2017年02月17日

人生の地図



前回の「海と空へ」に引き続き、高橋歩(たかはし・あゆむ)さんの本を読みました。

作った会社を友人に譲り、妻や小学生の子どもたちと無期限の世界旅行へ出かけるなど、破天荒な生き方をされている高橋さんです。どういう考え方をしていると、そういう生き方ができるのか、とても興味がありました。

この本は、人生を旅になぞらえて、高橋さんの考え方を披露する内容となっています。「欲求」「職」「パートナー」「選択」「行動」「ルール」「物語」と章立てして、それにふさわしい言葉を集めたもの。自分の言葉だけでなく、多くの人の言葉も取り上げて、メッセージ集という形になっています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

自分のやりたいことがわからない?
そんなもの、いくら深刻に考えたって、きっと、一生わからないぜ。

とにかく、おもいっきり五感を開いて、
「なんでもやってみよう!」の精神で、好奇心に身を任せて、
地球の上を動き回ってみよう。

やりたいことは、頭で考えるものではなく、ハートで感じるものだ。
」(p.35)

自分探しをしている間は、何もわからないのです。でも、自分探しの旅として、これまで行ったことがない場所へ行ったり、やったことがないことをやってみるのは、それなりに意味があると思います。

私も旅(特に一人旅)や引っ越しを勧めていますが、新たな体験によって自分の枠を広げることが、自分自身を知るきっかけになると思うのです。


まずは、やりたいことに、おもいっきり熱中してしまうことだ。
すべては、そこから始まる。

やりたくないことは、なかなか上達しないが、
やりたいことは、確実に上達する。

そして、好きなことに熱中しながら、たくさんの経験を重ねながら、自分の身につけてきた知識と技術が、他人の役に立ち始めたとき。
自然に、結果やお金がついてくるようになる。

「大人が真剣に遊び続けると、それが仕事になる」
」(p.65)

「儲かるだろうか?」「生活費が稼げるだろうか?」などと、ついいくらもらえるかが仕事の目的になってしまいがちです。けれども高橋さんは、まずやりたいことをやれと言います。

やりたいことをやって、それが他の人の役に立って、他の人を喜ばせることができるようになれば、自然とお金がついてくるのだと。

だから、何がなくてもこれをやるんだと決めて、それを楽しむことなのですね。


本当は、選択した結果に、大きな意味はないのかもしれない。
なにを選んだとしても、結果の善し悪しは誰にもわからない。

大事なことは、なにを選ぶのか、ではなく、選んだ後どう生きるか、だ。

物事を明るく受け止めて、ひたむきに頑張れる人は、なにを選んだとしても、結局、「これを選んでよかった」と笑うのだから。
」(p.123)

何を選ぶかは重要ではないと、高橋さんは言い切ります。たしかに、一度に複数の生き方をやってみて、比べることはできないのですから、どっちが良いかなど誰にもわかりません。ただ後から想像してみるだけのことです。

ですから、重要なのは選択ではなく、その後の生き方だと高橋さんは言います。選んだことを後悔せず、これが最高なのだと受け入れることですね。吉川英治氏の小説「宮本武蔵」で、武蔵が「吾、事において後悔せず」と言ったのは、まさにこういう生き方ではないかと思いました。


自分のルールがあるように、他人にもルールがある。
壊すことなく、壊されることなく、共に生きよう。
」(p.173)

価値観は人それぞれですから、他人の価値観を否定する必要もないし、自分の価値観を捨てる必要もありません。それぞれを大切にすればよいのです。

私の父は、「嫁入り前の娘さんを、同じ屋根の下で寝させるわけにはいかない」と言って、当時まだ付き合っているだけだった私の妻を実家に泊めることを拒否しました。私は、実家は父の家だから、その価値観に従うと言って、帰省することをやめました。けれども私には私の価値観があります。帰省はやめましたが、東京や大阪を旅行し、妻と一緒にホテルに泊まり、姉夫婦にも会わせました。

価値観を否定し合わずに、互いを尊重すれば良いのだと思います。共に地球上に生きる仲間なのですから。


この本も、見開き2ページに1つのメッセージ、そして多くの人のメッセージ集という形になっており、写真がふんだんに使われています。そのため、1時間もあれば読み終えられるほどです。

けれども、一つひとつのメッセージには深みがあって、それを味わいながら読んでいると、なかなか一気には読めませんね。気に入った言葉を書き出して、いつも眺めているような使い方ができそうです。

人生の地図
 

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2017年02月18日

完全版 鏡の法則



ベストセラーとなった「鏡の法則」が、装いも新たに出版されました。野口嘉則(のぐち・よしのり)さんの本です。

この新装(リニューアル)版では、物語の後に解説が加わっています。これは、物語を読んで感動した人の中に、これを応用できないという悩みがあったからだそうです。どうすればこの物語のように、自分の問題を解決できるのか。その助けとなる解説を加えたのだと野口さんは言います。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

現実に起きる出来事は一つの結果であり、その原因は心の中にある』という考え方があるんです。『私たちの人生の現実は、私たちの心を映し出す鏡である』と考えてもらうといいと思います。」(p.17)

栄子の夫の高校の先輩である矢口は、栄子から相談を受け、こういう不思議なことを言います。これがこの本のタイトルにもなるのですが、本の中でこの法則については詳しく語られていません。

野口さんは心理学を極められた方で、スピリチュアルな分野について語られる方ではありません。けれども、フロイトやユングなども潜在意識のことを語っているように、必然的につながっていくような感じがしますね。「神との対話」バシャールに親しんだ人なら、「鏡の法則」はよく理解できますから。

この物語では、栄子の息子の優太がいじめられていることが栄子の心配の種ですが、その現実の原因が、栄子の心にあると指摘しています。自分にとって大切な人(息子)がないがしろにされるのは、自分が大切にすべき人(父親)をないがしろにしてきたから。このように、自分の心が現実に反映されるのです。


必然の法則』というのがありましてね、それを学ぶと次のようなことがわかるんです。じつは、人生で起きるどんな問題も、何か大切なことを気づかせてくれるために起きるんです。つまり偶然起きるのではなくて、起こるべくして必然的に起こるんです。ということは、自分に解決できない問題はけっして起きないのです。」(p.40)

これも心理学の域を超えているように感じますが、野口さんらしいところですね。経験則としても、こういうことはあるのではないかと思います。もちろん、スピリチュアル的には当然のことですが。


この物語で9割の人が泣いたと言いますが、泣き所は36ページからです。(笑)
私もかつてこれを読んで泣きましたが、今回も泣けて泣けて仕方ありませんでした。


解説では、この物語をどう応用するかが語られています。まず重要なのは、親子間の境界線を引くことだと言います。

このように反抗期をしっかり全うできると、子どもは親との間に境界線を引くことができ、親の呪縛から脱することができます。つまり、心理的な自立が進むのです。」(p.94)

私は、反抗期がなかった子どもでした。けれども、大学に通うために一人暮らしを始めたことが、境界線を引くことに役立ったようです。親離れ子離れというのが、互いの自立に必要なのですね。

罪悪感を抱えつつ親の期待を裏切っていく覚悟、罪悪感を味わいながらも親をがっかりさせていく覚悟が必要なのです。ちなみにこの罪悪感は、多くの場合、親との間に健康的な境界線が引けるのにともなって薄れていきます。」(p.101)

私も、親の期待に応えなければ・・・という気持ちが強かったのですが、徐々に薄らいだように思います。交際中だった妻を連れて行くことに反対した父と正面から対決したとき、最後のハードルを超えたように思います。


境界線が引けたら、感情を吐き出すことが重要だと言います。抑え込んでいた自分の感情を、しっかりと味わってあげることですね。相手にぶつけるのではなく、自分が味わうのです。

彼女は高校生のころから、父親に対してほとんど口をきかないという形で反発してきましたが、自分の感情はずっと呑み込んだまま、吐き出していなかったのです。そこで、紙に書き出す作業を通して、反抗期のやり直しをしたわけです。」(p.107)

正常に反抗期があって、表立って親に反抗してきた人は、このステップは要らないそうです。私も、このブログにいろいろ書くことによって、自分の感情を味わい直したのだろうと思います。


以上の、境界線を引いた上で感情を吐き出すという2つのステップを踏むことで、相手(親)を許すことができるようになります。親の呪縛から逃れ、自立することによって、初めて親を許し、親に感謝することができるようになるのですね。

順調に行けばそうですが、必ずしもそうならないこともあります。でも、そういう場合でも、上手くできない自分を受け入れるようにと野口さんは言います。いつかは、必ず許せるようになります。他人を許すのは、自分を許すためであり、それは自分を解放して自由にすることだからです。

最後の部分に、「ゆるすための8つのステップ」として、ここまでの話がまとめられています。簡易版ではありますが、必要とする人に役立つと思います。また、野口さん自身も勧めておられますが、ここに書かれていることをより深く学びたいのであれば、以前に紹介した「「これでいい」と心から思える生き方」を読まれるのが良いと思います。

完全版 鏡の法則
 

posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 09:45 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

笑ってごらん



書家の白水春鵞(しらみず・しゅんが)さんの本を読みました。

ことだま書道家と名乗る白水さんは、ポストカードにメッセージを書いて配るなどの活動をされていました。私が最初にお会いしたのは、4年くらい前の箱根合宿だったのですが、その時も手書きのポストカードを、参加者全員に配られました。私はそのとき、「ありがとう」と書かれたカードをいただき、今も大切にしています。

その時以来、Facebook上でのおつきあいをしていましたが、今回初めて出版されるとお聞きして、さっそく購入させていただきました。届いた本を見て、とても素敵な本ができあがったのだなと思いました。

書店で発売前の特別購入枠だったので、直筆のポストカードやシール、本にはサインも入れてくださいました。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。と言ってもこれは、エッセイのような詩のような言葉に書を添えたものですから、気に入ったものを少しだけ紹介しましょう。ちなみに本の体裁は、次の写真のように見開きで1つの作品になっています。右にエッセイ、左に書という形です。書のページには、きれいな押し花の写真が飾られています。

右にエッセイ左に書


あなたは幸せなんだよ

この世に生まれたこと
食べられること
家があること
洋服を着ていること
あたりまえと思っちゃいけないよ
幸せなんだよ

幸せは あなたの周りにいっぱい
幸せをかぞえてごらん
ばら色の世界が見えてくるよ
」(p.10)

幸せは、今ここにありますからね。それを見るかどうか、自分が決めているのです。

このエッセイを集約したような言葉が、次のページの書になります。

幸せを かぞえてごらん

ばら色の世界が
見えてくるよ
」(p.11)

毛筆の書の温かみと、この書を彩る押し花の写真が、とてもほのぼのとする雰囲気を醸し出しています。


笑ってごらん
うそでもいいから
笑ってごらん
アハハ アハハ
ウフフ ウフフ
オホホ オホホ

笑ってごらん
きっと 幸せになれるよ
笑ってごらん
きっと 元気になれるよ
笑ってごらん
あなたは 輝いているよ
」(p.42)

楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるのです。笑顔、笑顔。まずは自分から笑顔になる。それがスタートですね。このエッセイに添えられた書には、次のように書かれています。

笑ってごらん
幸せになれるよ
」(p.43)

自分が笑えば自分が幸せになり、周りの人も幸せにしてあげられるのですね。


何かに行き詰まった時、この本を開いて、白水さんからのメッセージを読んでみるのも良いと思います。特に、書と押し花の写真のコラボは素敵です。これを眺めているだけでも、いい気持ちになれますね。

私は、座右の銘として論語の一節をポストカードに書いていただきました。Facebookの白水さんのページに「いいね!」をすれば、こういうポストカードがもらえるプロモーションに出合うかもしれませんよ。

笑ってごらん

白水さんのサイン
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 07:55 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月20日

超カンタン癒しの手



ヴォルテックスの望月俊孝(もちづき・としたか)さんの本を読みました。実は同じタイトルの本「癒しの手」をKindle版で読んでいるのですが、こちらはマンガ版ということで買ってみました。マンガは金子美由紀さんが担当されています。

前半はマンガになっていて、主人公が2日間のレイキを習うという物語になっています。2日間というのは、レイキのレベル1とレベル2のことです。ヴォルテックスでは、ファーストディグリーとセカンドディグリーと呼んで、これをセットで受講することを勧めています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

ところで、たった20年程でレイキはどうしてこれほど大きな広がりをみせたのでしょう? その秘密に触れてみたいと思います。これは日本でこの数年の間に急速な広がりを見せつつある秘密でもあります。
(中略)
一言で言いますと『身に付けるのが簡単、しかも効果が確実、そして得た能力は永続する』ということですが、その特徴を10項目にまとめてみました。」(p.125)

ヴォルテックスでは、「レイキの10大特徴」というのを示しています。要約すると上記の通りです。誰でも修得できて、しかも修得が簡単で、効果がはっきりしていて、その効果がずっと持続する、ということですね。さらに言えば、施術も簡単で安全だと言えます。

これほど美味しいことばかりのレイキは、それだけでうさん臭く感じますよね? 実際、私もそう感じました。しかしそれも、自分が体験してみるとはっきりとわかるのです。レイキがいかに素晴らしいかと。


レイキに関しては、鍛錬の大変さだけが頭をよぎり、近づこうとすらしない方がいては余りにもったいないと思います。
 最初はたった1、2日で使える、楽しめるとわかれば、誰でもそれなら始めようと思いますね。そしてレイキは1、2日学べば、すぐ実践できますし、実践すれば、それだけの効果が現れます。しかも、10日なら10日の、そして3ヶ月、1年さらには3年(鍛)、10年、30年(練)、50年と実践すれば実践するだけの味わいが得られます。
」(p.154)

※「千日の訓練を鍛と呼び、万日の訓練を錬と呼ぶ」と宮本武蔵が言ったとされることから、3年を「鍛」、30年を「錬」と表現しています。

レイキはとっつきやすいものですが、底が浅くはないということが魅力の1つでもあると思います。極めようとすれば、さらに奥の奥まで極めていくことができます。それは、レイキの効果ということもありますが、人の生き方に関係してくるからでしょう。


本書は、そういうレイキの魅力を、初心者にもわかりやすく伝えようとしたものだと思います。ただ、マンガになってはいますが、やや込み入っていて読みづらいなという印象を持ったのも事実です。

本編では、他にない臼井霊気療法学会やその流れを汲む人たちの資料を提示していて、歴史的にも意味のあるものになっているように思います。

今年の5月くらいに、マンガではない「癒しの手」の改訂版が出版されるという情報もあります。レイキについてある程度知っている人なら、そちらの方がお勧めかもしれません。まったくレイキのことを知らない方には、入門からやや上級編ということで、この本を読んでみられるのも良いかと思います。

book20170220.jpg
 
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2017年02月21日

ラブ、安堵、ピース



黒澤一樹(くろさわ・いつき)さんの本を読みました。黒澤さんは、ブログネーム雲黒斎(うんこくさい)で知られていましたが、名前を変えられたようですね。Facebookが実名でなければいけないという規則にひかかって、アカウント名を本名にされたのは知っていましたが、著者名も本名にされたとは知りませんでした。

雲黒斎さんの本としては、これまでにも「降参のススメ」「あの世に聞いた、この世の仕組み」などを紹介しています。続編の「もっとあの世に聞いた…」の中では、超訳般若心経が秀逸でしたね。

今回の本は、老子の「老子道徳経」を超訳したものになります。老子は私も注目していたのですが、いまいちわかりづらい面がありました。これを黒澤さんがどう訳されているのか、読む前からワクワクしていました。この本ではプロローグとして、老子が「老子道徳経」を書き残すエピソードが記されています。これは史実ではありませんが、なかなか興味深いです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

だから、「あるがままの現実」はひとつでも、「解釈の現実」は人の数だけ存在する。
 ちょっと乱暴な言い方になってしまうけど、解釈で捉えた世界は、ある種、「個人的な決めつけ」や「思い込み」に過ぎないんだ。その思い込みに縛られるほど、人生は窮屈で深刻なものになってしまう。
」(p.30)

たとえば花を見て、それを美しいと言うなら、それは解釈なのです。ありのままの現実は、花があるというだけ。いえ、花という名前さえもつけません。ただそんなものがあるだけなのです。ですから私たちは、主として解釈の現実を見ていることになります。

その現実の中で、「○○は□□だ」とか、「〜すべき」などと決めつけています。だから自分が窮屈になってしまいます。自分で自分の自由を束縛しているのですね。


タオは、無限に広がるからっぽの空間。淵のように深い、万物の存在基盤だ。
 「からっぽ」の空間だから、見ることも触れることも出来ないけど、その空間こそが「無限の愛」なのさ。
 なぜ「からっぽ」が愛なのかって?
 だって、「空間」は、ありとあらゆる存在をそのまま抱き続けてくれるじゃないか!
」(p.36)

空間は、物の存在を拒否しません。悪い人はダメとか言わないのです。つまり無条件に受容してくれるから、まさに愛なのですね。


「解釈の世界」に生きる人は、物事を分離して捉えているからこそ、「人の内に命がある」と言う。人に限らず、生命の個体それぞれに、個別の命が宿っていると思っている。
 「あるがままの世界」に生きる人は、存在すべてのつながりを捉えているからこそ、「命の内に人がある」ことを知っている。
」(p.39)

個別の命が存在するのではなく、1つの命が存在しているだけ。それが無数に分かれているように見えるだけなのです。昔から多くの人が悟ったこの気付きによって、「ひとつのもの」が本質だとわかるのですね。


僕たちが普段「死」を恐れるのは、「自分(個別)の命」の消失をイメージするからだよね。
 でもさ、「始まってもいないものが終わる」とか「現れていないものが消える」なんてことがあると思う?
」(p.41)

人(個別)の命がどこから始まったかを考えてみると、このことがわかると言います。出産時点でないことはたしかですが、ではいつでしょう? 受精時でしょうか? でも、そのときすでに、卵子も精子も生きていたのであり、受精卵となっても同様に生きていたのです。そうなると私たちの個別の命は、始まりが見つからないことになってしまいます。

だから、始まってもいない何か(個別の命)が終わる(死ぬ)なんてことはあり得ないと言うのです。これまでと同様に、単に姿を変えるだけなのですね。


タオを生きる人は、誰かを救おうだとか、改心させようだとか、成長させようなどといった、何かをコントロールしようとする作為がない。
 「世はこうあるべき」というイデオロギーを押しつけることもなければ、「自分はこうでなくてはならない」というセルフイメージに縛られることもない。
 世の「うつろい」そのものを受け入れ見守る、愛の中に生きる。
 タオは、万物を生み出し繁殖させるが、それらが成長しても、決して我がものとはしない。万物の創造主でありながら、支配者を気取らない。
」(p.49)

このように、意図的に何かをしようとするのではなく、あるがままに受け入れるのがタオを生きる人の奥深さであり、徳なのだと言います。


「解釈の世界」では、一定の条件を満たしていなければ、相手や状況をそのまま受け入れられない。
 ありのままの相手では受け入れられず、自分が受け入れられる状態に「変わって欲しい」と願うから、そこに、相手を自分好みにコントロールしようとする作為が生まれる。
 また、相手に気に入られようとするがゆえに、ありのままの自分を認めず、相手の求める条件に沿う自分に矯正しようとしてしまう。
 そうやって、「わたし」という自意識が強くなり、取引の世界に埋もれるほど、人は本当の愛から離れてしまうんだ。
」(p.67)

本当の愛とは、無条件で受け入れること、ありのままを受け入れることです。それは相手に対してもそうですし、自分もまたそうなのです。


「平和のために戦う」という行為ではなく、「そこに加わらない」という無為こそが、その平和をもたらすのだから、そこに「己の強さをひけらかす」なんてのはナンセンスだろう?」(p.90)

マザー・テレサさんが反戦運動には賛同せず、平和運動にのみ参加されたのも、こういうことですね。平和を求めるなら、まず心を平和で満たすべきなのです。


人生は、「思い(願い)通り」に流れてくれるわけじゃない。
 でも、人生を「思い(解釈)通り」に歩むことはできる。
 どんな状況であっても、「満たされない」と解釈するのなら、人生は決して満たされない。
 どんな状況であっても、「満たされている」と解釈するなら、人生は幸せなものになる。
 ほら、人生における「幸不幸」は、その人の「解釈」の世界に浮かび上がっているのさ。
」(p.94)

現実は、思い通りにならないことばかりです。けれども解釈の世界では、それを満たされないとも満たされるとも解釈できます。ですから、解釈次第で不幸にも幸せにもなれるのです。


心から、
 喧騒が消えると「静寂」になる。
 曇りが消えると「明晰」になる。
 強がりが消えると「素直」になる。
 欠乏感が消えると「感謝」になる。
 焦りが消えると「ゆとり」になる。
 恐れが消えると「安堵」になる。
 分離が消えると「ひとつ」になる。
 こだわりが消えると「流れ(変化)になる。
」(p.109)

タオの流れは、つねに元に戻ろうとするのだと言います。余分なものを削ぎ落として、元の姿に戻ろうとする。それは、そもそも神であった「ひとつのもの」が、あえて分離した世界を創り出しながら、少しずつ本来の自分を思いだすことで、神に戻ろうとするようなものです。

今ある状態に何かを付け加えて、何か別のものになるのではありません。そもそもそうだった、元々の自分に戻ろうとしているのです。


タオを生きる人なら、お金を貸したとしても取り立てるようなマネはしない。
 仮に割り符(信用証書)の半分を握っても、それで相手を責め立てない。
 徳ある人は「信頼」し、徳なき人は「心配」する。
」(p.161)

一度でも恨めば、それはしこりとなって残ると言います。だから、はじめから恨まないようにすることが重要なのですね。そのためには、心配せずに信頼すること。たとえ相手が思い通りに行動してくれないとしても、それも含めて受け入れることなのです。


若干まだわかりにくい部分もありますが、全体として「神との対話」と同様のことを言っているのだなとわかりました。こういうことが、すでに2500年も前から言われていたのですね。

この本は、特別な装丁になっています。写真のように、きれいに開く作りです。これはけっこう値の張る作りですが、老子ということを考えた時、この装丁が良いと思われたようです。

きれいに開く装丁

通常ならネットで注文するのですが、今回は事情があって出版社から直接購入しました。小さな出版社で、増刷のための資金が足りなかったのだそうです。それで黒澤さんも出版社に協力し、サインをするから出版社から直で買ってくれと訴えておられました。

もともとは、この本を買う予定はありませんでした。けれども、出版社の方の率直なお願いと、それに協力しようとする黒澤さんの思いに応えたくて、買うことにしたのです。読んでみてから思うのは、買ってよかったということですね。

ラブ、安堵、ピース

黒澤一樹さんのサイン
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 20:53 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月23日

日本一心を揺るがす新聞の社説2

 

前にも紹介した本ですが、みやざき中央新聞の魂の編集長こと水谷もりひとさんの本を改めて読みました。これは、水谷編集長が同紙に載せた社説を選りすぐってまとめた本になります。

前に紹介した記事は、「日本一心を揺るがす新聞の社説」「厳しい状況の時は前向きになれるものを」になります。それと、「たった数ページの新聞に泣きました」でも紹介しています。もう4年以上も前のことだったのですね。

私は、この本によって、同紙の存在を知りました。それから同紙を購読しています。今現在は、かなりの読者がいるようですが、当時は、この新聞社を応援してもっと読者を増やしてあげたいな、という気持ちになったのです。

今は、同紙を応援したいというより、この素晴らしい新聞を多くの人に知ってもらいたい、という気持ちです。それだけ素晴らしい新聞だからです。今回も、「みやちゅう(みやざき中央新聞の略)」を知ってほしくて、いつも本を寄贈する「サロン文庫」のために、改めて購入したのです。そのついでに、読み返してみたというわけです。


ここに紹介された社説は、どれもこれも素晴らしいものです。とても考えさせられます。なので、これがもっとも素晴らしいと紹介することができません。今回は、本をパッとめくって開いたページの社説を運命と思って、その内容を紹介することにしましょう。まずは、最初に出版された第1集からです。

平成22年8月、宮崎の口蹄疫事件が収束したことを取り上げた社説です。あの時、健康だった牛や豚も含めて、約29万頭が殺処分されました。

社説では、口蹄疫は人畜無害であることを説明してます。

よくよく話を聞いてみると@口蹄疫は人に感染しないA口蹄疫に感染した牛の肉を食べても問題ないB口蹄疫に感染してもその牛が死に至る確率は非常に小さいC口蹄疫は治る病気である、ということがわかった。途上国では口蹄疫の牛が出ても、しばらく放っておくと治ってしまうそうだ。」(p.124)

では、なぜ感染していないかもしれない牛や豚まで、殺処分しなければならなかったのか? それは、病気の恐さが理由ではなく、経済的な事情だと言います。

口蹄疫が発生した国は、「汚染国」と認定されます。そうでない国は「清浄国」です。汚染国から清浄国への、牛や豚の輸出はできない規則があります。汚染国同士なら、問題なく輸出できます。

このような規則があるために、いったん「汚染国」と認定されると、清浄国(たいていは先進国)への輸出ができなくなるのです。つまり、高価な和牛を買ってくれる豊かな国への輸出が不可能になります。だから、大量に殺処分してでも、口蹄疫の感染を宮崎県内に押さえ込むことが必要だったのです。


口蹄疫の終息が宣言された時、第一例を発見した獣医師の青木準一さんは、宮崎県を訪れた与党の幹事長に次のように言ったそうです。

口蹄疫がなぜ国を滅ぼすと言われているかというと、国の経済を揺るがす問題だからです。そして、それを止めたのはこの農家の方々です。国を守るためにワクチンを打って殺処分したんです。……宮崎が国を守ったんです。だから、これからの復興も国策として取り組んで下さい」(p.123)

殺処分された中には、後世に残したかった品種の牛もいました。それを殺さなければならないとわかった時、その農家の方の苦悩はいかばかりだったでしょうか。宮崎の農家の方々の苦悩を伴う決断によって、日本の畜産業が救われたのです。

罪もない牛や豚たちの命を考える時、殺すのが本当に良いことなのか、いろいろと考えたことでしょう。どう考えたとしても、その答には矛盾をはらみます。その中で、日本の経済を守ることを第一優先として選んだのです。

その選択が正しいかどうかは、その人の価値観によるでしょう。しかし、その決断によって、他の畜産業の方たちが経済的に苦しむことはなくなりました。そして、日本の経済が落ち込むこともなかったのです。


続いて、第2集からです。

小林正観さんの話からです。正観さんが、ある社長さんの話を聞かれたのだそうです。社長さんは意識不明となった時、三途の川まで行ったのだとか。その時、三途の川に着くまでに、自分の人生がどういうものだったか答えられるようにしておけと、どこからともなく聞かされたそうです。

自分一代で財を成した社長さんですから、あれやこれや苦労話を考えられたそうです。ところが、いざ三途の川に着いてみると、このように尋ねられたのだとか。

川べりに着くと、こんな声が聞こえてきた。「あなたは自分の人生をどれくらい楽しんできましたか?」」(p.93)

想定もしていなかった質問に、社長さんは慌てます。頑張ってきたことはたくさんあれども、楽しんできたことが思い浮かばなかったからです。仕方なく人生を楽しんでこなかったと答えると、「やり直し!」と言われて、その瞬間に生き返ったそうです。

楽しむとは、快楽を追い求めることではなく、周りから喜ばれることなのだと言います。つまり、いかに幸せを感じているかですね。

社説の最後は、こう締めくくっています。

「楽しさ」とは、日常の中の親子や夫婦、友だち、お客さん、同僚など、周りの人間関係の中に見出すものだ。そういう人たちと楽しい思い出をたくさんつくろう。いつか「この世」をちゃんと卒業できるために。」(p.95)

人生は楽しむために存在します。ただ苦しんで頑張るのではなく、楽しいから頑張るのです。誰かを幸せにしたいから、誰かの笑顔が見たいから、そして自分が笑顔でいたいから、楽しんで頑張るのだと思います。


こんな素晴らしい社説が、それぞれ41編と43編収められている本です。これを読めば、みやざき中央新聞のファンになってしまうこと間違いなしですね。

日本一心を揺るがす新聞の社説2
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 07:34 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月25日

日本一心を揺るがす新聞の社説3



「みやちゅう」こと「みやざき中央新聞」の社説を集めた本、その第3集を読みました。著者は、魂の編集長こと水谷もりひとさんです。

水谷さんなど「みやちゅう」の本は、これまでにも紹介しています。
「たった数ページの新聞に泣きました」
「厳しい状況の時は前向きになれるものを」
「日本一心を揺るがす新聞の社説」
「いま伝えたい!子どもの心を揺るがす”すごい”人たち」
「なぜ、宮崎の小さな新聞が世界中で読まれているのか」
「日本一心を揺るがす新聞の社説2」

こういうのを1冊でも読まれると、「みやちゅう」の魅力をわかっていただけるのではないかと思います。私もこの「みやちゅう」の魅力に魅せられて、ずっと購読しています。そして、この新聞で紹介される本を購入したりしているのです。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

2013年、不登校の小中学生が12万人もいるという調査報告があったそうです。こうなるともう、問題は適応できない学生にあるのではなく、現代の学生のニーズに応えられない学校教育にあるのではないかという気がする、という議論もあったのだとか。

そこで、ジリアン・リンさんというダンサーの話を紹介しています。多動症という言葉もなかった時代に、リンさんは授業中、ちっともじっとしていられなかったそうです。ある医師が、リンさんをダンス教室に通わせるように進言しました。そのことによって、リンさんの人生が変わったのです。

ジリアンはロイヤルバレー学校に入学し、卒業後は着実にキャリアを積み、『ジリアン・リン・ダンスカンパニー』を設立した。
 その後、『オペラ座の怪人』や『キャッツ』など、歴史に残るミュージカルの振り付けを担当し、世界中の人々に感動を与える仕事をするまでになった。
」(p.40)

決まった枠にはめ込まれていたら、リンさんは落ちこぼれになるしかなかったでしょう。そして、もしそうなっていたなら、人類が損失を被ったのです。社説は、次のように締めくくっています。

「捜し物は何ですか?」と聞かれたら、「自分の才能」と返してみるのもいいかもしれない。この社会の多様性は、一人ひとりの才能によって支えられているのだ。」(p.41)


「誰かを助けたいなら、黙って聞け!」という意味不明な演題に興味を覚え、アルネスト・シローリという初老のイタリア人男性のプレゼンを、NHKのテレビ番組で見たという話を始めます。

シローリさんはNGOの一員として、アフリカのザンビアに農業を指導するために訪れたそうです。最初にトマトを作らせて、もうすぐ収穫という時、カバの大群がやってきて根こそぎ食べられてしまったのだとか。「先に言ってよ」とシローリさんが言うと、村人たちは「別に聞かれてなかったし…」と。

失敗続きだったシローリさんは、27歳のころ、ある決心をしたそうです。「これからは黙って相手の話を聞く」 自分の考えを押し付けるのではなく、まず相手から聞くことに徹するようになったのだそうです。

困っていることを聞く。聞いて、自分にできることをする。時には、その立場が入れ替わることもある。

 これを昔の日本人は「持ちつ持たれつ」と言った。
」(p.57)

私たちはつい、上から目線で「かわいそうに」などと言って、そういう人を助けようとします。しかしそれは、大きなお世話になっていることが多いのです。本当の支援とは何なのか? 対等な人間として、考えてみる必要があると思いました。


大事なことは、日頃から身の回りの些細な選択の場面で直感力を磨くことだ。磨けば磨くほど、直感力は研ぎ澄まされていく。」(p.79)

上手くいくコツは、時間をかけずに選ぶことだと、作家の有川真由美さんは言われているそうです。時間をかけないためには、理屈で考えるのではなく、直感で選ぶことが重要なのです。


歌手の橋幸夫さんと奥さんの凡子(なみこ)さん、橋さんのお母さんが認知症になった時、その介護をされてました。特に日常的にお義母さんに接する凡子さんは、苦労が多かっただろうと思います。しかし、普通の人とは発想が違ったようです。

「ボケ老人って危険なことを除けばユーモアに満ちている。介護者の心の持ち方次第で、楽しくなるか苦しくなるか明暗を分けるんじゃないかしら」と。
 そして、橋さんに言った。「お母さんって宇宙人みたいだわ」
」(p.144)

普通では考えられないような発想と行動。それはもう宇宙人としか思えないと言うのです。同じ常識を持った日本人と思うから苦しくなるのであって、そもそも宇宙人だと思えば、考え方の違いを楽しめるのですね。


人生は山あり谷ありと言います。しかし、後になってみると、あの谷があったからこそ今があると、思えることも多いのです。そのことを、「おかん」というロックバンドの「人として」という曲の歌詞を引用して、水谷さんは説明します。

「…あの日あのとき、奇跡とも言える瞬間が無ければ笑い合うことも無かったよ…/あの日生まれなかったら/あの街に住んでなかったら/あの電車に乗ってなかったら/あの日が休みじゃなかったら/あの会社じゃなかったら/あの学校に行ってなかったら/あの日晴れてなかったら/……あの時別れてなかったら/あのとき、『好き』と言ってなかったら/痛み、喜び、感じずに僕はあなたを知らないままだった」

 悔しいこと、つらいこと、悲しいことも、いつかそれは「あの日」になる。
「あの日」をどう捉えても、どう生かすかは、すべて自分で決めることだ。
」(p.173)

過ぎ去った日は、すべて「あの日」です。その過去をどう捉えるかは、自分が決めること。自分の決め方によって、過去を生かすことも殺すこともできるのです。


この本には、43編の社説が載っています。どの社説も、将来を悲観したくなる話ではなく、今がどうであっても頑張って生きていこうと思えるものです。

この本を読んで、1人でも多くの方が「みやちゅう」こと「みやざき中央新聞」の読者になってくれると嬉しいですね。(私は営業マンではありませんけど。)毎週送ってもらえる紙媒体の他に、WEB版でも見られるようになっています。これがあるので、私のように海外にいても楽しむことができます。

日本一心を揺るがす新聞の社説3
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 17:02 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月26日

日本一心を揺るがす新聞の社説 ベストセレクション



「みやざき中央新聞」の魂の編集長、水谷もりひとさんの本を読みました。先に紹介した「日本一心を揺るがす新聞の社説3」よりも前に出版された本のようで、帯には「ベストセラー第3集!!」と書かれていますが、特別バージョンという位置づけのようです。

新作の15編と、水谷さんと読者が一緒に選んだ15編の、合計30編が収められています。したがって、これまでの本に載っていた社説も、いくつか掲載されています。ただ、どれもこれも厳選されているので、「あー、また読みたかった社説だ。」と感じるものでした。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

「スパリゾート・ハワイアンズの奇跡」と題された社説です。福島県にある施設で、フラダンスのショーを行うなど、ハワイをイメージしたものとなっています。

東京のある週刊誌の記者が、家族連れでここを訪れた時の話です。春まだ早い東北で、南国ハワイの気分を味わう。そのとき突然、大きな揺れが襲ってきたそうです。そう、あの3.11の当日だったのです。

「その施設で被災したことは不幸中の幸いだった」と記者は述懐している。そこはガス、水道、電気、いわゆるライフラインがすべて生きていた。あのとき、メディアで報道されたような寒さも、暗闇もなかった。数日間分の食料も備蓄されていた。」(p.35)

しかし、そのホテルの外は全壊だったのです。非常にラッキーな状況だったのですね。しかしその時、その記者は気づきます。ホテルの従業員たちにも家族がいるはず・・・。自分たちも被災者なのにも関わらず、そんなことをおくびにも出さず、客のことを心配してくれるのです。

震災から3日目の朝、ホテルの支配人は、客を東京まで送ることができると説明しました。「道路が寸断されている状況で、どうしてそんなことが言えるのか?」と、記者は思ったそうです。その時、支配人は、前日に従業員を東京に向かわせて、可能であることを実証したと伝えたのです。

さっきよりもっと大きな拍手が会場を包んだ。震災の翌日、大きな余震が続く中、お客様を安全に東京に送り届けるために、命懸けで試行運転をした従業員がいたのだ。」(p.37)

記者は、毎年ここを訪れようと思ったそうです。そして息子さんには、このホテルの従業員はみな命の恩人なのだと伝えようと。

時代の波によって、炭鉱の町からリゾート地になったとき、これまで支えてきた男たちに代わって、娘たちがフラガールとなって街を支えてきました。そんな街で起きた、1つのエピソードです。社説は、こう締めくくっています。

スパリゾート・ハワイアンズ、訪れてみたい施設になった。」(p.37)

私も、一度は行ってみたいという気持ちになりました。


次は、「美しさを感知する知性と教養を」というタイトルの社説です。

冒頭で、アップルコンピュータの生みの親であるスティーブ・ジョブズ氏のことを取り上げます。美しい文字をコンピュータで、という彼のこだわりが、アップルを生み出しました。そして、服飾評論家のピーコさんの話を引用します。

美に対する自分の選択基準を持っていることは知性と教養です」(p.64)

動物は、美しいかどうかという判断基準を持ちません。人だけが持つ感性です。だから、人らしくあるには、美しいものを鑑賞することが大事なのです。

そして、ピーコさんが歌手の淡谷のり子さんのお宅に伺った時、フリルの付いた下着を見せてもらったという話が続きます。戦前、戦中と、おしゃれは非国民とされた時代も、淡谷さんはおしゃれにこだわったのです。そのことから、「ファッションは生き方を表している」と感じたそうです。

社説の最後は、こう締めくくられています。

「自分の命は、ほかの人の為に」、本当の美しさとは、美しい生き方から生まれると思った。」(p.65)

ピーコさんは、がんで左目を摘出したのですが、その時、仲間が自分を支えようとしてくれている姿を、残った右目で見たのだそうです。

美しく生きること。それが、人間であることの証なのかもしれません。そしてその美しさとは、単に自分を着飾ることではなく、他の人のために自分を使うことなのだと思いました。


添付されたDVDには、水谷さんの約1時間の講演が収められています。その内容は、これまでの社説に書かれていたようなことですが、改めてお聞きすると、すべてがつながっているような気がしました。

収められている社説が30編と少ないので、本は約130ページと薄いものになっています。その分、DVDで水谷さんが語る姿が見られるので、この本のお勧めかと思います。

私は2016年11月に旅行で宮崎へ行った時、表敬訪問させていただいて水谷さんとお会いしました。気さくな方で、ウェルカムボードで迎えてくれる気遣いのある方です。新聞ではなかなか水谷さんの姿を見られませんから、そういう意味では貴重な1冊かもしれませんね。

日本一心を揺るがす新聞の社説 ベストセレクション
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 07:39 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月28日

CHANCE チャンス



犬飼ターボ(いぬかい・たーぼ)さんの本を読みました。実は以前にも読んでいて、別のブログで2007年3月に読んだ本として紹介していました。2005年7月に出版されていて、日本人の成功小説としては、草分け的な存在ではないかと思います。

犬飼さんは、このような成功小説を書かれると同時に、その教えをハピサク道(ハッピー&サクセス)として広めておられます。詳細は、犬飼さんのWEBサイト「犬飼ターボのハピサク道」をご覧ください。

この本をまた購入することにしたのは、いつも行く「サロン文庫」に、犬飼さんの成功小説を寄贈したかったからです。そして、このブログでも紹介したいと思って、改めて読んでみました。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

最初に、大まかなストーリーを説明しますね。主人公は泉卓也。自分で中古車販売業をやっていますが、なかなか上手く行きません。そんな時、フェラーリに乗った弓池と出会います。成功者の弓池から、少しずつ成功する方法を学んでいく卓也。そしてついには、・・・。


最も重要な成功する方法は”常に学び続けること”。学ぶ気持ちを持つことが大切だ。同じ1週間だったのに、数年分の学びをしただろう。つまりいつでも体験から学ぶことができる。」(p.53)

弓池から出された課題をクリアした卓也に、弓池はこう言いました。自ら動いて体験し、その体験から学び続けること。それが成功するために重要なことなのです。


『自分は成功者だ』と思っている人は、現実に成功する行動を取るものだ。そう思っていない人は、反対の行動を取るんだよ。」(p.68)

成功者になる前に、成功者であることが必要なのですね。最初に自分の在り方が「成功者」であれば、現実はその考え方にしたがって、「成功者」という状態を引き寄せてくるのです。

本来は、どんな人も成功者として生まれているんだ。それが真実だ。経済的にも豊かになれるし、健康的で、良好な人間関係で、豊かな精神も持つことが出来るという完全な存在なんだ。もし、自分がすぐに成功者だったと思い出せるなら、その人は短い期間で成功するだろうね。
 もしすぐに思い出せなくても大丈夫だよ。考えを変える方法があるから。それはさっきの法則を逆に体験するんだ。考え、言葉、行動という順序を逆さまにして、行動、言葉、考えの順にするんだ。
」(p.68 - 69)

こういうところは、まさに「神との対話」そのものですね。「神との対話」では、思考、言葉、行為で創造すると書かれています。また、根となる思考を変えるには、この順番を逆にして、行為によって言葉が変わり、言葉が変われば思考が変わる、ということも書かれています。犬飼さんが「神との対話」を読まれたかどうか知りませんが、本質的なことが書かれていると思いました。


人から拒絶されるのではないかとか、愛されないのではないかという恐怖から人を従えても、決して幸せにはなれない。意図したことは良いことも悪いことも現実になってしまう。だから他人の笛でダンスを踊らないことだ。自分の旋律に合わせて踊らなければならない。」(p.96)

むやみに他人の価値観に従ってしまうのは、その動機に恐れ(不安)があるからです。自分の価値観にしたがって行動し、体験することが重要なのです。


どんなことが起きようと、すべては順調に進んでいることを覚えておくんだ」(p.150)

もしすべてが予想通りにしかならなかったら、何の興奮もないだろう。予想しなかった展開の中にこそ新しい可能性が生まれるチャンスがあるんだ。」(p.150)

結果への執着を捨てるということさ。目標や計画に縛られなくていいんだ。現在の中にだけチャンスがあるんだ。過去は記憶であり、未来は予想であり、現在とは気づきだ。だから目標や計画は予想であってそこにチャンスはない。目標や計画通りにいかない中にこそチャンスが眠っている。結果に執着していなければ気づきによって障害がチャンスに変わるんだ。」(p.150 - 151)

思い通りにならない現実こそが完璧だということです。思い通りにならなからこそ、予想を超えた素晴らしい体験ができるのです。自分の枠が広がるのです。そのためにも、結果に執着せずにいることが重要なのですね。


自己嫌悪に陥ったようだね。それもやめるんだ。もう自分の間違いに気づいたのだから、いじめる必要はないだろう。(中略)大切なのは自分を許してあげるということ。間違いに気がついた自分を責めるのではなく、褒めてあげるんだ」(p.163)

罪悪感を抱かないことが大事なのです。間違ったらやり直せばいいだけ。間違ったことに気づくということは、成長したということなのです。


すべての出来事は、自分が引き寄せているんだ。自分を成長させるためにね。君が生まれてきた理由も、私が生まれてきた理由も本質的には同じだ。それは私たちが『本当の自分に気づき、よりよい自分を創造するために』生まれてきたんだ。この世界は私たちが本当の自分を示す舞台みたいなものだ。君はどの国に生まれるか、どの親の元に生まれるか、どんな身体的特徴を持って生まれるか、どんな環境で生まれるか、そのすべてを自分で選んで生まれてきたんだ。よりよい自分を創り出すために最適な環境を選んでね。出来事に偶然はない。それは自分が自分自身に与えた学ぶチャンスなんだ。」(p.167)

これも、「神との対話」などで語られているような本質的な内容です。この世は自分が演じる舞台であり、そこでどんな自分を演じるかは自分次第です。より本来の自分を思い出し、それを演じて、体験していくことが目的なのです。


「成功するということは、成功する自分になることだ」という言葉をかみ締めた。そして、相手が成功する自分になるのを助けた時、相手だけではなく助けた自分も大きな成功を手に入れることができるのだ。
”他の人の成功に貢献した時、最も大きな成功を手に入れる”
 それが愛そのものであると感じた。
」(p.286)

卓也に成功する方法を教え、指導してきた弓池の行動は、愛そのものだと卓也は感じたのです。

彼は”不安”ではなく、”愛”を選ぶ生き方を、身をもって示したのだ。」(p.286)

誰かが成功すれば自分の成功が減ると考えるのは、不安を動機とした考え方です。逆に愛を動機とするなら、相手を成功させるために最大の努力を惜しみません。その結果として、自分が思っていた以上の成功を成し得るのです。


成功小説は、物語の中で成功するための考え方を説くものです。物語なので読みやすく、その情景がありありと思い浮かぶことで、記憶に定着しやすい方法だと思います。

最初にこれを読んだ時、非常に喜んだことを思い出しました。「神との対話」は難しいという人には、こういう小説がお勧めかもしれませんね。

CHANCE チャンス
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 16:33 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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