セクシャリティ を ハッキリ と 自覚 する こと。 それ が、 まずは 大切 な 第一歩 だっ た。
」(Kindle の位置No.467-470)

あたし は 彼女 への 恋 を通して、 どんどん 本当 の 自分 を 取り戻し て いっ た の。
 無意識 の うち に、 社会 常識 に 合わせ て 抑圧 し て 閉じ込め閉じ込め て い た 自分 を、 一つ ずつ 取り戻し て いったん だ よね。
 たま しい を 解放 さ れる 喜び で いっぱい だっ た よ。
」(Kindle の位置No.498-500)

それ って エゴ じゃん。 相手 の ため に 与える 純粋 な 愛 では ない じゃん。 なー ん だ。 そう 思っ たら すごく 気 が 楽 に なっ た の。
 嫉妬 イコール 愛 だって 思っ て た のは 完全 に 間違い だっ た って。 だから 反射的 な 怒り や 反発 は ある だろ う けど、 三日 も すれ ば その 状況 に 慣れる と 思う。
」(Kindle の位置No.584-586)

コツ として は、 お互い に 自分 の ルール を 簡潔 に 説明 する こと。 その ルール の 背景 を 理解 し て もらっ たり、 共感 し て もらっ たり する 必要 は ない の。 お互い に 自分 の ルール を 説明 し あっ て 共通点 を 探し て、 一緒 に い られる 場所 を 探す こと。」(Kindle の位置No.601-603)

それ を 聞い た 彼 が どういう 選択 を する のか、 それ は 彼 が 決める こと だ。 それ は あたし の コントロール できる こと じゃ ない。
 すべて を 包み隠さ ず 話す こと。 あたし に できる こと は そこ まで。 それで 彼 が どういう 選択 を し た として も、あたしはそれを受け入れるしかない。
」(Kindle の位置No.667-669)

どっち が 幸せ か、 どっち がより 自分 らしく 素直 に 生き られる か って いつも 考え てる の。 社会 常識 よりも 自分 の 心 に 従っ てる。 自分 の 心 を 無視 し て 生きる なんて、 あたし には 無理 な ん だ。」(Kindle の位置No.888-889)

きっと あたし 以外 にも、 スピ や 発達障害 の こと で 自分 を ごまかし て 否定 し て 生き てる 人 が たくさん いる だろ う ね。
 誰 もが 自分 らしく のびのび と、 ありのまま に 生き て いける 世の中 だっ たら いい のにね。
」(Kindle の位置No.1223-1225)


自分に正直であること。そして相手にも正直であること。「神との対話」でも語られていますが、「正直」ということが、重要なキーワードだと思います。

そして、自分の価値観を他人に押し付けないこと。他人のことは他人が決めればいいという、アドラー心理学の「課題の分離」が重要だということも語られています。相手を自由にさせることが愛なのです。

そうすれば結果として、多様性を受け入れる社会になります。多様性とは、それぞれが自由に自分自身でいられるということなのです。


こうしてエリは、自分自身と向き合い、ありのままの自分を受け入れることで、変わろうとします。しかし、どうしても弱い自分が現れてしまいます。そんな時のコツも語っています。


この 浄化 魔法 には ちょっとした コツ が ある よ。
 最初 に「 ねえ ね え リノ、 今 から 十分 だけ グチ 聞い て くれる?」 って 言う の。 そして 終わっ たら「 あー スッキリ し た!」 って 言う こと。
 最初 と 最後 の 区切り を つける 魔法 の 呪文 を 言う ん だ よ。 これ すっごい 大事 ね。
」(Kindle の位置No.1842-1843)

ダメ で 弱く て 情けない よね。 でも、 それ が あたし で すっ て 堂々 と し てれ ば いい。
 そういう 自分 の こと、 もう 許し て あげよ う よ。 そのまま で いい じゃん。 顔 を 上げ て 前 を 向こ う。 自分 の こと も 人 の こと も、 いびつ な 形 の まま 愛し たい。
 正しい こと だけが 美しい って わけ じゃ ない。
」(Kindle の位置No.2095-2098)


他の人から見れば「おかしい」のかもしれないし、「正しくない」のかもしれない。そして、自分自身も、そんな自分は嫌だと感じているかもしれない。でもすぐには変われない。そんなジレンマもある中で、まずは「これが今の自分です」ということを受け止めることが大切なのだと思います。

感情は抑え込まないこと。抑圧せずに目の前にさらけ出してみること。そうすることで、そんな自分を受け入れられるようになります。そして、受け入れることによって、少しずつ変わっていけると思うのです。


ちょっと変わった小説ですが、人間として大切な「生き方」について深く考えさせられる内容だと思いました。LGBTとかポリアモリーなど、世間の常識を最初からガンガンぶち破るため、嫌悪感を覚える方もいらっしゃるでしょう。そういう方にはお勧めしませんが、多様性こそが重要だと感じている方は、読んでみられてはいかがでしょうか。

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posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 16:19 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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