2015年04月23日

看板のない居酒屋



岡むら浪漫の代表、岡村佳明さんの本を読みました。

この本のことを知ったのは、みやざき中央新聞の社説で紹介されていたからです。

3月2日の同紙の社説「感動は「モノ」ではなく「コト」だった」で水谷編集長は、こう言っています。

彼の著書『看板のない居酒屋』に、「コトづくり」の話があった。現代人にとって「モノ」は当たり前になった。客の心を掴むのは「モノ」ではなく「コト」なのだ、と。

これを読んで、私はすぐにネットでこの本を注文したのです。良い本を紹介していただけたことに、心から感謝しています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

地球上に生きる生物の中で唯一、人間だけに神様が与えてくれた三つの力があります。それは、「言葉」「笑顔」「感謝」です。
 この三つの力は、人を喜ばせるために神様が人間だけに与えてくれたものだ、と私は思うのです。
 いつもニコニコ笑顔で、人を褒めて、「ありがとう」と言う。
 神様が私たちに与えてくれた力を存分に発揮することができれば、きっとそれが、商売繁盛の第一歩に自然とつながっていくのだと、私は思っています。
」(p.1 - 2)

看板もなく、入り口さえよくわからない居酒屋。それが行列ができるほど繁盛していると言います。

そんな居酒屋を作ってきた岡村さんの思想の原点が、この3つの力なのですね。


岡村さんは、お母さんがされていた居酒屋を手伝うことで、居酒屋に関わるようになりました。

様々な経緯があって、本気で流行る居酒屋にしようと決心し、繁盛店に通ってその秘訣を探したのだとか。

その結果、繁盛店の魅力はスタッフの魅力だと気づきます。そこから「人づくり」が生涯のテーマになったそうです。

お母さんの教えも、またそういうものでした。

あんたが好かれる人間になったら、周りの人は寄ってきてくれるんだよ」(p.28)

商売繁盛を考える前に、いかに自分が好かれる人間になるか、自分自身をどう繁盛させるかを考えたほうがいいんだ!」(p.29)

こうして岡村さんは、本を読むなどして、自分を磨いていったのだそうです。

そして、本を読むうちに、気づいたことがあったんです。それは、この世の中に「当たり前」のことなど一つもない、ということでした。
 ご飯が一日三度食べられること、おやじとおふくろがいること、暖かい布団で寝れること、健康な身体があること……。普段の生活や、自分にとって「当たり前」のことが、じつは「当たり前」ではなく、「有り難い」ことだと思えるようになったんです。
」(p.34)

岡村さんは、斎藤一人さんの本も読み、「この世で人生の成功者になるには、ただ一点、感謝です」と書かれていたことに注目します。

そして、一人さんが示す、あらゆることに感謝できることが納得できたと言います。


また、さらにプラス思考の言葉と出合います。

「事実はひとつ、解釈ふたつ」という言葉です。自分に起こる事実はひとつだけれど、解釈は自分次第でいかようにでもなる、という教えです。」(p.44)

出来事はひとつですが、プラスかマイナスか、それを決めるのは自分自身です。
 プラス解釈できる人は、自分にはいいことしか起こらないという考え方になります。何が起ころうと、「これは何かのメッセージだ」「きっと何かを教えてくれているんだ」と捉えるのです。
」(p.45)

見方を変えること。この幸せ実践塾でも言っている考え方ですね。


「自分繁盛」とは、自分の魅力で人を惹きつける、ということなのです。
 そして、その魅力とは「人気」とは違います。「人望」です。「人望」とはすなわち、「人間力」なのです。人から、信頼や尊敬や期待を寄せられることです。
」(p.50)

このように岡村さんは、自分が目指す方向性を説明しています。

・くつを揃える
 ・親を大切にする
 ・「ありがとう」を言う
 ・ゴミを拾う
 このような、一見”当たり前”のことを、心を込めてしっかりやる。「誰でもできること」を「誰もできないくらいやる」。この「ウラの努力」が、一流をつくるのだと思います。
」(p.53)

まさに王道ですね。人として王道を歩むことが、自分繁盛につながるのでしょう。


だから、人生をよりよくするには、まず言葉を変えればいいんです。
 ・マイナス言葉はやめて、プラス言葉にする
 ・不平不満の言葉はやめて、感謝の言葉にする
 ・人の悪口はやめて、人のことを褒める
 私はこのことをやってみたら、本当に人生が変わりました。皆さんもぜひ、ダマされたと思って、やってみてください。
」(p.56)

言葉を変えるというのは、斎藤一人さん小林正観さんなどが言われていますね。私もこれは、効果があると思っています。


この「返報性の法則」は仕事や商売にもあてはまります。お客さんに好かれたければ、まずは自分からお客さんを好きになることです。
 ・あなたに興味があります
 ・あなたのことをもっと知りたい
 ・あなたのことが大好きです
 こういうサインを送れば、お客さんもきっと、同じ気持ちを返してくれるはずです。
」(p.60 - 62)

これもよく知られた法則です。人は、好意を寄せられれば、好意を返したくなるんです。


ですから、出会った人に対して、「してもらおう」「得しよう」と思っている人より、「してあげよう」「喜ばせよう」と思っている人にステキなご縁が広がるのですね。

人の成長は「自喜力(じきりょく)」より「他喜力(たきりょく)」
」(p.87)

岡村さんは、人脈は重要だけれども、人脈をつくるという発想はないと言います。それは「自分のため」という意味になるから。

そうではなく、目の前の人を大切にしようとしていれば、自然とご縁が広がっていくものなのだと。

だから、出会った人に何かをしてあげようと、常に考えているのだそうです。

魅せてる意識を持ち、いつも人を喜ばせることばかり考え、いつも口から出るのはプラスの言葉にしたら、人はますます魅力的になるんだよ」(p.92)

他人を喜ばせることをやっていれば、自分が磨かれていく。それが自分繁盛につながるのですね。


「残念なことに、最近褒められることがないわ……」という方も、人のいいところを見つけて褒めると、自分がやる気になって、キレイになっていくというわけなんですね。
(中略)
 でも、「叱られる人」より多くのストレスホルモンを分泌している人がいます。それは「叱ってくれている人」です。言い方を変えると、「叱ってくれている人」は「叱られている人」より、イヤな思いをしてまでも、叱ってくれているということなのです。」(p.99)

褒められることは嬉しいけれど、自分から褒めればもっと効果がある。叱られることはつらいけど、もっとつらい思いをして叱ってくれる人のことを思えば、有り難いと思えてくる。

そういう考え方が重要なのですね。


この脳のつじつま合わせを、逆に使うといいのです。
 もし、周りに好きになれない人がいるとしたら、まずは言ってみるのです、「○○さん、ありがとう!」って。
 すると、脳は考えるのですね。
 「どうして、『ありがとう』なんだろう…
…」(p.104)

こうすることで、自分に都合の良い理由を見つけることができ、そうすると本当にそういう気分になるんですね。

だから福島正伸さんは、困ったことが起こったら「チャンス!」と言うことを提唱されています。

困ったことを解決すれば役立つし、チャンスだと思えば自分の出番を作ることになるからだと。

こういうことも、習慣化したいものです。


人は、「自分は正しい」と思うと、思考が停止してしまうと言います。人は、自分を正当化しようとすると、相手を批判してしまいがちです。しかし、相手を受け入れようとすると、自分の足りないところに気づくのです。
 自分の足りないところに気づく……。それが、成長につながるのです。
」(p.127)

私もタイに来て、価値観の違いに苦しみました。また妻からは、しょっちゅう刺激を受けています。

常識というものが、ガラガラと音を立てて崩れるという体験は、私がどれほど自分勝手な価値観に凝り固まっていたかを教えてくれました。

そうやって自分の信念(価値観)を突き崩すことで、人は成長できるのですね。


本の中で、「たぬきと男の物語」が紹介されていました。

仕事が嫌いで楽をすることばかり考えていた男と、山から降りてきたタヌキとの会話が面白いです。

テーマは、古代ギリシャのソクラテスの言葉だと言われるイギリスのことわざだそうです。

生きるために食べよ、食べるために生きるな(Eat to live, but do not live to eat.)」(p.160)

Youtubeで見られるようなので、ここで紹介しましょう。




私はスタッフにいつも言います。

「夢がなくていいよ」
「目標がなくたって大丈夫だよ」

 でも、その代わり、が、あります。それは「人の夢を本気で応援すること」。
」(p.175)

小林正観さんは、頼まれごとを断らずにやることを勧めています。

また、自分の使命とか天職は探すものではなく、今の仕事を徹底的にやっていれば見つかるものだ、という人もいますね。

大リーガーのイチロー選手織田信長などは、「ビジョン型」と言って、明確な目標をもって、そこに突き進む生き方をした人です。

でも多くの人は、豊臣秀吉のような「価値観型」で、明確なビジョンなどはなく、目の前のことを一所懸命やっているうちに、どんどん引き上げられていくタイプなのだと言います。

ですから、夢や目標がなくても、輝くことはできるのですね。


米メジャーリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツで活躍していた頃、タクシーをよく利用する新庄選手には、必ずしていたある習慣があったそうです。
 それは、運転手さんに五倍のチップを払うこと。ここまでなら「そうか」と思いますよね。でも、次の一言が、必ず添えられていたのです。

「これから来る日本人をよろしくね」

 まったくシビレます。私はこの話を知って鳥肌が立ちました。
 新庄選手のカッコよさは、こうした「黒子力」があるからだとあらためて思います。
」(p.182 - 183)

私もシビレました。自分がよく思われたいからではなく、見ず知らずの日本人のために身銭を切る。発想が違いすぎます。参りました。

でも、こういう生き方には憧れます。私もこれから、少しでも誰かのためにという発想で、何かをしたいと思いました。


この本を読んで、岡むらという居酒屋が繁盛するのは当然のことだと感じました。

岡村さん自身が、おそらく素晴らしく魅力的な方なのでしょう。そんな居酒屋へ行ったら、心地良いでしょうからね。

私が住むタイ・バンコクにも、日本の居酒屋が数多く出店しています。その中で、短期間でどんどん店を増やし続けている大阪の居酒屋があります。個人で経営していて、大手のチェーン店ではありません。

そこが繁盛しているのも、やはりスタッフの人間力なのです。親しみやすく、まるで家族のように扱ってくれる。それが心地いいんですね。

商売繁盛店の秘密は、自分繁盛だった。ぜひ、多くの人に読んでいただきたい本だと思いました。

book20150423.jpg
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 21:31 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月27日

錦織圭 マイケル・チャンに学んだ勝者の思考



元プロテニスコーチ・スポーツ心理学者の児玉光雄氏の本を読みました。

著者のことはよく知りませんが、タイトルにもある錦織圭(にしごり・けい)選手は有名です。私と同郷の島根県出身ということもあり、とても親近感がありますね。

ちなみに「錦織」という姓は島根県に多いそうで、読み方は「にしきおり」「にしごおり」「にしごり」などがあるそうです。


ではさっそく、一部を引用しながら本の内容を紹介しましょう。

本書では、まずPART1で、錦織とチャンの関わりについての両者の発言をピックアップし、錦織がチャンからどのような考え方を学んだかについて紹介したい。PART2では、錦織の印象的な言葉を紹介し、その強さの秘密を探っていく。」(p.5)

このように本書は、錦織選手やチャンコーチを観察し、その発言を分析することで、錦織選手の活躍の秘密を探ろうというものです。

さらには、読者がそこから何かを学ぶことで、読者自身の人生に生かせるように考えられています。


勝てない相手はもういないと思います。」(p.14)

2014年の流行語大賞にノミネートされた錦織選手の言葉だそうです。

2014年全米オープン4回戦で、宿敵のミロシュ・ラオニッチ選手に、大会歴代タイ記録となる4時間19分の接戦を制した後、この言葉が出てきたのだとか。

「自己イメージ」が一流と二流の人間を隔てている。同じ才能を持った人間の勝敗を分けるのは、自己イメージの描き方の違いにあると私は考えている。
(中略)
 結局錦織のように「もっと凄い自分にめぐり会える」という高いレベルの自己イメージを描ける人間だけが、一流人の仲間入りをすることができるのだ。」(p.15)

自分の可能性を制限しているのは自分自身だと、私もよく言います。人間は本来、完璧な自由なのです。それをあえて制限しています。

ですから、その制限をどれだけ取っ払うことができるか、そこが重要になります。つまり、どこまで自由でなんでもできる自分をイメージできるか、ということですね。


つまり、私たちの潜在能力を閉じ込めているのは、「自分はできない」という思い込みなのだ。
 チャンは錦織の思い込みを覆すために「お前は世界のトップになれる!」と繰り返しメッセージを送り続けた。それが錦織の大躍進につながっている。
」(p.39)

心理学で言うピグマリオン効果です。「すごい!」と言い続けていれば、本当にそうなるというものですね。

チャンコーチのそういう励ましを、錦織選手はこう言っています。

ちょっと言い方悪いかもしれないけど、
軽く洗脳してきますんで。
」(p.38)

ですから私たちも、自分のことを自分で洗脳したらいいのです。「私はすごい!天才だ!なんでもできる!」

心屋仁之助さんは、「どうせ愛されてるもん」という言葉を言うようにと、ブログなどで発信しておられますね。

現実がどうかではなく、本当の自分の姿を知って、それを口にすることで、そういう現実が現れるようにするのです。


スポーツ界のみならず、ビジネス界でもライバルとの接戦は消耗戦に持ち込まれることが多い。
 しかしそんな厳しい戦いで必ず勝利するのは最後まで持久力のある人間のほう。結局どんな世界でも、執着心のより強い人間が勝利するのである。
」(p.84)

このことは、私もよく言っています。「諦めない」ということが、勝利の秘訣なのです。

旧約聖書にあるヤコブが天使と組み打ち(相撲のようなもの)をして勝ったというエピソードは、まさにこの秘訣を物語っています。

以前の記事「成功するコツはたった2つしかなかった」に詳しく書いたので、こちらもご覧くださいね。


「自分はもっと凄い人間になれる!」と繰り返し自分に言い聞かせて自己イメージをいますぐ書き換えよう。それがあなたに凄い成果をもたらしてくれる。」(p.109)

女子テニスの李娜(リー・ナ)選手は、アジア人として初めて、4大大会の2011年全仏オープンで優勝しました。

この事実から錦織選手が感じたのは、自分と同じアジア人が優勝したのだから、自分にだって優勝できるということです。

優勝したから優勝できると考える(信じる)のではなく、優勝できると信じたから優勝するのです。


錦織選手にも、ピンチはたくさんありました。壁に直面し、意気消沈しそうなこともありました。

しかし彼は、諦めませんでした。自分を信じたのです。

それを錦織選手の才能と言ってしまうことは簡単ですが、私はそうは思いません。

自分にもできると考え続け、言い続けたのだと思います。たとえそのときの気分がどうであれ。

私たちにも、同じようなことができると思います。

結果が出なくても、いや、結果が出てないからこそ、自分を励まし続けるのです。

錦織圭 マイケル・チャンに学んだ勝者の思考
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 19:40 | Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月28日

幸せになる法則を発見した人 丸山敏雄伝



倫理研究所創設者の丸山敏雄氏の人生をまとめた本を読みました。編著は同氏のお孫さんであり、倫理研究所理事長でもあった丸山敏秋氏です。

なお、敏雄氏の著書としては、以前に「万人幸福の栞(しおり)」を紹介しています。倫理研究所のバイブル的な冊子になっています。


ではさっそく、一部を引用しながら内容を紹介しましょう。

敏雄氏は、「時、所、人種に区別なく、守れば間違いなく幸福になり、はずれれば必ず不幸になる生活法則」としての倫理を確立するとともに、そのように生きた人です。

明治25年(1892年)5月5日に生まれ、昭和26年(1951年)12月14日、59歳で亡くなられています。

教育の職に付きながら、道徳的な生き方を追求し、教頭という地位を捨てて学究の道に戻るなど、生き方を求めた方のようです。

「ひとのみち教団」に加入し、幹部にまでなったものの、戦時中に検挙され、拷問を受けるなどの苦難も体験されています。

この裁判の中で、宗教に限界を感じ、宗教から離れることになります。それから独自の生き方を進むことになりました。

詳細は、本の最後に年表がありますので、そちらをご覧ください。


敏雄氏が亡くなる時、家族にこういう言葉を残したそうです。

急ぐな
 先のことを心配するな
 自然にまかせて処置をとれ
 これでよい
 喜べ
」(p.7)

私はこの言葉に、すべてが言い尽くされているように感じます。

この世はすべて完璧で、上手く行っているのです。だから慌てて急ぐ必要がないし、自然の流れに身を委ねれば良いのです。

そうわかっていれば、「これでよい」と言えるでしょう。これでいいのですから、喜べるはずです。

一言で言うなら、安心していることですね。愛の中に留まると言っても良いかもしれません。

私はこのことから、敏雄氏の言うことは間違いないと確信したのです。


朝起きて、最低の顔をしていないか。
 一日に一度かならず目が覚める。
 目が覚めるということは、生きていることの証。
 ああ、今日も生きていてよかったと、
 機嫌よく起きるのが本当だ。
」(p.10)

もっとも効果的に自分を変えるには、朝サッと起きることだと敏雄氏は言います。

では、どうすれば早起きができるのかというと、そんな秘訣はないと言います。ただ単に「やればできる」と。つまり、意思の問題なのですね。


喜んで支払えば、お金は入ってくる」(p.24)

しぶしぶと出し惜しみをすると、お金が入ってこないと敏雄氏は言います。

むしろ喜んで、気前よく使うことだと。「支払いは早く」「支払いは喜んで」という信念が重要なのです。


人の自然現象に対する心の持ち方や態度が、実は人間の幸福と不幸に密接に関連して、それを左右する、との着眼を敏雄は得た。そして、健康を損なう原因には、天候気候への嫌悪、不足不満、恐れが大きいことも突き止めた。」(p.81)

雨が降れば降ったで不平不満を言い、晴れたら晴れたで文句を言う。そういう考え方が、健康を損なう原因だと言います。

ですから、自然に順応し、自然に対して畏敬の念を持ち、自然に感謝することが、幸福や健康につながるというわけです。


宗教といえば、古来、一宗一派に閉じこもって、互いに排撃するのが常であった。しかし、これはもう時代遅れの宗教である。世界のどんな宗教とも相和し、相助けて、おのおのその特質に生きて進むゆたかな宗教、これが真実の宗教である。真理を伝えるのに、暴力は不要である。正しき者は反抗の必要がない。宗教が排外的偏狭を捨てて、その真実に帰ったとき、人類の救済が成就する。 (『歓喜の人生』より)」(p.115)

敏雄氏は、宗教の偏狭さこそが問題だと見抜き、宗教家の道を捨てました。

しかし、宗教そのものを否定したわけではありません。宗教が本来の姿を取り戻すことで、人類全体が救済されると見ているのです。


哲学者のカントは、人間の行なう善悪と幸不幸の一致はこの世において求められないと主張した。どれほど善を行なおうと、またどれほど悪を行なおうと、この世では、幸福になるか不幸になるかは、結びつかないというのである。
 丸山敏雄はそれに異を唱えた。道徳と幸福が一致(徳福一致)する生活法則を「発掘」することで、最高善を追求していった。
」(p.178)

戦後の困窮の中、人々の心は荒廃していたそうです。どうせ善いことをしても幸せになれないなら、悪いこと、ずるいことをしてもかまわないじゃないか。そういう自暴自棄の状況だったのです。

そこで敏雄氏は、研究を重ね、実証実験を重ねる中で、これを守れば幸せになれるという規則、つまり倫理を探しだしたわけです。

その内容は、「万人幸福の栞」に詳しいので、そちらをご覧ください。

ご覧いただければわかるように、これは絶対的な善悪というものではなく、「与えるものが返ってくる」というようなこの世の法則を示しています。

他人を自分の鏡だと考えるというのも、まさにそういう考え方です。


些細な出来事でも異変を感じたとき、敏雄はしばしば、その出来事が自分に知らせる「意味」を受け止め、気付いたことをそのまま実行する習慣が身についていた。」(p.182)

直感を磨くのに重要なことですね。起こることはすべて必然だとわかっていれば、不都合なことにも自分を良くするためのメッセージがあると思えるはずです。

ここには、移転するときにトラックが故障し、難儀をしたという出来事が書かれています。

そのとき敏雄氏は、この出来事に次のような意味を見つけたのです。

人世の救済に一身をかけよとのこと」(p.182)

普通なら、「なんてツイてないんだ」と嘆くような出来事です。しかし敏雄氏は、まず「これでよい」と受け入れるのです。

そして、「これから大業を為すのに、その準備はできているか?」と、天から問われていると考えたのでしょう。だからこのトラブルを、天からの励ましと受け止めたわけです。


まず第一に、喜んで朗らかに静かに、困難を迎えることである。いやなこと苦しいことを、どうして喜んで迎えられようか。それは、一応はそうである。苦難というものは、ひどい顔をし、いやな形をして、苦痛のすがたをとってはいるが、実は我らの敵ではなくて、味方である。というよりか、一ばん親身に我がためを思って、つっかかってくる正義の友である。」(p.199)

苦難に出合った時の態度を、敏雄氏はこのように語ります。これが幸せなるための法則、つまり倫理なのですね。

さらに敏雄氏は、苦難についてこう言います。

苦難はそのまま美である。幸福と苦難と表裏一体、善と悪と陰陽不二、ここに宇宙無限の美がある。それをそのとおり有るとおりに見ているのが芸術家であり、これをそのまま弾ずるのが音楽であり、詠ずるのが短歌である。
 ここまでくると、苦難はそのままで、美に光り、善に輝いてくる。苦難そのまま<がよい>のである。
」(p.200)

苦難を嫌わないどころか、むしろその中に美を見出す。あるがままで完璧だと見抜くようになると、おそらくこう感じるのでしょう。


苦難に直面した時、どうすればよいか。ブレイクスルーの秘訣がここにある。
「これがよいのだ」
「……がよい」
 まずはこうした言葉を口に出してみることだ。不平不満や泣き言を言う前に、「これがよい」と言ってみる。言葉を変えれば心も変わる。不思議に苦難を嫌う気持ちが薄れてくるだろう。苦難の本質をわきまえていれば、現実の苦しみがそのまま「有り難い」とさえ思えてくる。
」(p.202)

単なるポジティブ思考ではなく、ブレイクスルー思考が重要なのだと言います。

苦難は苦難のままにまずは受け入れ、それを味わえばよいのだと。

苦痛は、なかなか喜べるものではない。それは、自分本位であり、己にとらわれているからである。苦痛のただ中にとざされた時は、その中からぬけ出して、外から自分の姿を心を、静かに眺めてみるがよい。」(p.206 - 207)

観察者の立場に心を置くことですね。これは「あした死ぬかもよ?」ひすいこたろうさんが伝えたかったこととも、通じるものがあるように感じます。


戦後の大変な時期、このような精神的な運動をした人に、中村天風氏がいます。

天風氏も、絶対的な積極思考が重要だと訴えていました。苦難にあってもそれを喜ぶという考え方です。

期せずして、同じようなことを唱える人がいたわけですね。

私はこのことからも、天は日本を見捨ててはいないと感じます。

苦難は神罰でも仏罰でもありません。大変になるけど頑張れよという、天の励ましだと思います。

だから、単に苦しめるだけでなく、そこに救いの道が示されていたのだと思うのです。

幸せになる法則を発見した人 丸山敏雄伝
 
posted by 幸せ実践塾・塾長の赤木 at 16:59 | Comment(2) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

●コメントを書く前に、こちらのコメント掲載の指針をお読みください。

ランキングに登録しています。面白かったらボタンをポチッと押してね。
↓↓↓↓
にほんブログ村 ライフスタイルブログ 自分らしさへ